AIに淘汰されかねない時代は、見方を変えれば、AIを使いこなすことで大化けできる時代でもある。ただし、そこは、偏差値などの評価基準はほぼ意味を持たない世界だ!
いったい、どんな側面に注目して子どもを伸ばしていけばいいのか?「伸びしろのある子ども」とはどんなタイプなのか?
富永雄輔さんの最新刊『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』の中で紹介している全12のポイントより、抜粋して紹介!
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4 プレッシャーに耐えられる――AIは精神面をカバーしない
コロナ禍を機に始まったオンライン授業は、その利便性から今後ますます増えていきます。その分、教師や同級生と直接顔を合わせる回数は減っていきます。
また、社会的にもパワハラが許されなくなり、その是非はともかくとして、教師も子どもたちに厳しいことが言えなくなります。
こうした背景があって、子どもたちは人と対峙するプレッシャーにひどく弱くなっていきます。
一方で、AIがカバーしてくれないのが精神面です。
試験や試合の前の緊張感、あるいは社会人になってからの重要な場面での緊張感を、AIに緩和して貰うことはできません。
サッカー選手として高い評価を得ている代表選手も、ワールドカップやオリンピックのような場で、最後に勝敗を分けるのは「気持ち」だと語っています。一対一の戦いになったところでは、戦術や戦略ではなく気持ちが重要だというのです。
ところが、AIの時代はプレッシャーのかかる環境にいないため、プレッシャーに弱い子どもが増えてくる。これを逆に見ると、プレッシャーに強い子どもが有利になるということです。
開成は、入学後すぐに、中学校と高校の合同運動会があることで有名です。中学生と高校生では体力も精神力も大きな差があることを承知の上で、全生徒を8つの組に分けて競わせます。入学後間もない中学1年生にも、自分よりずっと強い高校生たちの姿を見せ、プレッシャーを与えることで成長させるのです。
しかも、棒倒しのような団体競技もあり、それまで受験勉強しかしてこなかった入学したての中1生にとっては、指導係の高3生は恐怖でしょう。でも、学校は、こうして早くからプレッシャーを与えることが、子どもたちの成長に必要だと考えているわけです。
AIを使いこなせる能力を備え、かつプレッシャーに耐えられる精神力を持っていれば、これからの時代に生き残る可能性大です。
5 負けた回数が多い――大人になってからの負けはダメージ大!
子どもに中学受験をさせようと考えている親の多くは、非常に謙虚です。たとえ難関校に受かったとしても「我が子は優秀だ」と鼻高々になったりはせず、子どもにも「自分は優秀なんだ」と思わせないように心を砕いています。
そうした理解の深い親が我が子に中学受験をさせる目的の一つに、「神童にしたくない」ということがあります。
中学生から難関校に入るような子どもは、周囲から神童扱いされがちです。しかし、毎年、灘中学校に約200人、開成中学校に約300人、麻布中学校に約300人が入学します。ほかの難関中学校も入れたら、優に1000人を超えます。それが、毎年積み重なっていくのですから、実はたいした存在ではないわけです。
このように、本当は「まあ優秀」程度なのに「神童だ」と言われて育った子どもたちは、難関中学校に入って「ええ!」と慌てることになります。周囲には、自分を超える同級生がごまんといるからです。
でも、それは悪いことではありません。「優秀なはずの自分が負けた」という体験が中学校の時点でできるのは素晴らしいことです。中学受験をさせる親が子どもに望んでいるのは、この「負け体験」です。
たとえば、開成から東大に進んだ人は、自分が優秀だとは思っていません。むしろ謙虚です。そういう人が同窓生にごろごろいるし、そもそも開成在学中にたくさん負けてきました。
このように、早くから負ける体験をしていないと、大学に入って、あるいは社会人になってからの負けはダメージが大きく、心が折れかねません。
子どもの頃は体重が軽いし体も柔らかいから、転んでも骨折しません。でも、80歳で転ぶと骨折して寝たきりになりやすいですね。頭が柔らかいうちに、我が子に負ける体験をさせてあげましょう。
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【新刊】AIに潰されない「頭のいい子」の育て方
生成AIの台頭により、5年後には今ある職業の2割が消えると言われる。まず淘汰されるのは、ホワイトカラーの中のエリート層だ。そんな時代の「頭のよさ」とは何なのか。親は何を目指して子どもを育てればいいのか。「親自身の成功体験を忘れろ」「“一つを極めろ”より、“あれもこれも”の選択肢を」「いつも勝てる場より、競争を」など、親の価値観転換を迫る緊急提言とともに、「愛嬌がある」「負けた回数が多い」など、伸び伸びと強く生きていける子どもの特徴も解説。子どもの未来への不安を払拭する、きれいごと抜きの実践的子育て論。
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