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アウトドアブランド新入社員のソロキャンプ生活

2024.07.08 公開 ポスト

グリとグラ、そしてキャンプと車大石祐助

好きなことの中に嫌いなことが含まれていたら、あなたはどうしますか。

 

この世界には切っても切り離せない関係が存在します。

ザッハトルテとコーヒー、高校生とチャリ旅、サウナと水風呂、夏祭りとリンゴ飴、グリとグラ。

 

 

そして、キャンプと車。

グリだけではカステラが焼けないように、車なしではキャンプを語ることは難しいのです。

 

なぜなら、山奥や海辺といった僻地へ、テントやテーブルなどのキャンプ道具を運ぶ必要があるからです。

もちろん、リュックに道具を詰め込んで、電車やバスを駆使する方法もあります。ですが、やはり車で行くオートキャンプが主流ではあります。

 

つまり、キャンプに行くには「車」が不可欠なのです。

 

しかし、ぼくは車がキライ。

正確には、運転がキライです。

 

車の運転って、リスクとリターンがあまりにも見合わないと思いませんか。

 

だって、加害者になる可能性を常に抱えているんですよ。

誰かの命を奪ってしまうかもしれないという大きなリスクを負ってまで、車になんか乗りたくありません。

 

そのうえ、かかるコストも莫大です。

車のローン、保険、車検、ガソリン、駐車場代、自動車税と、車を持つだけで、これだけの出費があります。

計算してみたら、年五十万円以上はかかっていました。ハワイに一年で二回もいけちゃいます。

 

そして、人生において最も大切な資産である「時間」をも、差し出さなくてはなりません。

というのも、運転中は運転以外の行為はなにもできないのです。電車やバスといった他の移動手段であれば、友達に連絡をしたり、好きな本を読んだり、時間を有効に使えます。

 

自分の場合、通勤で往復1時間が奪われるので、年間で240時間。起きている時間で考えると、20日間も運転だけしていることになります。

 

そんなわけで、車がキライなのです。

とはいえ、キライだからと言って逃げられないこともあります。それが人生です。

車がなければ、こんな山奥へとキャンプへ行けない。

三十年も生きていれば、時にキライなものとの邂逅だってあります。

そして、そのたびキライをスキへと変えてきました。ある理論を使って。

 

そのある理論というのは、「ビール理論」です。

一度は子どもの頃に、ビールを味見させてもらったことがあるでしょう。

 

あの時の衝撃を今でも鮮明に覚えています。

とてつもなくマズイ。こんなにも不味い液体を大人たちは好き好んで、美味しいと言って飲んでいる。

 

当時、一日のご褒美にビールを飲む父を、まったく理解できませんでした。

喉を潤したいなら、ファンタグレープの方がぜったいにいいとずっと思っていました。

 

ところが、二十歳を迎えると大人の仲間入りがしたくて、ビールを飲むようになるのです。

 

というより飲めないことが恥ずかしくて、飲めるように努力する。

サークルの先輩の「喉で飲むんだ」という謎のアドバイスを真に受けて、無理矢理飲み続ける。

 

すると、摩訶不思議。

だんだんと美味しく感じてくる。そして、居酒屋で「とりあえず生で」と言い始めるのです。

これをぼくは「ビール理論」と呼んでいます。

 

この「ビール理論」をあらゆる場面で敷衍することで、人生を快適に営んできました。

新卒で入社した会社での長時間労働も、蛇口を捻っても水が出ないアフリカでの生活も、最終的には好きになっていました。

 

しかし、人間が生来持ち合わせた素晴らしきシステムを持ってしても、太刀打ちできないことがあったのです。

 

それが、車の運転だったのです。

新潟に移住して、二年が経ちました。

 

ビール理論の要諦は、反復にあります。

初めは美味しくないけど、無理して何度も飲み続ける。すると、そのうち美味しくなっていくのである。

 

この基本論に忠実に運転をする。

通勤で毎日片道で三十分は運転をする。くわえて、キャンプイベントの仕事で毎週末、新潟から日本全国へとトラックを走らせる。これを二年におよび反復してきました。

 

ところが、運転は苦手なままだし、運転は嫌いである。

 

果たして、キライはいつスキへと反転するのだろうか。

キライなことをこれだけ長く続けられるのは、よっぽどキャンプが好きなのだろうか。

 

ふたり力を合わせてカステラを焼くグリとグラが愛おしいように、キャンプと車の切り離せない関係を愛おしく思える日は来るのだろうか。

 

キャンプへ行くために乗り込んだ車。

今日もハンドルを握る手は汗でびっしょり。

キャンプと車は切っても切り離せない関係。

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