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60歳からの「忘れる力」

2023.05.07 公開 ポスト

「良医」に巡り会うための10箇条 高齢者医療の第一人者が教える医者の選び方鎌田實

「名前が出てこない」「昨日の夕飯は何だったっけ」「また同じ本を買ってしまった」……。年をとると、とたんに増えてくる「もの忘れ」の悩み。しかし、高齢者医療の第一人者・鎌田實さんは「人生の8割は忘れていいこと」だと言います。そんな鎌田さんが教える、面倒なことは忘れて、好きなことだけで生きるヒントがつまった『60歳からの「忘れる力」』より、心がスーッとラクになるメッセージをお届けします。

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「名医」よりも「良医」が頼りになる

多くの人は「名医」にかかりたいと願いますが、かかりつけ医として選ぶなら、狭い分野で専門性を発揮する「名医」よりも、なんでも相談しやすい「良医」のほうが頼りになります。良医は、高齢期を最後まで伴走してくれるのです。

(写真:iStock.com/kazuma seki)

ぼくが名誉院長を務める長野県の諏訪中央病院は「総合医」の研修が充実していて、日本各地の医学部を卒業した若いドクターたちが研修に来ます。この総合医は良医になる可能性が大きいと思います。

20年ほど前、ぼくは『病院なんか嫌いだ』(集英社新書)の中で、「良医」にめぐりあうための10箇条を次のように紹介しました。

 

(1) 話をよく聴いてくれる

(2) わかりやすい言葉でわかりやすく説明してくれる

(3) 薬や検査よりも生活指導を重視する

(4) 必要なときは専門医を紹介してくれる

(5) 患者の家族のことまで考えてくれる

(6) 患者が住む地域の医療や福祉をよく知っている

(7) 医療の限界を知っている

(8) 患者の痛みやつらさ、悲しみを理解し、共感してくれる

(9) 他の医師の意見を聞きたいという患者の希望に快く応じてくれる

(10) ショックを与えずに真実を患者に伝えられる

永六輔さんが語った「いい患者」

この10箇条は、ぼくが医師として心がけてきたことでもあります。いま読み返してみると、どれも当たり前のことのようですが、当時の診察室では当たり前になっていなかったのです。いまもそうかもしれません。

(写真:iStock.com/Pornpak Khunatorn)

この10箇条を、永六輔さんがラジオ番組などでたびたび取り上げてくれました。そのうちに、「いい患者の10箇条」なるものもつくられました。その10箇条目がすごいのです。

「生きているのに、ご臨終ですと言われたら、死んだふりをしてあげる」

これには笑ってしまいました。笑えるだけでなく、「医者だって人間だからミスするものだ」という、ちょっとした毒も感じられます。

 

けれど、永さんの意図は、もっと深いところにあるのかもしれません。「ご臨終です」と言われて、しばらく死んだふりをしたあと、「ぼく、まだ生きてるよ」と薄目を開けて周囲を驚かせる。そんなことがあったら、湿っぽい臨終の場面は一転して大爆笑に変わります。

患者本人も、医師も、看護師も、家族も大笑いしながら、力を抜いて「死」を迎え入れることができたら本物の大往生です。

死ぬときは、どんな経過をたどるのか。痛みや苦しみはないのか。それを取り除く方法はあるのか。最期まで点滴をする必要はあるのか。

そうした死への経過を説明してくれて、「いつでもそばにいるから大丈夫」と言ってくれる医師が「良医」であり、その役割に気づかせてくれる患者が「いい患者」なのでしょう。

関連書籍

鎌田實『60歳からの「忘れる力」』

老いへの恐怖も、古い健康常識も、年齢も、気が進まない人間関係も、「○○らしさ」も……忘れることで、幸せな老後が待っている! 「名前が出てこない」「昨日の夕飯は何だったっけ」「また同じ本を買ってしまった」……60歳を前にすると、「もの忘れ」の悩みが増えてくる。しかし、人生の8割は忘れていいことだ。長年にわたって高齢者医療を牽引する著者が実践している、面倒なことは捨てて、好きなことだけで生きるためのヒント60。

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60歳からの「忘れる力」

「名前が出てこない」「昨日の夕飯は何だったっけ」「また同じ本を買ってしまった」……。年をとると、とたんに増えてくる「もの忘れ」の悩み。しかし、高齢者医療の第一人者・鎌田實さんは「人生の8割は忘れていいこと」だと言います。そんな鎌田さんが教える、面倒なことは忘れて、好きなことだけで生きるヒントがつまった『60歳からの「忘れる力」』より、心がスーッとラクになるメッセージをお届けします。

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鎌田實

1948年、東京都生まれ。1974年、東京医科歯科大学医学部卒業。1988年、諏訪中央病院院長に就任。地域と一体になった医療や、食生活の改善・健康への意識改革を普及させる活動に携わる。2005年より同病院名誉院長。チェルノブイリ原発事故後の1991年より、ベラルーシの放射能汚染地帯へ医師団を派遣し、医薬品を支援。2004年からイラクの4 つの小児病院へ医療支援を実施、難民キャンプに5 つのプライマリ・ヘルス・ケア診療所をつくった。国内でも東北をはじめとする全国の被災地に足を運び、講演会、支援活動を行っている。近著に『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)、『認知症にならない29の習慣』(朝日出版社)、『鎌田式健康手抜きごはん』(集英社)、『60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』(エクスナレッジ)、『ちょうどいい孤独』(かんき出版)などがある。

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