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80歳の壁[実践編]

2023.03.29 公開 ポスト

肉を食べるなら朝がいい、その意外な理由とは?和田秀樹

2022年最も売れた本『80歳の壁』は、「我慢せず好きなことをするのが体にいい」とこれまでの高齢者の健康常識を覆す一冊で、多くの反響をいただきました。では、具体的にはどんなふうにすればいいのか?食事や運動など具体的な生活習慣について、たくさんご質問をいただく中で生まれたのが、最新刊『80歳の壁[実践編]』です。

がくっと衰える人が多い<80歳の壁>をいかに乗り越えるのか? 食べ方・眠り方・入浴・運動など……、ちょっと意外、でもすぐに取り入れられる具体的な秘訣をつめこんだ一冊です。
発売を記念して、特に質問が大きかった「肉の食べ方」について、抜粋しお届けします。

(写真:iStock.com/Rawpixel)

牛肉、豚肉、鶏肉、どれもまんべんなくが理想

過日、久しぶりに朝のワイドショーに出演し、「高齢者は、もっと肉を食べたほうがいい」と話したところ、テレビ局に問い合わせの電話が殺到しました。その多くは、「牛肉、豚肉、鶏肉のどの肉を食べればいいのか?」という質問でした。

私は番組内でその質問に対して、「ひとつの種類に偏らず、牛肉、豚肉、鶏肉をまんべんなく食べてください」と、お答えしました。それが、健康寿命を延ばすための最良の方法だと思うからです。

タンパク質の量だけを考えれば、「若鶏のささ身」がいちばんです。100グラム当たりにして、最も多くのタンパク質を含んでいます。そのため、ボディビルの選手は、筋肉量を増やすため、若鶏のささ身ばかりを食べ続けます。減量中のボクシング選手も、それ以外の肉は口にしません。

 

たしかに、効率的に筋肉をつけ、体脂肪率を下げる(減量する)には、それが効果的な栄養の摂り方です。しかし、そうした特殊な食べ方が、高齢者の健康長寿につながるかどうかは、まったくの別問題です。

現実問題として、優勝や勝利、あるいは賞金を目指すスポーツ選手でもないかぎり、毎食若鶏のささ身料理という「超偏食」には耐えられないでしょう。高齢者がそうした食生活にトライすれば、メンタルヘルス面に悪影響が出て、トータルとしての健康が失われるのは、ほぼ必定です。

 

そもそも、「どの種類の肉が健康寿命を延ばすか?」というテーマに関して、調査したデータは存在しません。エビデンスが不十分な現状では、「なるべく多くの種類の食材を食べたほうが健康にいい」という栄養学の基本原則に立ち返り、「いろいろな種類の肉をまんべんなく食べる」のが賢明だと、私は思います。

簡単にいえば、「その日、食べたい肉を食べる」ことです。そうすれば、飽きることなく、しぜんに肉を食べる量が増え、また食事が楽しみになって免疫力が上がり、全体としての健康効果は大きくなります。

 

また、多くの種類の肉を食べたほうがいいのは、「遅延型アレルギー」を防ぐためでもあります。肉に限らず、毎日、同じものを食べ続けるのは危険です。「遅延型アレルギー」を招くおそれがあるからです。

私自身、食に関して2つの強い遅延型アレルギーを経験しました。「海藻」と「そば」に対するアレルギーです。以前、「健康にいいから」と、朝はかならず海藻サラダを食べ、昼は仕事場の近くで「そば」を食べるという食生活を送っていました。すると、その後の検査で、双方に対してアレルギーが生じていることがわかったのです。ちなみに海藻を食べるのをやめると、そのアレルギーはなくなりました。

 

遅延型アレルギーになると、腸の細胞が炎症を起こしやすくなり、その変調は、全身に悪影響をおよぼします。腸で排出できなかった毒素が、血液にのって全身に運ばれるからです。そして、当該の食品を口にすると「体がだるくなる」「調子が悪くなる」「お腹が張る」といった症状に見舞われることになるのです。

海藻もそばも、一般的には「健康にいい」とされる食材ですが、そればかりを食べる「ばかり食」は、かえって不健康な状態を招くことになるのです。

肉を夕食ではなく、「朝食」にこそ食べてみよう

映画俳優のジャッキー・チェンは、1954年生まれですので、まもなく古希を迎える年齢ですが、今も若々しい姿を保っています。さすがに、香港映画時代のように、「全編ノースタント」というわけにはいきませんが、今も高い運動能力を保っていることは確かです。

彼の「アンチエイジング」に関してアドバイスしているクロード・ショーシャ博士というフランスの医師がいます。同博士は、世界的なアンチエイジング医学の権威で、私もその分野で長く師事しています。

同博士の研究テーマのひとつに、「タイムリー・ニュートリション」があります。ニュートリションとは「栄養」や「栄養学」という意味で、タイムリー・ニュートリションは「時間栄養学」と訳される研究分野です。簡単にいえば、「朝・昼・夜に、何を食べると、体にいいか?」「老化を遅らせることができるか?」という研究です。

 

そもそも、人間の臓器、とりわけ消化器系は1日24時間、同じペースで働いているわけではありません。それぞれの臓器には、活発に動く時間帯と、そうではない時間帯があるのです。

たとえば、肝臓は“早起き”の臓器で、朝のうち活発に働きます。そのため、同博士の研究によると、「肉は、午前中に食べると健康にいい」とされています。朝方は、肝臓が活発に働いているため、肉類のタンパク質を消化・吸収しやすいのです。

一方、肉を夕食に食べると、夜は、肝臓の働きが鈍っているため、タンパク質を十分に吸収できないというわけです。

ただし、日本人の場合、朝からステーキ・焼き肉というのは、難しいかもしれません。そこで「目玉焼きをハムエッグにする」「野菜だけのサラダに、焼き豚を切ってトッピングする」「素麵を肉素麵にする」などのような工夫をするといいでしょう。

 

また、同博士の研究によると、肉類以外では、「甘いものは、午後3~4時頃に食べるとよい」ことがわかっています。その時間帯は、膵臓(すいぞう)の動きが活発なので、糖の代謝に関わるインシュリンが分泌されやすいからです。

その意味で、日本流の「3時のおやつ」も、英国流の「アフタヌーン・ティー」も、消化器のリズムに合った間食の摂り方といえるのです。

関連書籍

和田秀樹『80歳の壁[実践篇] 幸齢者で生きぬく80の工夫』

肉を食べるなら朝から、それも牛肉・豚肉・鶏肉をまんべんなく。週5日・20分歩くと、認知症発症率が40%下がる。よい睡眠のためには「夜牛乳」と「6分間読書」を。入浴は午後2〜4時が最適等々。「我慢しないで、やりたいことだけする生活」に、お金も手間もかからない、ちょっとした工夫をプラスするだけで、あなたも「80歳の壁」を楽しく越え、人生で一番幸せな20年を生きる幸齢者に。和田式・医者と病院の選び方も必見。大ベストセラー『80歳の壁』がさらに具体的に進化した、決定版・老いのトリセツ誕生!

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80歳の壁[実践編]

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和田秀樹

一九六〇年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、三十年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』『70歳の正解』『マスクを外す日のために』『バカとは何か』『感情バカ』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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