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脱北航路

2022.05.03 公開 ツイート

書店員絶賛の感動作!『脱北航路』(月村了衛著)の感想がアツい!! 月村了衛

4月13日に発売して以降、話題騒然の月村了衛さん最新刊『脱北航路』。
発売前に書店員の方々に読んでもらっていたのですが、
いただく感想の熱いこと熱いこと!
せっかくなので、この熱量をお伝えしたく、いただいた感想の一部を公開させていただきます。

*   *   *

読みながら頭の中で映画になっていました! 歴史の痛み、今も続く痛みが、小説から伝わってくる。赤い炎と青い炎が燃え上がる緊迫圧倒のヒューマンドラマに胸打たれました。
(うさぎや矢板店 山田恵理子)

 

ハラハラしながら読み進めた。全ての登場人物がそれぞれの痛みを抱えていて、その痛みを胸に秘めながらも誤魔化しながら生きてきた、誤魔化さずには生きてこられなかった苦しさを思った。こんな形ではなく、一刻も早く返してほしい。そう切に願うけれど、こんな形でもいいから返してほしいと思わずにはいられなかった。
(東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美)

 

一部の者だけが富を得、軍の上下関係、指令に逆らえば命さえ保証されない境遇が当たり前。祖国に絶望し亡命を決行するのにどれだけの苦しみがあったのかと想像する。彼らも生き方を選べなかった一人の人間に違いない。日本への亡命成功の切り札として使われる拉致被害者である一人の女性(どうしてもあの彼女を重ねてしまう)。追手が迫り、緊迫する海上、海中入り乱れる攻防戦にまさに「息つく間もなく!」って言葉がぴったり。そして、もちろん日本の海上保安部、政府にも情報は流れる。どうするの? どうなのよ!! と手に汗握るシーンの連続に彼らの叫びと私の叫びが重なり合う。くーーー! 胸が詰まるし、涙は溢れる。力入りました。鉛色の海は全てを飲み込んでしまう。その情景が見えるようでした。読み終わり茫然自失。圧巻でした。
(未来屋書店大日店 石坂華月)

 

北朝鮮にいる人が全て金正恩に洗脳されているのかと思っていたが、この話のようにおかしいと思う人もいるのだろうな。死を覚悟しての亡命にはそれぞれのいろんな思いがあるだろう。とても希みがうすい脱出にへこたれそうになる時ばかりだろう。ただ潜水艦の艦員が精鋭すぎて惚れ惚れする。統制がとれているだけでなく、他の人を信じ、敬い、鼓舞する。そのタイミングの絶妙さに思わず頷いて本を読んでいた。最後の日本人たちの態度は毎日のニュースを見てもやはりと頷けるものであるが、そこをぶち破った民間の漁船のお爺ちゃんに拍手喝采だ。守りたい、助けたいと言う一心だけで動けるような人に私もなりたい。現実でも拉致被害者の問題は依然何も進展することもなく、このような本が出ることでまた目を向ける人たちが増えてくれるといいなと思う。
(水嶋書房くずは駅店 枡田愛)

 

極限状況で怒涛のごとく繰り広げられる凄まじい攻防戦の迫力にページをめくる手が止まらない! 持病を抱えながら45年もの間異国で一人孤独と戦ってきた拉致被害者、珠代さんの強く凛とした姿勢にも心打たれた。北朝鮮という独裁国家に生まれてしまったこと。ある日いきなり布袋をかぶせられ見知らぬ国に連れ去られたこと。自分ではどうしようもない悲劇の連鎖が現実社会でも断ち切られる事を祈った。
(三洋堂書店新開橋店 山口智子)

 

潜水艦の戦い方、というものを初めて知った。その攻撃方法、攻撃の回避方法、そして密閉された空間での感情のコントロール。すべてが極限状態となる水の底。それぞれが持つ絶望と矜持と希望。その行き着く先で遭遇する日本国の対応。これがもう、はらわた煮えくりかえりまくり。45年前の轍を踏みまくり。この国は何度過ちを繰り返すのか。何度悲しい少女を裏切り続けるのか。戦いの場面では、この情勢の中不謹慎だと思いつつも手に汗握り胸が熱くなる。けれど、これは「作り物のお話」ではない。きっと私たちが知らないところで今も起こり続けている「リアル」なのだ。「再会」という言葉の、その重みと深みを思う。
(精文館書店中島新町店 久田かおり)

 

まるで一本の映画を観ているような臨場感でした。拉致被害者の方々のご家族が、長い長い間戦い続けていらっしゃる事は知っているし、拉致は全く許されない事だと考えている。また、北朝鮮の国内での貧富の差、権力の偏りも知識として知っていた。ただ、それでいて「映画のようだ」と感じてしまうのは、私がこの問題をどこか他人事にしてしまっているからだと実感し、恥ずかしく、改めて見直す視点を持つ事ができた。もちろんフィクションなので、彼の国の方の気持ちも被害者の心情も想像するしかないのだけれど、国の理不尽への怒りや、祖国を切望する心はこのようであって欲しいとも思う。亡命した彼らも、助けられた拉致被害者も、それを助けるべく集まった海の男たちも、色々な思惑を交えず一つになったようなラストに安堵し、現実の拉致問題も進展、解決される事を望んでやみません。
(明文堂書店TSUTAYA戸田 坂本まさみ)

 

個人の想いなど国家の権力の前では塵芥のようなもの。けれども、消えてなくなるわけじゃない。運命に抗うものたちの闘いが大衆を動かすことになる。海上に響く慟哭を無視することはできない。歴史が変わる瞬間を目撃したのだと思います。
(明文堂書店氷見店 前花祐太)

 

妙にリアルで手に汗握る極限展開。登場人物全員にそれぞれの事情があり、「全員助かってくれ…頼む!」と願いながら読了した。日本を美化するでもなく、“実際そうだろうな”と感じる描き方は好感を持った。そこまで分厚くはないのに、この熱さ、ボリューム感は凄いと思う。
(喜久屋書店橿原店 井上七海)

 

どこで息を継げばいいのかわからずページをめくり続けてしまいました。どんなに強い意志があっても「国」という大きな壁に翻弄される姿に胸が苦しくなりました。
(岩瀬書店富久山店 吉田彩乃)

 

涙が止まらない。現実になればどんなに良いか……。こんな未来が訪れる事を心から切望する。潜水艦同士の戦闘、手に汗握る攻防に、読み手の私まで息苦しくなってしまいました。国と国との時の対処法、日本という国がとても良く表されていました。いざという時、動くのは市井の人なんだろうなぁと。あってはならない「拉致」という問題に取り組んだこの作品。それぞれの後悔やトラウマを背景に、目を背けてはいけない人間ドラマが描かれている。そしてある日突然、自由も家族も友人も、国さえも奪われた人たちがいるという事実を心に留めて自分に何が出来るのかを考えてみたい。現在進行形のこの問題が、1日も早く解決する事を強く望みます。
(文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子)

 

約2時間半で一気読み! これは久しぶりに凄いミリタリー・ミステリー作品でした。潜水艦の戦いでグッとくる小説と言えば『レッド・オクトーバーを追え』もしくは『ハンターキラー』でしょう。両作品とも映画化された傑作でした。そしてこの作品。いままで読んだことがなかった設定である、北朝鮮軍の老朽潜水艦が繰り広げる潜水艦バトルが新鮮かつ興味深い。またそこに北朝鮮軍の内情が加味され、リアル度が増しております。個人的にですが『土獏の花』を上回るテーマとストーリーだったと思います。またしても読ませる小説でありながら、考えさせられる小説でもありました。
(谷島屋ららぽーと沼津店 小川誠一)

 

死と隣合わせの危険な航海に、心臓が波打ち緊迫感に飲みこまれるようでした……!そして圧倒的な臨場感!! まるでノンフィクションのようです!! 暗く深い大海原で溺れもがくように、この物語の結末がどこに到着するのか。苦しく辛いのに目が離せず、一気読みでした。ラスト一文を読み終えた後、登場人物みなさんの熱い想いと信念が血潮のようにほとばしりました!!
(紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子)

 

「それぞれの国が勝手につけた海の呼称などどうでもいい」まさしく、その荒波の中で鍛えられた海の男たちの矜持を持った生き様、死に様に瞬く間に心を持っていかれた… …。「国家」と「政治」と「人間」の虚実を見事に描き、そして、日本という国への警鐘を鳴らす問題作でもある――。世が世ならば、とても刊行できなかった!? だが、これぞエンターテインメント! 恥ずかしげもなく、“感動作”と呼ばせてもらおう……。
(本の王国書籍販売部 宮地友則)

 

どこか遠い世界の話ではないのか。フィクションのはずなのにリアルを感じさせる描写に圧倒され一気読みでした。すべてを捨てても国に逆らう覚悟は計り知れない。日本でいう火事場の馬鹿力。生死を彷徨うとき、積み重ねた努力以上の結果がついてきた。過去の罪と現状に悩む登場人物たちの姿がリアルでした。
(未来屋書店ナゴヤドーム店 白山直哉)

 

ストーリー全体に張り巡らされた緊迫感に息をつくのも忘れそうになるほど夢中になって読みました。得体の知れない北朝鮮という国、30年近く経つというのにいまだ鮮明に思い出すことのできる拉致被害者の方々の帰国。フィクションとノンフィクションとの狭間を漂っているような感覚でした。そして、圧巻のラスト。あのラストシーンの緊迫感は時間がたった今でも私の脳裏から離れません。
(幕張蔦屋書店 後藤美由紀)

関連書籍

月村了衛『脱北航路』

北朝鮮の陸海空軍による大規模軍事演習。国の威信をかけたこの行事で、桂東月(ケ・ドンウォル)大佐は潜水艦による日本への亡命を決行した。しかも、拉致被害者の女性を連れて--。だが、そんな彼らを朝鮮人民軍が逃すはずがない。特殊部隊、爆撃機、魚雷艇、対潜ヘリ、コルベット艦、そして……。息つく間もなく送り込まれる殲滅隊の攻撃をくぐり抜け、東月達は日本に辿り着けるか?

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月村了衛

1963年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、同年『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』『ビタートラップ』などがある。

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