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カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

2021.07.12 更新 ツイート

どれだけクソ野郎でも、全てのケツを大事にすべき理由 カレー沢薫

変わらずウマ娘にハマっており、今もこの原稿を書こうとしたはずなのに、気づけば俺の愛馬がズキュンドキュンして30分経過していた、という次第である。

ちなみに今のは下ネタではなく、本当にそういう歌詞なのだ。

 

正直、金も時間も使い過ぎている感はある。
こういう時オタクは「誰か俺の指を折って止めてくれ(笑)」と言いながら、指を折られるダービー画像を無断転載したりするのだが、こうなったオタクはすでに自分を人間と勘違いしているクリーチャーなので、仮に指を全部折ったところで、額から生えた触手でガチャを回すに決まっている。
よってハンターの皆さまは基本的に「ヘッドショット」もしくは、桑原が「全部潰せば再生できないだろう」と機転を利かせた「平べったくした霊刀」を使っていただければ幸いである。
そんなものうちにはない、という場合はもうグラウンドを整備する星飛雄馬が引いてそうなアレでも構わない。

残念ながら私には、そんな部屋が汚れそうなことをわざわざしてくれる人がいないため、野放図にやり続けているという状態です。

そうすると「最近FGOやってないですね」と言われることも増えてきた。

FGOは新章も公開され、現在はボックスガチャ開催中である。

本来なら「ボックスガチャ」と聞いたら「モンスター買ってくる(量が多いから)」で答えるのが正しい作法なのだが、事実だけ言えば「ログインさえしていない」という状態である。

当初は「新章の後半が出たらやる」「股間にクリーンヒットするキャラが出たらやる」という言い訳のようなことを言って来たが、最近はもう「ウマに飽きたらまたやる」と言うようにしている。

つまり、やる気になったらやるし、逆に言えば今はやる気がないからやらないのだ。

この「やる気がないときはやらない」というのは結構大事なことである。
そもそも「クソ野郎」でいていいのが二次元含む、趣味の良いところである。

現実で、本妻を置いて愛人のマンションに入り浸り、それに苦言を呈されたら「愛人と四十八手コンプしたら帰るわ」などと言ったら総スカンだが、趣味ならそれが許されるし、次の相手に行くときは前の相手とケジメをつけておかなければいけない、ということもない。

例えデート中であろうとも、目の前をビヨンセみたいなケツをしたいい女が通れば本命を置いて追いかけていいし、それに飽きたら朝に近い深夜に、相手はまだ寝ているのではなどとは1ミリも考えず「いつ空いてるの?」とラインを送る感覚で、3か月ぶりのログインをするドルガバ行為をしても誰かの迷惑になるというわけでもない。

そもそも趣味には「本命」という概念すら持つ必要がない。
その時気になったケツを追いかけ「結局どのケツが一番好きなんだ」と詰められても「シチュエーションによる」と答えておけば良いのだ。

また「責任」もとる必要がない。
現実であれば、正直飽きてるしあんまり好きじゃないという状態でも、10年もつきあって今更そんな理由で別れられない、という相手に対する謎の申し訳なさでダラダラつきあい結婚すらしてしまったりするが、趣味なら例え30年推していても好きじゃないならバッサリ切って良いし、この期に及んで「でもまた戻って来るかも」と言っても良いのだ。

逆に言うと、現実の倫理を趣味に持ち込むとかなり苦しいことになってしまうと思うので、趣味の世界ではクソ野郎なぐらいが楽に楽しめるような気がする。
むしろヤル気がないのに「別にしたくはないが週末だから」というミッション意識で挑まれるのは相手にとって不誠実と言える。
今、壮大なFGOのストーリーに取り組むというのは、昼に食ったマックが明らかに残っている状態で、せっかく用意してくれたごちそうの席に座るようなものなので、今は逆に空腹を待ちたいと思う

ただ、気をつけなければいけないのは、新しいイイケツにハマり、古いケツのことがおろそかになり、そのことを他人に指摘されるとつい「古いケツの悪口をいってしまいそうになる」という点だ。

例えば、最近ウマ娘ばっかりでFGOをやってないね、と言われたら「だって、あれほど凝ったレースやライブシーンを『1回は見ろよ』とさえ言わず全スキップさせてくれるウマに対し、未だにFGOはせっかく俺たちが作ったんだから毎回見ろと、宝具をスキップさせてくれないんだぜ?」と言ってしまったりすることだ。

このように、何かを褒めるために、何かを落とすというのは愚策中の愚策であり、現在進行形でFGOを楽しんでいる人が不愉快な気持ちになるし、別れた途端今まで褒めていたものの悪口を言い出すというのは、業界を去った瞬間暴露本を出す奴のようだ。
そういう人間は「うちの業界には来てくれるな」と思われるし、また戻る、ということもしづらくなってしまう。

どれだけクソ野郎でも良いが「どのケツも素敵すぎて一つに絞ることができないんだ」と、ケツを立てる姿勢だけは忘れないようにしたい。

※2021/7/27編集部追記:文末が切れていたので修正致しました。お詫び致します。

関連書籍

カレー沢薫『人生で大事なことはみんなガチャから学んだ』

引きこもり漫画家の唯一の楽しみはソシャゲのガチャ。推しキャラ「へし切長谷部」「土方歳三」を出そうと今日も金をひねり出すが、当然足りないのでババア殿にもらった10万円を突っ込むかどうか悩む日々。と、ただのオタク話かと思いきや、廃課金ライフを通して夫婦や人生の妙も見えてきた。くだらないけど意外と深い抱腹絶倒コラム。

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コメント

和泉  どれだけクソ野郎でも、全てのケツを大事にすべき理由|カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~|カレー沢薫 - 幻冬舎plus https://t.co/avS1icnvtJ 2日前 replyretweetfavorite

ほっこり〜な☆  どちらのケツも立てる…今日も大切なことを思い出させて貰いました。 「ただ、気をつけなければいけないのは、新しいイイケツにハマり、古いケツのことがおろそかになり、そのことを他人に指摘されるとつい「古いケツの悪口をいってしまいそうに… https://t.co/CT4KsSczhf 2日前 replyretweetfavorite

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カレー沢薫

漫画家。エッセイスト。「コミック・モーニング」連載のネコ漫画『クレムリン』(全7巻・モーニングKC)でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『もっと負ける技術』『負ける言葉365』(ともに講談社文庫)、『ブスの本懐』(太田出版)がある。

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