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はじめての減塩

2021.06.21 更新 ツイート

酸味、辛み、香味、うまみ。味のバリエーションでおいしく減塩 東京慈恵会医科大学附属病院栄養部

心疾患、脳卒中、腎結石、骨粗しょう症、胃がん……重大な病気を招く原因にもなる「塩分」。世界で推奨されている1日あたりの塩分量が5グラムなのに対し、日本の平均的なビジネスパーソンは、ゆうに15グラムを超えるそうです。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の監修による『はじめての減塩』は、美味しく、簡単に塩分を減らすための知恵と工夫が満載の一冊。その中から、ぜひ覚えておきたい基礎知識をいくつかご紹介します。

*   *   *

塩味以外のバリエーションを

おいしく減塩生活をするには、塩味以外の味を取り入れるテクニックをぜひとも身につけたいものです。

塩味以外の味つけのバリエーションには、主に以下のようなものがあります。

●酸味……酢、柑橘類など

酸味をきかせると味が際立ち、少ない塩分でももの足りなさが緩和されます。また、酢に含まれる酢酸には、血管を広げて血流をよくし、血圧を下げる働きがあります。塩分を体内から排出してくれるカリウムと並び、減塩生活では積極的に摂りたいものの一つです。

酢というと、一般的なのは穀物酢でしょう。すっきりとした酸味が特徴で、酢の物などに向いています。酸っぱいのが苦手という人は、火を通すことで酸味がやわらぎます

ほかにも、サラダのドレッシングなどによく合うフルーティーなりんご酢、炒め物などに使うとコクが増す黒酢、洋風の肉や魚の味つけに合う香り豊かなバルサミコ酢など、いろいろな種類があります。料理によって使い分けてみてください。

酢だけでなく、レモンすだちゆずなど柑橘類も、料理にさわやかな酸味をプラスしてくれます。揚げ物にソース、焼き魚の大根おろしにしょうゆといった組み合わせをやめ、代わりに柑橘類をきゅっと絞るようにしましょう。

(写真:iStock.com/gbh007)

●辛み……こしょう、とうがらし、カレー粉、わさび、からし、ラー油など

ピリリと刺激的な辛さは、塩辛さとは異なるものです。ですが、とうがらしの辛みのもとであるカプサイシンを多く摂る人は、塩分の摂取量を少なく抑えられるという最新の研究結果が出ているように、塩分の代わりに満足感を与えてくれるものです。

和食では、わさびからしなどを食べる直前につけることが多いですが、料理にも積極的に活用して、塩分を減らしていきたいもの。カレー粉を使った炒め物はよくありますが、粉山椒の炒め物もおすすめです。いつもの塩の量を減らした分、粉山椒を少し入れるとピリリと味が引き締まり、風味も増します。

●香味……ねぎ、玉ねぎ、にんにく、しょうが、みょうが、大葉、セロリなど香味野菜と呼ばれるもの。パセリ、バジル、パクチー(香菜)、ミントなどのハーブ類

香味野菜とハーブの区別は明確ではありませんが、こうした独特の香りや苦みのある野菜ハーブは料理を引き立て、薄味のもの足りなさを補ってくれます。

たとえば、冷ややっこを食べるときにねぎ大葉みょうがといった香味野菜をたっぷりとのせ、塩をパラパラ、さらにごま油もしくはラー油をたらせば、塩味はほんの少しでもおいしく食べられます。

ハーブ類はなじみがないという人もいるかもしれませんが、ハーブを1種類取り入れるだけで料理の幅がぐんと広がります。たとえば、塩分控えめに味つけした焼きそばにパクチーを散らしてレモンを絞れば、一気にエスニック料理に早変わりです。食わず嫌いをせずにいろいろ試してみることをおすすめします。

 

そのほかナッツ類など食感がよいもの、炒りごまなどコクと香ばしさがあるものなども料理のアクセントになります。

これまで味つけを塩やしょうゆ、みそに頼っていたという人は、ぜひ積極的に酸味や辛み、香味などさまざまな味わいを取り入れてみましょう。これまでの単調な味つけから、一気にバリエーションが広がって、料理上手を実感できるようになるかもしれません。新しく好みの味を探す気持ちで、いろいろと挑戦してみてください。

うまみを引き出す調理を

減塩メニューの強い味方となるのが、うまみ成分です。うまみ成分は味に深みを与え、薄味でも満足感を与えてくれます。

うまみ成分はいろいろありますが、主なものにグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3つがあります。

グルタミン酸は昆布に多く含まれるほか、小麦大豆トマトをはじめとする野菜などさまざまな食品に含まれています。イノシン酸は肉類魚類に多く含まれ、かつおぶしはその代表的な食品です。グアニル酸は、干ししいたけ乾燥きのこ類に多く含まれています。

(写真:iStock.com/Promo_Link)

こうして見ると、うまみ成分とは日々私たちが口にするさまざまな食品に含まれているのだということがわかります。これらの食材が持つうまみをいかに上手に引き出して、料理の味に生かすかが、減塩料理のおいしさを左右します。

たとえば野菜のスープ。無水鍋を使うと、調味料はほんの少しで済みます。

理由は、無水鍋を使うと蒸気が漏れずに、野菜がもともと持っている水分を生かし、少ない水で調理できるからです。大量の水で野菜を煮込むと、野菜のうまみは水に溶ける性質があるため、味が薄まってしまいます。無水鍋なら、野菜からうまみが凝縮したスープが出るので、それを生かしてあげれば調味料をたくさん加える必要がないんですね。

 

トマト玉ねぎなどうまみの強い野菜を使えば、コンソメやブイヨンは規定量の半分ぐらい、もしくはいらないくらいです。ほんの少し、塩、こしょうをして味を調えるだけで十分おいしいスープができあがります。

同じように野菜を大量のお湯でゆでると、アクや苦み、えぐみは取り除くことができますが、同時にうまみも湯のなかに溶けてしまいます。そこでとくにアクの強い野菜でないかぎりは、この「実践編」の冒頭でも紹介した「蒸す」がおすすめです。

ただ、せいろや蒸し器はかさばりますから持っていないという人、持っていても奧にしまってあって出すのが面倒という人もいるでしょう。そうした場合は、フライパンに少量水を入れて蒸し焼きにするという方法もあります。芋類や根菜類など固いものには時間がかかるので向いていませんが、火の通りやすいキャベツ小松菜きのこ類などを蒸し焼きにするのには便利です。

関連書籍

東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部『はじめての減塩』

世界保健機関(WHO)のガイドラインが推奨する塩分摂取量が、成人1日あたり5グラム未満にもかかわらず、わが国の平均的な会社員の食事はゆうに15グラムを超える。塩分の摂りすぎは心疾患や脳卒中、腎結石、骨粗鬆症、胃がんなど重大な病気を招く原因となる。まずは厚生労働省が推奨する男性8グラム、女性7グラムに抑えるためにどうすればよいか。外食での注意点と、家庭での食事について献立の考え方から味つけまで、知恵と工夫が満載の一冊。

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