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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2021.04.14 更新 ツイート

第153回 おばキャン いとうあさこ

三回目のキャンプ、行ってまいりました。今回は前回の“氷点下キャンプ”を一緒に戦った森三中・村上嬢と。その時はムーさん一家と一緒でしたが、今回は二人だけ。ずっと言っていたんです。「“おばキャン”したい。」
【おばキャン】おばちゃんだけのキャンプのこと

ムーさんはいつも家族、または友達家族と一緒にキャンプしていて、一度おばちゃんだけのキャンプをしてみたい、と。なので今回はおばちゃんの、おばちゃんによる、おばちゃんの為のキャンプ。要はただひたすら“のんびり”です。

 

目的地は長瀞。私が初めてのキャンプした場所です。急に行く事になったのでダメ元でHP見たらなんと1箇所だけ空いておりまして。しかも川沿いの岩に囲まれたプライベート空間なサイト。わお、逆にラッキーだぜ。

ただ、またです。天気予報、悪し。第一回は雨、第二回は氷点下。そして今回、週間天気予報によると“春の嵐”。しかもちゃんと、雨。すぐうしろシティ阿諏訪師匠にメールで報告。「師匠、嵐と戦ってきます。」すぐに返事をくださる師匠。「試練のような自然にぶち当たる運命の子ですね! 風で焚き火が飛んで火事にならないように。あとまだまだ夜は冷えるので防寒を。桜があるといいですね!」ああ、なんて素晴らしい返信。注意事項も伝えながら、最終的に“ワクワク”でしめてくれる。桜、見られたらいいなぁ。

当日はまずムーさんちに車でお迎え。春休みでおウチにいた娘ちゃんに「ごめんね。明日のお昼までお母さん借りるね。」「うん、いいよ。」「ホントにごめんね。今回『おばキャン』だからおばちゃんしか行けないの。」「うん、お父さんもおじさんだから行けないんだよね。」くぅー! 可愛いぜ、ベイベー! 一生懸命理解したんだね。車が見えなくなるまでパパと一緒に手を振り続けてくれた娘ちゃん、ありがとう。おばキャン、行ってくるよ。

今回は12時チェックインだったので10時頃出発。お互い持ってきた食材を発表したり、コンビニで買うものを確認したり、と食べ物の話多めで長瀞に向かう。道中、早速あちこちで桜が咲いていて。しかもいろんな種類の桜があってとにかく美しい。空はどんよりだったけど、すごく明るい気持ちになった。

12時ちょっと前に到着。すでに何台か車が並んでいたので待つ間、キャンプ場近くのコンビニで空腹が我慢出来ずに買ったメンチカツを車内で食す。まだ温かい。食べ終わると同時にお兄さんが窓をコンコン。手続きと注意事項を聞き、いざ我がサイトへ車を進める。……ん? え? ここ? 馬鹿みたいに、広い。資料によるとなんと336m2。急な予約でたまたま一カ所だけ空いていた所だから広さの確認していなかった。しかも車も超普通車だから、車を停めたとて広大な土地が余っている。さあ、何からどうしよう。とりあえずまずテントか、と思ったらムーさん。素敵な提案をしてくれた。「まず飲もう。」そうだ、今日は“のんびり”に特化したキャンプだった。予報だと雨は17時頃からなのでテントはまだいい。まずは2時間のドライブの疲れを取ろうではないか。車から椅子とテーブルを出して組み立てる。せっかく広いのに「いろいろ置くのにちょうどいい岩がある」とものすごく端っこに設置。テーブルの上に缶ビールと皿と箸を並べる。とにもかくにも、乾杯。ああ、すっごく休みっぽくていい。ムーさんがおウチで作ってきてくれたお漬物や生ハムで巻いたスナップエンドウをツマミながら大好きな焚き火台を準備……しようと思ったら、そう言えばまだ薪を買ってなかった。でもそんなわけでテーマは“のんびり”ですから。ひとまずキャンプ用のちっちゃいカセットコンロを出しまして、これまたムーさんお手製スパイスに漬け込んだ鶏の手羽中を焼く。やっぱりムーさん飯は最高です。

十二分に一息つきたおしたところで動き出す二人。まずは薪を買いに売店へ。お姉さんが昨年来た事を覚えていてくださり、しばし世間話。サイトに戻るといよいよテントです。“いつか大久保さんとキャンプする時に一人でも建てられる二人用テント”でしたが、結局今回もムーさんと協力しながら建てていきます。だいぶ組み立て終わった時に骨組みのポールの向きが逆さまなのに気づき、一瞬“もうテント無視で地べたで寝る”説が浮上しましたが、いやいや。時間ありますから。しかも一杯やってからですからね。こちとらとても元気。一回バラして、再度建て直す。コットやら寝袋やらもついでに全部セットしまして、まだ15時過ぎ。あとはもう眠くなるまで食べて飲むのみです。

焚き火をつけたらまずサバ缶を火にかけ、上からとろけるチーズをのせてグツグツ。ハムと長ネギのアヒージョ、キムチ鍋(〆はもちろん辛ラーメン)などなど少しずつ作りながらビールとワインをグビグビ。キャンプ場は満員でしたが、目の前の荒川の音にかき消されているのか、ほぼ人の声はせず。時々隣のサイトの小さい姉弟が“わざわざ広い所の端っこでおばさん二人が飲んでいる”が不思議なのか覗いてきたり。逆側の隣の子が無心で縄跳びを跳び続けているのを微笑ましく見たりしつつ、またグビグビ。「なんかいいよね。気の置けない友達とだから好きな時に好きなもの食べて、好きなもの飲んで。無理に喋らなくてもいいしね。」そう言いながら結果ずっと喋っておりましたが。うふふ。

結局“春の嵐”は吹かず、雨も20時頃だったからだいぶゆっくり出来ました。夜中はなかなかのどしゃ降りでしたが、翌朝5時にはピタッと止んで快晴に。雨が止むと同時に目覚めたおばちゃん二人はコーヒーを煎れ、昨日使った食器などを洗い、濡れたものを太陽に当たる所で干し、ムーさんが作ってくれたホットサンドを頬張り、鳥のさえずりを聞きながら川を眺める。ってな感じにのんびりゆっくりしていたら、あっという間の10時過ぎ。帰りに通りすがりの道の駅にも寄り、地元の野菜やら果物やらを買って帰りました。

 

【本日の乾杯】おばキャン、とてもよかった。って、そもそも私はいつもおばキャンか。さあて、次回はどの“おば”と“キャン”出来るかなぁ。ああ、楽しみ。焚き火をつけて最初のおつまみ。このサバ缶は“トムヤムクン”味。サバの身もしっかりしていて、トムヤムクンもピリ辛&マイルドで最高。チーズとろとろが合わないわけありません。焚き火の興奮も相まってビール、進むぜ。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

寂しいだか、楽しいだか、よくわからないけど、日々、一生懸命生きてます。 人気芸人の、笑って、共感して、思わず沁みるエッセイ集。

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