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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2021.03.30 更新 ツイート

メレンゲの気持ち いとうあさこ

2021年3月27日土曜日13時半。1996年4月6日から放送されてきた「メレンゲの気持ち」が25年の歴史に幕を下ろしました。25年。すごいなぁ。私は1997年4月にお笑いの世界に飛び込んだので、番組が始まった時はまだ“芸人になること”も“テレビに出るようになること”も“メレンゲのMCになること”も思ってもいなかったわけです。

 

それが2001年7月、“電波少年的15少女漂流記”で無人島生活から生還した8人のグループ・8/15(エイトパーフィフティーン)の一員“伊藤麻子”として初めて「メレンゲの気持ち」に出演する事に。ただ、まあホントに何も出来なくて。そりゃあそうですよね。27歳でお笑いを始めて3年目で無人島に半年連れてかれて。今はすっかり“お喋りオバサン”となりましたが、あの頃はテレビなんてもちろんほぼ出た事ないですから話し方もよくわからず。そのあまりの出来の悪さに落ち込みまくりまして。帰り一人トボトボ市ヶ谷駅に向かい、駅の2階にあったお店の窓際のカウンター席に座り2時間ボーッしたのは今でも鮮明に覚えている。「もう一生テレビに出る事はないんだろうな。」そう思った番組にその10年後、MCとして舞い戻る日が来るなんて。人生とはわからんもんです。

2011年10月1日、芦田愛菜ちゃんが史上最年少MCと言うことで話題騒然の中、こっそり一緒に仲間入り。その後も、ももクロ夏菜子、真麻、三吉ちゃん、尾上松也くん、伊野尾せんせー、村上佳菜子と共に10年近く居座りました。本当にたくさんの方のお話を伺ったなぁ。普段絶対にお目にかからないような方も大勢。スタジオを飛び出し、おでかけロケもやりました。ただ何故かお天気悪いことが多く、沖縄に行った時はもの凄い雨で外に出られず。部屋で栗原類君が覚えたてのタロットしてくれた。出来たばかりのスカイツリーを隅田川から見上げようと船に乗って行った時も天気が悪すぎて“てっぺんが見えない”のレベルではなく、地面から何も見えず。本当にそこにタワーがあるのか? とみんなザワザワした。

海外も行きました。マカオに行った時は夜、スタッフさん数人とホテルの部屋で飲む事に。その部屋に赤ワインが1本あったのですが、ドリンクの値段表には載っていない。フロントに電話して、つたない英語で聞きました。「プリーズテルミー ハウマッチ レッドワイン インマイルーム。」すると答えは「It’s free.」えー!? ワインがタダ!? こんなに英語が喋れないのに生まれて初めて自然に「リアリー?」が出た。「アメイジング! アンビリーバボー! ソーハッピー! サンキュウ!」知っている英語をフルで使ってホテルの人に喜びを伝えた。

いろんなピンチもありました。2018年1月、25年の歴史の中で一回だけ久本さんがインフルエンザでお休みになった時。正月休み明けすぐだったので、聞かされたのも前日。しかもこういう時に限って新コーナーで佳菜子も中継の為、外へ。伊野尾と汗ダクダク収録したのは忘れられない。他にも収録中、急に喉がイガイガする事が何度かありまして。それが我慢すればするほど咳が出てきて。するとテーブルを挟んで真っ正面に座っている久本さんがそれをいち早く察知。ご自分ののど飴をテーブルの上シャーッと滑らせ投げて下さった。観覧のお客様には見えていますがカメラには映っていませんから。久本さんは喋ったまま。私も上半身は動かさずノールックでキャッチ。一粒頂戴して、またテーブルの上をシャーッ。お返しする。何度も助けていただいた。逆に久本さんがイガイガになった時は私もすぐ気がついて、久本さんが復活するまで話を繋ぐ。その時、久本さんが目で「あさこ、よろしく」と言ってくださっているような気がして。それがなんか信頼されているようで凄く嬉しかった。

最終回はMC4人でロケ。佳菜子のバンジーに始まり、皆でいっぱい写真を撮って、途中石塚さんと豪華な食べロケもして。最後はいろんな出し物アリの宴会で〆。初回からナレーションを務められた清水ミチコさんのライブもあり、とにかく皆でいっぱい笑って、いっぱい泣いて、いっぱい感謝した。カメラが止まった後も初期のスタッフさんがたくさん駆けつけて。改めて25年の凄さと、皆さんがどれだけ番組を愛していらしたのかを感じまくった。普通ならこの流れで盛大な打ち上げへ! となるのでしょうが、やはりこのご時世。もちろん無し。仕方ないけど、寂しい。正直まだまだ長きに渡ってお世話になった皆さんと喋りたいし、何はともあれ25年駆け抜けた久本さんに心から「お疲れ様でした!」を伝えたい。するとスタッフさんが「今日このまま終わるのもイヤなので、どうです? リモートで集まりません?」なんと演者用におつまみが何十種類も入ったお弁当までご用意下さっていて。最後の最後まで、感謝。

自宅に戻ると、急いで打ち上げの準備です。まずいただいた大きな花束を飾り、その横にスタッフさんがMC4人それぞれの為に選んでくださった100枚以上の写真が入ったデジタルフォトフレームを置く。伊野尾くんがくれた「メレンゲの気持ち」のロゴの入ったパーカーに着替え、例のお弁当を取り出す。その美味しそうなおつまみ達にニヤニヤしながら、久本さんに頂戴したグラスに氷と、私がMCになって最初の頃ずっとお世話になっていたスタッフさんからいただいた日本酒を注いで準備完了。あらやだ私、頂き物のみで打ち上げ準備出来ちゃった。イヒヒ。

結局3時間続いた宴はただただ平和で優しく楽しき時間でした。途中、寝ちゃう人もいて。その感じもなんだかとてもよかった。本当に9年半もの長い間、めっちゃくちゃお世話になりました。久本さんを筆頭に、ゲストにいらした諸先輩方のお姿を見ていると「ああ、この先、生きていくのが楽しみだ」と心から思えた。正直、今はまだちょっと不思議な気分。寂しいのは確かなのですが、どこか実感がない、と言うか。それだけ観る側としても出る側としても「メレンゲの気持ち」が土曜のお昼の当たり前の存在になっていたんだと思います。

とにかくいっぱいの皆々様に向けて、大きな声で。
「本当に本当に本当にありがとうございました!!」

 

【本日の乾杯】これがその豪華オツマミ弁当。ちなみに私は左上の蟹クリームコロッケを最後の一口にしました。久本さんにいただいたグラスに日本酒を注いで。お疲れ様でした。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

寂しいだか、楽しいだか、よくわからないけど、日々、一生懸命生きてます。 人気芸人の、笑って、共感して、思わず沁みるエッセイ集。

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