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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2021.02.15 更新 ツイート

第149回 冬キャンプ いとうあさこ

そう言えばちょいと前の話になるのですがわたくし、第二回キャンプしてきました。今回は家族で何度も行っていると言うキャンプ先輩・森三中ムーさんファミリー(ムーさん、旦那様、娘ちゃんの3人)と。しかもお料理上手なムーさんに「食事は全部まかせて!」と言っていただいたもんで、本当にワイン二本&ホットワイン用のリンゴとレモンだけ買って参戦。更に「お風呂もあって良さそう」と北軽井沢のキャンプ場も予約してくれ、超おんぶに抱っこ。ありがたい。

 

となったらもう村上家スタイルで参ります。集合は埼玉の三芳PAに朝6時。正直キャンプの目的が“火”“酒”“星”のみの私は夕方行って“夜”が楽しめればいいと思っていたのですが、村上家はいつも早朝から行って、可能なら連泊もするとの事。「眠くなったら途中でお昼寝してもいいし、とにかく自由。時間がたっぷりある分、本当にゆっくり出来るよ。」なるほど。というわけで当日は4時半起きの5時自宅発。「忘れ物ないかな?」「寝坊しないかな?」の心配プラス、普通にワクワクが止まらず3時近くまで眠れなかったけどガバチョと起きた。相当楽しみなのね、私。早朝で道も空いていて待ち合わせ20分前に到着。ムーさん車もすでにいてまだ真っ暗な中、合流。「あちゃこ姉が寂しいだろうから」とムーさん、私の車の助手席に来てくれる。嬉しいねぇ。そこから2時間半、いわゆるとりとめのない話をしながら一路北軽へ。到着すると、あらびっくり。一面、雪景色。もちろん超寒いとは思っていましたが、こんなにちゃんと雪とは。ただこのキャンプ場はかなり自然そのままで、その“真っ白な森”がとにかく美しく感動。平日で他に人もいなく貸し切り状態だし、お天気もよく太陽に照らされた雪がキラキラしていてただただ気持ちよかった。

下が雪だったのと、土の問題なのかペグがいくら打っても土に入っていかなかったのには苦労しましたが、ムーさん家が手伝ってくれたので私のテントはあっという間に設営完了。ムーさんトコのテントはとにかく大きく、まるでモンゴルのゲルのよう。でもさすがキャンプ先輩。手際よく建てていく。しかも今回はおNEWの薪ストーブも中に設置し、ホットカーペットも完備。もうそこでしばらく暮らせる感じ。こりゃ確かに連泊したくなるな。

両家の焚き火も安定してきたら“自由”タイムスタートです。娘ちゃんと二人で“雪にどっちがいっぱい足跡を付けられるか”遊びを延々にしながら、ムーさんの「出来たよー」の声でテントに戻ると焼鳥を焼いたり、お湯を沸かして袋麺を作っていてくれて。それらをツマミに焼酎のお湯割りをグビリ。そしてまた雪に足跡を付けにいく。その繰り返し。50歳、全然眠くなる事もなく遊び続けた。暗くなる前にお風呂にも入って温まり、ありったけの防寒具を着込んで夜に備える。

その夜の寒さは想像を何百倍も超えてきた。日が落ちる頃には一気に気温が下がり、すでに氷点下15度。なので夕食は暖かいムーさん宅で。薪ストーブは“火”がいい感じなのはもちろん、とにかく暖かい。上ではお湯を沸かしたり、冷めた食事を温め直す事も出来るし、下ではピザも焼ける。最高。ただ“そろそろ寝ようか”の頃の気温は更に下がり激ヤバ状態。キャンプ場の方が心配して「コテージ空いているので、よかったら使ってください」とお声がけ下さる程。ムーさん家族も「一緒に車で寝よう」と何度も言ってくれたのですが、何故か無性にこの自然と戦ってみたくなりまして。もちろんこんな寒さの中寝た事もないからどうなるかは未知。うっすら「明日の朝、目が覚めなかったらどうしよう」の気持ちも。でもやっぱり“戦ってみたい”の勝利。「ちょっと寝てみて、やっぱりダメだったら車コンコンしてもいい?」と言うと、ムーさん。「ホントにいつでもコンコンしてね。朝、あちゃこ姉が起きてこないのはヤダよ」と。ありがとう。

そんな意地も一瞬で後悔に変わるほど刻一刻と寒さは増していく。暖をとるべく温めたお酒も一口目でもうぬるく、二口目は冷たい。雪山プロのイモトに「絶対用意した方がいい」と言われ買った湯たんぽも、おもちゃみたいなのしか売ってなかったもんで5分と経たず冷たくなりまして。寝袋の中を暖める予定が逆に足先を冷やす凶器と化す。あとこれは単なる凡ミスなのですが、相当冷えるからと奮発してUGGのモコモコブーツを購入したのですが、いつものクセで裸足で履いてきちゃいましてね。そうです、裸足&キンキンに冷えた湯たんぽ。足先、冷え倒しの巻。寝袋の中に厚手の毛布を入れ、足先をくるむ。寝袋の顔が出ている所も出来るだけ絞って、とにかく肌が外気に触れないようにする。あとはただ、朝目覚める事を祈りつつ就寝。

そして、朝です。無事にお目覚め。最初に思った事は「生きてる」。すごい感覚。テント内が何かキラキラしていて、よく見ると寒さのあまり内側が凍っていた。プラネタリウムみたいで、なんか綺麗。ゆっくり体を起こし外に出てみるとまだ5時くらいだったので真っ暗ですが、雪が光って少し明るく感じる。キンと冷えた空気とたまに雪が木から落ちる以外は音のない世界。でも近くで友達家族が寝ているからか孤独な感じもしない。一人ゆっくり昨日そのままにした食器などを少しずつ炊事場に持っていっては洗い、そして雪の真ん中でボーッとし、また洗い物へ、を繰り返した。夜が明けていくにつれて少しずつ気温も上昇(とは言え相当寒いですが)。太陽の凄さを再確認しつつ、自分の体温も上がっていく、その“生きてる”という実感みたいなものを楽しんだ朝となりました。

昨年の夏、キャンプ番組で無人島以来の“焚き火”愛を思い出し、秋には雨のファーストキャンプ。そして冬、雪の中のセカンドキャンプ。たまたま第一回第二回共に過酷な条件となりましたが、やっぱりキャンプ、また行きたいんですよねぇ。むしろ雨と氷点下を経験したら、もう“怖いものなし”気分。よし、第三回も何でも来いや! ……いや、も少しお手柔らかに、に越したことないですが。

 

【本日の乾杯】
ムーさんちの薪ストーブで焼いたピザ。そりゃ美味しいに決まってる。普段ピザだとビールかワインですが、この日はあまりの寒さからヤカンで湧かした日本酒を飲みつつ、パクり。ああ、キャンプ、いいわぁ。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

寂しいだか、楽しいだか、よくわからないけど、日々、一生懸命生きてます。 人気芸人の、笑って、共感して、思わず沁みるエッセイ集。

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