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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2020.10.15 更新 ツイート

第141回 キャンプブーム いとうあさこ

私はブームによく乗り遅れる。まずそもそも情報収集能力が低い。昔から「え? 知らないの?」という言葉を幾度となく浴びせられてきた。そしてやっと知ったところで、今度は“流行ったものに後から乗っかる”感じがなんだか恥ずかしく。ただただ一刻も早くブームが過ぎ去る事を祈りながらやり過ごしてきた。そして最近また、その状況に直面した。それは、キャンプ、です。そもそもお笑い界では何年も前から流行っていて、“キャンプ芸人”さん達がいろんなキャンプ動画をネットにあげている。そこにやって来たこのキャンプブーム。本当にたくさんのキャンプ特番を見かけます。

 

そしてわたくしにもそのお仕事、やってまいりました。お馴染みバイきんぐ西村&うしろシティ阿諏訪ペアが先生で、超初心者の私とSHELLYにソロキャンプの魅力を教えると言う番組。その頃正直、キャンプは興味津々半分、興味ゼロ半分でした。元々異常なまでの面倒くさがり屋な私。キャンプはいろいろ片付けが大変なイメージ。それに“もう流行っちゃった”がプラス。それが“興味ゼロ”部分。

ただ逆に“興味津々”部分は“星”と“火”。私は中高時代、天文班に属し、将来宇宙物理を学びたい、と思っていたほど星が好きだった。更に火も好き、となったのは電波少年で無人島行った時。いつまで続くかわからない無限に感じる日々の中、私の心の癒やしは“夜”でした。島には明かりがない分、見た事ない数の星たちが見えまして。それを浜辺に座って何時間もボーッと眺めておりました。ただ昼間は暑い島でしたが夜はかなり冷えるし、なかなかの真っ暗。なのでいつも傍らにたき火を。マッチだけは支給されておりましたが大箱一箱だけ。湿気がひどかったので、あっと言う間に箱は湿ってベコベコに。ヤスリの部分もすぐダメになったので、何度も石や珊瑚のかけらで擦って再生させていました。小枝や椰子の実の繊維にマッチで火を点け、少しずつ太い枝を重ねていき、一晩もつくらいの火を作った。時々夜の海に飛び込んで魚や貝を捕ってきては火に放りこんで焼いて食べたりもした。炎が消えても炭になった木を枝でつついて割り、赤く光るのを見るのも大好きだった。

そんな“火”好きを思い出したのがその特番ロケ。富士山の麓のキャンプ場に行きまして。初めて火打ち石での火起こしにチャレンジ。チャークロスという炭化させた布に火打ち石&火打ち金を擦り合わせて出来た火花がつけばしばらく燃えているので、それをほぐした麻紐にくるんでフーフーすれば火だねの完成。ただこれがなかなか難しく。私、力が強過ぎるんだろうなぁ。火打ち金を当てる度に火打ち石が粉々に。でも西村・阿諏訪両先生のご指導の元、踏ん張る事10分。突然チャークロスに小さな蛍くらいの火が。

「どうすんの?」「動いたら消える?」「大丈夫?」とテンパる私にみんなが「ゆっくりゆっくり! 大丈夫!」

と声かけてくれ、なんとかたき火が完成。まあ、これがえらく楽しくて。だってゼロから作った“自分の火”ですよ。ホントに感動&感激。その瞬間、私は決めました。キャンプ行って、たき火して、星を見よう。もちろん、飲みながら。

後日、親友・大久保さんにその事を話すと、まさかの「私も行きたい」と。しかも「テント含め自分の分は自分で買うわ」とかなりの前向きさ。即行、阿諏訪先生に連絡。「テントは何がいい?」「何を揃えたらキャンプに行ける?」「キャンプ用品はどこで買う?」などなど、もろもろ教えていただきまして。あとは雑誌やネットを見て研究も。

ただおばちゃん、腰、重いんですよね。結局テントをどれにするか悩みつつ、仕事だなんだ言いながら気づけば1ヶ月半も経過。やっと「よし、テント決めた」と思った頃には大久保さん。「出来たら二人用のテントにしてくれない?」テント購買意欲、消滅。でもキャンプ熱はまだまだばっちり。ホッ。

と言う事で再度阿諏訪くんに大きめのテントを相談。あるキャンプ屋さんを教えてもらい、今度こそ本当に行ってみる事にしました。初めてのお店は緊張する。しかも平日の午前中だったのでお客さんは私一人。ぎこちなく入り口のアルコール消毒を手に擦り込んでいると、若いお兄さんとお姉さんの店員さんが優しく「いらっしゃいませ。」ちょっと安心。ただ何かお仕事をなさっていたので、手を後ろに組む“教頭先生スタイル”でしばらく店内をゆっくり徘徊してみる。ただこちとらホントに素人。見ても何にもわからない。

「ああ、どうしよう」と思う寸前のちょうどいいタイミングで“お兄さん店員”さんが声をかけてくださった。「何かお探しですか?」私は“超初心者”“人間二人とワンコ一匹”“一人でも設営出来るテント(おそらく大久保さんはパコ美を見なきゃだから)”“前室広め(タープなしでもいいように)”と4点伝えた。すると予定よりだいぶ大きいけど、一人で設営できるテントを教えてくれた。

「よろしかったら組み立ててみます?」え? ホントに? そんな訳でいとうあさこ50歳、初のテント設営にチャレンジ。いやはや「お店でこんなに汗かく!?」と言うほどめちゃくちゃ汗だくになりながら格闘すること15分。なんとか完成。しかもそのテントを持っているというお店の常連さんがたまたまいらして。「このテントにはこのオプション付けた方が快適だよ」とよい情報までゲット。このキャンプ族の仲間感、いいねぇ。“山道ですれ違う時、知らないのに「こんにちは!」と挨拶する”感じのやつだ。ありがたい。こうして皆々様のご協力のもと、テントとそのテント用のオプションたち、椅子、焚き火台、火起こしセットを購入。これで第一段階クリア。そして今はテーブル、食器類、寝袋など小物系をネットやらお店やらで揃え中。

そんなこんなで私の超遅ればせながらのキャンプデビューが近づいております。と言いながら、言うても腰重おばちゃん。かつ佳代子さんとの予定もなかなか合わず。あまり寒くならないうちに、いや、来年になる前に。いやいや、テントの建て方忘れる前に初キャンプ、行きたいなぁ。

 

【本日の乾杯】

茶碗蒸しを頼んだら、たっぷりの白子がのってきた。冬先取り。いや、こんだけ寒かったらもう冬でいいか。久しぶりに熱燗、ですな。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

寂しいだか、楽しいだか、よくわからないけど、日々、一生懸命生きてます。 人気芸人の、笑って、共感して、思わず沁みるエッセイ集。

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