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ゴルフは名言でうまくなる

2020.08.02 更新 ツイート

第143回

「耳でパットせよ」――ジャック・ホワイト岡上貞夫

「目隠しパッティング」でストロークが安定する

ジャック・ホワイトは1904年の全英オープンで史上初めて300打を切り、296打で優勝したスコットランド出身のプロだ。

ホワイトは当時の名手、ウィリー・パーク・ジュニアと並び称されるほどのパッティングの名手でもあった。

1921年に出版された彼の著書、その名も“Putting”の中に表題の名言が出てくるのだが、その意味するところは次のようである。

「ボールをヒットしたとき、頭は固定されていても、瞳孔がボールのあとを追っただけで頭が動いたのと同じ結果を生むものだ。だから、私は、ボールがカップに入ってコトンと音がするのを聞くまで目はボールのあった跡を見ているのだ」

 

つまり「耳でパットせよ」とは、「パッティングでは頭を固定して、動かしてはいけない。そのためには視線さえも固定して、微動だにさせないようにすべき」ということだ。

岡本綾子プロがパットに悩む上田桃子プロに、「ボールを漠然と見るのではなく、ディンプルの一つをはっきりクッキリ凝視するのよ!」アドバイスした例もある。

どうやら、パッティングでは、目でボールのあとを追うだけで、微妙にストロークが狂ってしまうようだ。ホワイトのように「カップに入った音を聞くまで視線を外さない」というのはショート・パットに限るのだろうが、インパクト後に1~2秒程度はボールのあった跡を見つめ続けようと心がけることで、ストロークが安定するのだろう。

これを徹底するには、目をつぶってストロークする練習が効果的だ。家でショート・パットを練習するときは、パターのフェース面を目標に合わせたら目をつぶり、頭の中に浮かんでいるイメージに従ってボールを打つのだ。

ボールを見つめてストロークすると少しギクシャクしてしまうような人でも、目をつぶって打ってみると、意外にもスムーズなストロークができたりするから不思議だ。

目を開けていると、「手だけでバックスウィングしないように」とか「正確にまっすぐ引こう」とかいろいろな雑念が入って、実際にまっすぐ後方へヘッドが引けなかったりすると、それが見えてしまって、小手先で調整しようとしたりもする。

これが目をつぶってやると、ほとんど無意識にイメージしたストロークができ、カップインの確率はむしろ高くなるのだ。

実際のコースでこの「目隠しパッティング」をやろうとしても、不安になってしまいなかなか実践できないが、練習ではぜひ試してみていただきたいと思う。

インパクト音から多くのことがわかる

さて、「目隠しパッティング練習」をしていると、インパクトの音が否応なしに際立って聞こえる。このインパクト音をよく聞くことも、「耳でパットせよ」のもうひとつの意味ではないかと私は思っている。

たしか湯原信光プロの話だったと思うが、彼は子どものころからプロになるまで、ピン・アンサーのパターを愛用していた。

ピン・アンサーのバックフェースにはソールまで貫通するスリットが入っているので、芯でヒットすると文字通り「ピン」というインパクト音がする。

彼はその音を聞いて、距離感や正確に芯でヒットした感覚を得ていたのだ。ところが、メーカーとの契約の関係などもあったのか、その後は違うパターも使いだした。

すると、「ピン」というインパクト音がなくなったことで、パッティングがおかしくなってしまったという。

ゴルファーは、意外にも多くの情報をインパクトの音から得てパッティングしているようだ。だとすると、「どんなインパクト音を出すのか」ということが、パター選びで重要なファクターのひとつになるのではないか。

近年、多くのプロが使用しているオデッセイのパターは、フェースに打感を柔らかくする樹脂素材を埋め込んであるものが多い。

これは、昔の糸巻きバラタカバーのボールをヒットしたときの柔らかい打感を、硬いツーピースボールでも感じられるようにと工夫されたのではないかと思う。

擬音の表現が正しいかどうかは別として、打感は「ボコッ」、インパクト音は「ポコン」。感じ方は人によるが、これを柔らかい打感と柔らかい音でいいと感じる人もいれば、鈍い打感で音も不鮮明と感じる人もいる。

一方、タイガー・ウッズが長年愛用するスコッティ・キャメロン(ピン型)のような軟鉄鍛造ヘッドのパターなどは、打感は少し硬い「コツン」、インパクト音も「コンッ」という感じだ。

タイガーが優勝した試合の映像を見ていると、集音マイクから鮮明に「コンッ」という音が聞こえ、解説者も「いい音をさせていますね」などと言っている。

オデッセイにもピン型のパターはあるが、彼は使っていない。タイガーにとっては、この音でないとダメなのだろう。

パターの素材としては、ほかに銅やアルミなども使われていたが、最近は少ないようだ。また、合金で作られたパターや素材を組み合わせたハイブリットタイプもあるから、その打感とインパクト音は多種多様だ。

ボールやグリップでもインパクト音は変わる

さらに、同じパターでも使用するボールによって打感とインパクト音は異なる。キャロウェイのクロムソフトなどはとても柔らかい打感と音になるし、飛距離重視でスピン量が少ないタイプのボールは、かなり硬い「カチン」とした打感と音だ。

音は変わらないが打感を変える要素としては、グリップもある。近年人気のスーパー・ストロークは軽い素材で太いグリップのものが多く、とくに太いタイプは打感が柔らかくなる。

イップスの症状があるプレーヤーは、太いグリップにすることでパンチが入るのを予防していることもあるようだ。

タイガーは、終始一貫してピンのグリップ(ロゴ黒消し)しか使用せず、角度を1度だけ右向きに装着しているそうだ。それが彼の研ぎ澄まされた感性にマッチしているのだろう。

このように、「ヘッド(フェース面)の素材」「使用ボール」「グリップ」の組み合わせによって、打感やインパクト音はそれぞれ変化するとなると、その組み合わせは星の数ほどもあるような気がしてくる。

そのなかから自分の感性にマッチした1本を選び出すのは、大変な作業にも思える。パッティングの名手たちは、同じパターを長年変えないのはそのせいかもしれない。

一方、パターをしょっちゅう変えるプレーヤーも多い。しかし、その多くはパッティングに苦しみ、パットでスコアを崩す不調に悩むプレーヤーだ。

「パットの上手な者は、ゴルフについて半分も悩まない」(フィル・ガルバノ)

こんな名言があるくらいで、ゴルフで悩んでいるプレーヤーの半分以上は、パッティングに悩んでいるものだ。

だから、自分の感性に合った好きな打感とインパクト音がするパターを探し出したいのは、ゴルファーの性といってもいいだろう。

あまり難しく考えてもいけないので、打感や音が「柔らかい」か「硬い」に大きく分けて、自分の好きなほうに合ったヘッド素材から選んでみてはどうだろうか。

それで、自分の使用ボールを試し打ちしてみて、インパクト音がとくに気に入ったパターを見つけられたら、パットの悩みは相当軽減されることだろう。

今回のまとめ

1. パッティングでは、視線がボールのあとを追うだけで、頭が動いたのと同じようにストロークが乱れる。目隠しパット練習でいいストロークを感覚的に覚えよう

2. パッティングでは、インパクト音から得る情報でも距離感や芯でヒットしたかどうかの判断をしている

3. 自分の好みに合った打感とインパクト音が得られるパターを見つければ、パットの悩みは相当軽減される

参考資料:摂津茂和『不滅のゴルフ名言集(1)読んでうまくなるのがゴルフ』ベースボール・マガシン社新書、2009年

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コメント

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幻冬舎plus  「目隠しパッティング練習」をすることで、インパクト音がよく聞こえるようになり、上達するんですね。ゴルフには音も重要なのだと感じます。(岩) 「耳でパットせよ」――ジャック・ホワイト|ゴルフは名言でうまくなる|岡上貞夫 https://t.co/D5pTi88H8U 4日前 replyretweetfavorite

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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