1. Home
  2. 生き方
  3. フィンランドで暮らしてみた
  4. フィンランドの夏の味「ベリーのスープ」レ...

フィンランドで暮らしてみた

2020.07.31 更新 ツイート

フィンランドの夏の味「ベリーのスープ」レシピ芹澤桂

いまだに毎年夏になると思い出しては夫をいじめる材料にしているのだけれど、一緒に暮らし始めて最初の夏、彼がいちごをわんさか買ってきた。

まず、フィンランドのいちごの旬は夏である。ハウスものではなく露地栽培なので驚くほど旬が短く、夏至の頃から7月にかけて1ヶ月ほど。あとの季節は全然味の違う南ヨーロッパやアフリカからの輸入ものぐらいしかお目にかかれない。なので旬の時期になるとスーパーマーケットの駐車場や街の広場に他のベリーやキノコと合わせて売る特設テントが立ち並び、みんなそれを夢中になって買っていく。

それにしても、だ。

 

巨大な箱の中のベリー

明日から2週間のキャンプ旅にスコットランドに出かけるというその日、その荷造りでもっとも忙しい日の夕方をピンポイントで狙って、いちごを2箱も買ってくるのはうちの夫ぐらいだと思いたい。

「今買わないと帰ってくる頃には旬が終わるから……!」

と血相を変えて夫が出て行ったときは、いちご産地の静岡県に実家がある私としては旬が短いなんて気の毒だなぁははん、ぐらいにしか思っておらず、あとはまだ慣れていなかったキャンプ旅行への荷造りをせっせと続けていたのだけれど、いざ戻ってきた夫が手に提げているそのいちごの箱がやけに大きいのに度肝を抜かれた。

日本でいちごが入っている、あの透明なプラスチックの箱なんかは比じゃない。

1箱=5kgなのだ。つまり合計10kgのいちごと、おまけにブルーベリーも10kgやってきた。もちろん冷凍用ではあるのだけれど、冷凍庫が全て埋まる勢いだ。

(どーん)

これが普通の家庭なら夫婦喧嘩に発展するところだろうけど、うちの場合は私が怒って、夫がしゅんとする。以上。というわけで、

「ただ冷凍するにも洗ってヘタ取って柔らかいの取り分けてジャムにしてってしなきゃいけないのに、今日それをするってことよく考えた……?」

とひと通り怒ったあとは、2人で仲良く手を真っ赤に染めながら、狭いキッチンでいちご冷凍工場を運営することとなった。いちごいちごと、大の男が赤い小さな実に心躍らせているのを見ると怒る気も失せる。

夏のベリー仕事

以来毎年ベリーの季節が来ると、あのときのようなことは二度とないようにとしつこいほどに言い聞かせているのだけれど、やってくるベリーの量は減ることなくむしろ毎年増えている。

いちご、ラズベリーに、ブルーベリー。庭で取れるグースベリー、赤すぐりに黒すぐり。

ただしそれらを捌くこちらの手も年々慣れてくるもので、最初の年こそ潰れかかったベリーをちまちまジャムにすることぐらいしか思いつかなかったけれど、今はもっと簡単にドバッと鍋に入れて煮て食べる方法を学んだ。

それがベリーのスープである。

メフケイット(mehukeitto)という名で紙パックでも売られてもいるこの飲み物は、直訳するとジューススープ、とろりと甘く、冷たいままでも温めても飲める。

それよりも更にとろみを強くして器に入れてデザートにしたものがキーッセリ(kiisseli)と呼ばれている。

とろみ付けは片栗粉。たいていのフィンランドの家庭の冷凍庫には、夏にどっさり買ったり摘んだりしたベリーが詰まっているので、あるものですぐ作れる即席ゼリーのような存在のデザートだ。ジャムほど煮込み時間も砂糖もいらずヘルシーな気分になれる冷たいデザートは一年中通してビタミン補給に重宝されている。

(いちごとルバーブのキーッセリ)

デザートにもなるベリーのスープレシピ

(夏のベリーのスープ)

【材料】

冷凍ミックスベリー 400g

水         500ml

砂糖        50g

*片栗粉      大さじ2

*水        大さじ2

*は合わせて混ぜておく

 

【作り方】

1、冷凍ベリー、水、砂糖を鍋に入れて火にかける。

2、煮立ったらベリーが崩れないうちに火から下ろし、水溶き片栗粉を加えよく混ぜる。

3、再び火にかけ、とろみがつくまでざっくり混ぜる。器に移し、食べる前によく冷ます。

4、生クリーム、アイスクリームなどをかけて食べる。

(歯ごたえのあるチーズ。ベリーやジャムをかけ
食後に食べます)

関連キーワード

関連書籍

芹澤桂『ほんとはかわいくないフィンランド』

気づけばフィンランド人と結婚して、ヘルシンキで子どもまで産んでしまった。暮らしてみてわかっ た、ちゃっかり賢く、ざっくり楽しい、フィンランドの意外な一面。裸で大事な会議をしたり、いつで もどこでもソーセージを食べたり、人前で母乳をあげたり……。ちょっと不思議でなるほど納得。「か わいくない北欧」に笑いがこぼれる赤裸々エッセイ。

{ この記事をシェアする }

フィンランドで暮らしてみた

気づけばフィンランド人と結婚して、ヘルシンキに暮らしてた! しかも子どもまで産んだ!

日本人の大好きな「かわいい北欧」。でも、その実態は?

暮らしてみて初めてわかった、フィンランドのちゃっかり賢く、ざっくり楽しい、意外な一面。

ゆるゆるまったり、マイペースにご紹介。

バックナンバー

芹澤桂 小説家

1983年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2008年「ファディダディ・ストーカーズ」にて第2回パピルス新人賞特別賞を受賞しデビュー。ヘルシンキ在住。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP