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性風俗シングルマザー

2020.06.18 公開 ツイート

自家用車を手放さなければならないから生活保護は受給したくない 坂爪真吾

(写真:iStock.com/kieferpix)

新型コロナの影響により、生活が苦しくなっているシングルマザーが全国で増加しています。ひとり親世帯の貧困率が五割を超え、経済的・社会的に弱い立場に置かれているにもかかわらず、シングルマザーは「自己責任」という言葉の下、社会的なバッシングや無視・放置の対象になりがちです。

その中でも、経済的な理由から性風俗店で働くことを選んだ地方都市のシングルマザーは、首都圏のシングルマザーに比べて問題化されづらく、性風俗に対する偏見も加わって、これまでなかなか光が当てられることがありませんでした。

しかし、彼女たちが置かれている状況には、現代社会における「家族」「就労」「社会保障制度」「人口減少」「ジェンダー」、全ての課題と論点が詰まっています。今回のコロナ禍によって、改めてそれらの課題が浮き彫りになったことを痛感している人も多いはずです。

2020年1月11日(土)、新潟ユニゾンプラザにて、講演会「新潟市における女性と子どもの貧困 ~シングルマザーと性風俗の視点から考える~」が開催されました。

講演会では、2019年12月に刊行された『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』(坂爪真吾・集英社新書)の内容をベースに、地方都市における女性と子どもの貧困の現状と課題を可視化し、私たちがこの問題にどう向き合っていくかについて、ひとり親支援の現場に精通した有識者・支援者・当事者を交えて議論を行いました。

今回の議論が、コロナ禍におけるシングルマザーの問題をより深く考えるためのきっかけになることを願っています。

<登壇者>
赤石千衣子さん(認定NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむ理事長)
小池由佳さん(子どもの貧困問題に詳しい新潟県立大学人間生活学部子ども学科教授)
北村ゆいさん(新潟市パーソナル・サポート・センター相談支援員)
ゆうさん(新潟の風俗店で働く現役キャスト兼風俗講師)
坂爪真吾(風テラス発起人・一般社団法人ホワイトハンズ代表理事)

<団体紹介>
風テラス

性風俗店ではたらく女性のための無料生活・法律相談事業。弁護士とソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)がチームで相談を受けている。性風俗の世界で働く女性が、現在抱えている悩みや困難(借金、離婚、障害、病気、介護、育児、DVなどの問題)を、性風俗で働いているという事実を隠さずに、安心して相談できる機会を作ることを目的にしている。2015年10月にスタートし、現在は東京(池袋、鶯谷)・大阪・名古屋・新潟(新潟市)およびオンライン(全国)で相談会を実施している。

生活保護をはじめとした福祉制度は風俗に勝てないのか

北村 私は、生活困窮者の自立支援法に基づく相談支援事業「新潟市パーソナル・サポート・センター」の相談支援員をしています。今年で8年目になります。

「風テラス」の活動にも平成29年の春頃から参加しておりまして、2年ほどデリヘルの待機部屋を毎月1回訪問していました。『性風俗シングルマザー』の中に登場したシングルマザーの方々の取材にも同席しています。そうした中で、シングルマザーが生活のために性風俗で働くということや、それにまつわる様々な問題が、自分が生活しているこの新潟という場所で起きている問題だということに、まず驚きました。

そのため、まずは支援者や市民の方々がこうした現状を知ることがすごく大事だなと感じています。実際にデリヘルで働いている方の困りごとを聞くと、福祉ではなかなかすくいとれない問題がたくさんある。では生活保護を受ければいいかというと、そうでもない。色々な葛藤があったりする。

お金の面だけを見ると、生活保護をはじめとした福祉制度は風俗には勝てない、ということを痛感しています。私たちのセンターに来られる相談者の方々の中にも、シングルマザーの方は大勢いらっしゃいます。月々の収入はパートで10万前後、そこに児童手当と児童扶養手当があるだけ。そこに養育費があればいいのですが、それでも、ほんとにカツカツの生活をされている。生活保護の基準以下で生活している方は大勢います。

生活保護を受給すると自家用車を手放さなければならないことが多いため、車社会の新潟市では、なかなか受給までたどり着かない。私たちは「子どもさんのことを考えて、一時的に生活保護を受けたらどうですか」という提案を必ず行うのですが、車の問題や生活保護を受けることへの抵抗感があり、受給を拒む方が多いです。

他県では、「今すぐ車を処分しないと生活保護を受けられませんよ」と役所で言われることもあるみたいですが、新潟市ではそこまで言われることはなく、申請の時は車を所有していても大丈夫です。その後で、本当に車が必要かどうかを一件一件ちゃんと協議してくれている、という印象があります。

生活保護の申請でよくいわれる水際作戦(職員が申請を受け取らない)のようなことは、新潟市ではないと思っています。ただ、新潟市以外のところでは、ちらほら話は聞くかな……という現状です。

私自身もシングルマザーで3人の子どもを育てています。良い母親になりたい、ちゃんと子育てをしたいという気持ちと、でも働きたい、自分もやりたいことがある、という葛藤の中で生活をしています。

赤石さんが「シングルマザーは外部のサービスを使う勇気のない人が多い」とおっしゃっていたことについては、まさにそうだなと思います。

少しお金を出せば楽になるんだけど、そのお金を出すよりは、自分が寝る時間を削って頑張ったほうが、おいしいものを食べに行けるよねと思ってしまう。そのため、まだまだそうしたサービスを使うハードルは高いなと感じています。必要なのは、男性でもない。男性がいればいたで精神的安定を得られるのかもしれないけど、変な男だったら困る。またお金があっても、お金は精神的な援助をしてくれない。だから、自分と同じ目線で子どもを見て、考えてくれる、そして家事の能力も自分と同じぐらいできる人=「妻」が必要だなと思いました。

私たちの相談窓口に来る方は、歯のない人がかなり多いです。そして、そうした家庭の子どもも歯がボロボロになっていることが多い。マスクを常にしている人もいます。歯がないと、面接も行けず、就職活動ができない。仕事ができないと貧困に陥りますし、病院にも通えないし、歯医者にも行けない。貧困と歯の問題は相互に関係していると改めて感じています。

ゆう 私は、現在店舗型のお店で、キャストとして働いています。業界歴は10年になります。今は風俗講師の仕事もしています。働いている女の子に対して技術や接客の講習をさせて頂いたり、風テラスさんの「みんなの待機部屋」でゲストとして講義をさせて頂いたりしています。

今日のイベントでは、働いている女の子の立場に寄り添って発言させて頂けたら、と思って参加いたしました。私自身はシングルマザーではないのですが、風俗の世界で働いてきた中で、中絶や死産の経験もあり、命のない子どもの母という立場ではあります。

10年間働いてきた中で、この仕事を卒業することの難しさを感じています。私も資格を取って自営業として新しくやっていこうと思っているのですが、頑張っていくことの難しさも感じています。またお金や生活の問題だけでなく、風俗が精神的な居場所になっているところもあるので、そうした意味でも、卒業することが難しいなと思っております。

『性風俗シングルマザー』の中にも、色々な方のケースが紹介されているのですが、妊娠が分かった時に誰にも言えなかったり、1人で中絶の費用を稼ぐために、ギリギリまで働かなければならない、といったこともあると思います。シングルマザーの本当の気持ちについては分からないかもしれないのですが、現場のキャスト目線、これまで風俗講師としてキャストさんとお話させて頂いたり、聞かせて頂いたことを皆様にお伝えできたらいいなと思っております。


シングルマザー支援と「母親」「女性」「働く人」の視点

坂爪 ありがとうございます。これからディスカッションに入ります。今回のテーマである『女性と子どもの貧困』に合わせて、問いを2つに分けて議論を行います。

1つ目の問いは「女性をどう支援するか」。地方都市におけるシングルマザーの支援について、これから具体的にどのようなことをやっていくべきか。2つ目の問いは、「子どもをどう支援するか」です。シングルマザーの問題と絡んで、子どもに対してどんな支援をするべきか。

まず1つ目の女性の支援について、小池さんにお伺いしたいと思います。

小池 私自身は、子どもや子育て家庭が専門なのですが、子育て支援の話をするときには、「女性」「母親」「働く人」という3つの役割をお母さんたちにどう保障していくかという観点で話すことが多いです。

なぜかというと、小さいお子さんたちを育てているお母さんたちは、この中でも「母親」であることを一番強いられる状況になっている。「母親」以外に、1人の「女性」として、「働く人」として生きていく選択肢も当然あっていい。

そうした話をするのですが、一方で「女性」や「働く人」という側面があまりにも強く出てしまう場合にも、問題が起こる可能性がある。

女性の貧困問題に対してどう取り組んでいくべきかに関しては、私も十分にお答えができないのですが、この3つの役割を、もう少しバランスよく配分していくような取り組みは必要なのかなと思っています。働くことで得られるのは、収入だけではありません。自己肯定感も得ることができる。

そういうところも含めて、この3者のバランス配分をいかに政策に落とし込んでいくか。そこにきちんと向き合っていかなければいけないと感じています。

坂爪 小池さん、ありがとうございます。3者のバランスをとる、ということは非常に重要なご指摘だと思います。その次に浮かび上がってくるのは、3つの役割を全て女性に押し付けている男性側の存在だと思います。

『性風俗シングルマザー』ということで、女性ばかりに焦点が当たりがちですが、実はその夫や彼氏といった男性側の抱えている問題もかなり大きいのではないでしょうか。

男性側もいろんな課題を抱えているのだけれども、それらにあまり焦点が当たっておらず、かつそれが全部女性側に押し付けられてしまう傾向がある。特に風俗の世界では、男性の問題を全部女性が引き受けてしまっているケースがかなり多いと思うのですが、ゆうさんはどうお考えでしょうか。

ゆう 風俗で働いている女性の方って、本当に優しい方が多くて、男性よりも頑張ってしまう。「借金を返してあげたい」「男性のために尽くしてあげたい」という方がすごく多いだろうなということは想像できます。

坂爪 ご本人が「自分だけが頑張ればいい」「我慢すればいい」と思い込んでしまっているケースはかなり多いと思います。ここで赤石さんにお伺いしたいのですが、そういう方をどのように支えていくかについて、ヒントがあればお伺いしたいです。

赤石 自分がやるべきことと他の人がやるべきことの境界線がごちゃごちゃになっているために、自分の領域を侵害されやすい方は一定数いる、という印象を持っています。

日本では、家の中でちょっと困ったことが起こった場合、女性がそれをうまく回すという役割を担いがちなので、そういう振る舞い方のパターンを学習してしまっているところはある。私たちの団体では、そうした振る舞い方を見つめなおすために、当事者向けのワークショップをやることもあります。

そもそもの自己肯定感が低いと、相手の役に立つことで自分の価値を確認する、という構造の中に置かれやすい。借金のように、引き受けるべきではないことまで引き受けてしまうと、相手はいつまで経っても借金をつくる習慣を改められない。相手が自分で自己破産するなりすればいいんだけども、女性側が引き受けてしまう。

そういう中で起こってくる問題や、自分自身の捉え方について、一緒に考えられるチャンスがあるといいなと思います。

坂爪 ありがとうございます。自分の課題と他人の課題を混同してしまったり、他人の課題を全部自分で抱え込んでしまう場合でも、本人にとっては、それが当たり前だと思っている方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

北村さんにお伺いしたいのですが、最近新潟の風テラスでも、親やきょうだい、恋人の借金を全部自分で背負って、ほぼ毎日風俗店に出勤している方がおられましたけど、他人の課題を背負って働くことを疑問に思っていない人については、どうやって支援していけばよいのでしょうか。切り口というか、ヒントがあればお伺いしたいのですが。

北村 この間私が対応した方なのですが、結論から言うと、「一応相談には来たけど、自分で頑張りますんで、何もしなくていいです」と帰ってしまったんです。

私としては、「役に立てなかったな」と結構凹んだケースでした。その方は、かなり劣悪な環境に住んでいて、遠方にいる男性にすごく依存をしている。同居していない家族の学費まで、一人で支払っている。その家族も、多分生活保護は受給できる状況だと思うのですが、本人がデリヘルで働くことで家族の生活を支えている。

赤石さんのお話を聞いていて思いましたが、そういった女性は、やっぱり自己肯定感がすごく低い。それをどこで保つかというと、「自分は家族のためにやってあげているんだ」という気持ちで保っているのだろうなと思います。

私からは、彼女に「こういう制度があるので、いつでも困ったら相談に来てくださいね。」ということだけは伝えました。「自己破産ということもできるんだよ。就労支援もできるんだよ」といった話しか伝えられなかったのが現状です。

無力感に襲われた難しい面談だったのですが、やっぱりこの方が他の方法で自己肯定感を高めるための支援が必要なんだなと思いました。困り感がない人をどう支援につなげるかというのは、今後の課題です。

坂爪 難しい案件を受けて頂き、改めてありがとうございます。

自己肯定感は、『性風俗シングルマザー』の問題を考える上で、重要なキーワードになると思います。ゆうさんにお伺いしたいのですが、風俗で働くことによって自己肯定感が上がる人と下がる人との間には、一体どのような違いがあるのでしょうか。

ゆう 稼げる方は、何度も会いに来てくださるリピーターのお客さまがいらっしゃいます。だから収入もありますし、求められているという感覚が常にあります。自己肯定感が低くなってしまうのは、稼げない方に多いのでは、と思います。

この仕事は、お客さまが来られなければ収入が0円になってしまいます。1日出勤しても、収入は0円で交通費だけかさんでしまう、という方もいらっしゃる。そうした状況が続くと、自己肯定感の低下につながってくるのではと思います。

坂爪 確かに風俗って手っ取り早く稼げるというイメージがありますけど、実はそんなに簡単には稼げない。イメージと現場とのギャップが大きい世界だと思います。

小池 私が自分自身の課題としても感じているのは、これだけサービスがあっても、やはりなかなかそこにつながらない人がいる、ということです。

先ほどの北村さんのお話でもあったのですが、何が一番ハードルになっているのかというと、「制度を使って物事を解決する方法を考えていく」という福祉の基本的な考え方です。

福祉の分野にいる人にとってできることは、いろんなメニューを整えていくことと並行して、そうしたメニューを本当に必要としている人たちのところに「あなたが使っていいものなんですよ」と分かる形で伝えていくことです。そのためのアプローチの仕方が、どうも福祉分野は弱い。何かきっかけになるようなことがあれば、ゆうさんから教えて頂けるとありがたいのですが。

ゆう まずは相談できる場所が必要だと思います。今は風テラスさんの相談が新潟でやっているということは、少しは広まってきているのかなと思うのですが、相談できる場所があるということ自体が、まず分からない。「1人で戦う」という人が、まだ風俗の業界では多数派なのかなと思います。

小池「相談」に対するイメージって、人によって違うと思うんですよね。例えば、「今日の晩ご飯はどうする?」というレベルから、「実は私、人生について悩んでいるんです」というレベルでの相談まで、色々なイメージがある。

子育て相談の窓口や制度はあるのに、どうして皆さん使わないのかなって色々調べたりしていると、相談という言葉が持っているイメージが、実は人によってすごくまちまちであることが分かる。

相談する側と受ける側との間で、「こういうことがあったら、私たちに話をしてくれていいんだよ」という共通理解や仕組みをどうやって作っていけばいいのかというところに、今悩んでいます。だから「相談できる場所」というものが、どのレベルのものを話していることなのか、ということが、今後の課題になってくるのかなと感じているところです。

赤石 稼げている人は自己肯定感が上がり、なかなか稼げない人は下がってしまう、ということになると、堂々巡りのような感じもしてしまうじゃないですか。

もともと自己肯定感のある人が稼ぎやすかったり、誰かから求めてもらっているから自己肯定感を得られるというのは、どの世の中でも同じ。「大したことない私だけど、でも、ちょっとはお役に立ったかしら」みたいな気持ちで皆何となく生き延びているわけで、そんなにすごく高邁な役割意識を持って生きられるような人は少ないですよね。

風俗のように皆が疲弊してしまいがちな世界の中で、どうすれば元気になれるのか、その辺りもちょっと聞きたいなって思いました。

風俗をいかに卒業していくか

ゆう 正直なところ、もともと自己肯定感が低い方も多いと思っています。一方で、自己肯定感が高い方でも、「私、かわいいから稼げるわ」と思い込めば稼げるという仕事でもなかったりするので、そういったところで自己肯定感が下がってしまう方もいらっしゃるかもしれない。

赤石 何かのきっかけでお客さんがついてくれたりすると、「あー、私でもやっていていいんだ」「お金も稼げたし」みたいな、そういうところにいるって感じですかね。

ゆう そうですね。特に男性が相手のお仕事になりますので、全てがそうではないかもしれないのですけれども、シングルマザーの方や、結婚されていてもご夫婦の仲があまりうまくいってない女性の方が、他の男性が自分を求めてくれる、というところで自己肯定感を高めているという部分もあるのかなと思います。

北村 風俗のお仕事をいつ卒業するか、ということを皆さん考えていらっしゃると思うのですが、すっとやめられるものなのか。やめようと思ったときに、どんな支援や仕組みがあったらやめやすくなるのか。何かヒントがあったらお聞きしたいです。

ゆう 正直、卒業後のほうが大変だと思っています。出戻る人も多い。卒業という目標がある時は頑張れたりするかもしれないのですが、その後、実際風俗をやめて生活ができるのかという問題に直面する。「また戻ろうかな」という思いが頭によぎってしまったときに、戻らずに生活するためのサポートや仕組みがあったらいいのではと思います。

坂爪 そのことに関連して、そもそも風俗の仕事をしているということを誰にも言えない場合、サポートがあっても利用できない。自分が風俗で働いているということを他の人に伝えている女性は、ゆうさんの印象としては、どのくらいおられるのでしょうか。

ゆう 今はだいぶ増えてきたのかなと思うのですが、やっぱり全員に言えるわけではなくて、仲のいい人にだけ言えるとか、言える人が1人できた、2人できたっていうのが増えているのではと思います。もちろん、まだどなたにも言えないという方もいらっしゃるとは思いますが、少しは話せる場所ができてきたのかなと思います。

坂爪 そういった「安心して話せる場所」をつくることを通して、色々な支援につなげるという方法も有効なのかもしれませんね。

赤石 卒業の話に関して、シングルマザーの方は、結構パソコンのできない方が多いです。私も就労支援プログラムをやっていて、パソコンスクールと一緒に教室をやっているのですが、自分の家にパソコンがないとか、ちょっとしか触れないという方は結構いらっしゃる。プリンターもないという人も多いんですけど、今後別のお仕事に就いていくときに、パソコンの力は大切です。学歴と関係なくできるようになる人もいれば、「いや、苦手」って言う人もいる。

風俗のお仕事を卒業された方は、接客業やマッサージなどのお仕事に就く方が多いって聞いているんですけど、どんな選択肢があり得たらいいかについて、何かイメージはありますか。

ゆう 性風俗サービスの中でも、マッサージの業種はあります。全くエッチなことがないお店もありますし、マッサージの後に性サービスがあるお店もあります。

そういったお店に勤めている女性の中には、卒業後はマッサージの仕事に就きたいという方が増えているように思います。それ以外の方に関しては、ちょっとまだ見えていないので、そこは今後考えていきたいと思います。

(後編につづく。6月20日公開予定です)

坂爪真吾『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困 』

経済的困窮におかれたシングルマザーの中で、デリヘルなどの性風俗店で働く人たちが増えている。首都圏に比べて賃金も低い、働き口も少ない、行政の公的サービスも十分ではないという地方都市において、「性風俗シングルマザー」はどのように仕事と育児をこなし、貧困から脱出しようともがいているのか?地方都市で困難な状況に直面する彼女たちと社会福祉をつなげようと、性風俗店での無料法律相談を実施する著者が、現場の声を丹念に拾いつつ、単なるルポの枠を超えて、具体的な問題解決策まで提案する。

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坂爪真吾

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗産業の社会化を目指す「セックスワーク・サミット」の開催など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に、『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』、『男子の貞操』、『はじめての不倫学』、『性風俗のいびつな現場』がある。

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