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ゴルフは名言でうまくなる

2020.05.17 更新 ツイート

第134回

「(グリーンを)外すほうが難しいだろ」――中部銀次郎岡上貞夫

なぜ残り100ヤードからグリーンに乗らないのか?

これは、銀次郎さんが気の置けない友人とラウンドしていて、友人が残り100ヤード地点からグリーンを狙ったショットを外したときに、ボソリと言った言葉だそうだ。

「なんであんな外し方するの? 考えられない、外すほうが難しいだろ」と。

そんな言い方はちょっと酷でかわいそうな気もするが、その意味するところにはハッと気づかされるものがある。

 

これを言われた友人は、銀次郎さんとプレーするぐらいだから、たぶん90以下でラウンドできる腕前なのではないかと推測できる。そのぐらいの腕前であれば、100ヤードの距離はぜひともオングリーンさせたいだろうし、さらに上級者なら5~6ヤード以内に乗せたいような距離だ。

使用クラブも9番アイアンより短いショートアイアンだから、精度も比較的高いはずだ。中部流にグリーンセンターを狙っていれば、少々方向が狂ったとしても、なんとかグリーンのどこか、もしくはカラー部分ぐらいには残りそうなものである。

それなのに、グリーンを外してしまうということは往々にしてよくある。なぜかというと、メンタルの持ちように理由があることが多い。

  • センターを狙っているようで、心のどこかでは狙い切っていない
  • 「あわよくばベタピン」の思いが捨て切れていない
  • 上りのパットを残したいから、ピンの手前に乗せておきたい
  • フェースを開き気味にして、スピンの効いた球で止めたい

などなど、余計なことを思ってしまっているのではないか?

その結果、メンタルからの緊張が筋肉に伝わり、スムーズなスウィングができなくなってしまう。ダフってショートしたり、トップ気味になってグリーンオーバーしたり、ということになるのだ。独り相撲をとって、自分で自分のショットを難しくしているわけだ。

ここで、残り100ヤードからグリーンを見た景色をよく思い出してみてほしい。

バンカーがいくつかあるかもしれないが、その面積よりもグリーンのほうがはるかに大きい。花道はフェアウェイの幅より狭まっているが、グリーンはその何倍もの幅がある。

要するに、グリーンをドーナッツ状に囲むラフ、花道、バンカーよりも、グリーンのほうが断然広大なのである。

グリーンはアイアン3本分の奥行きがあるし、横幅はフェアウェイと同じぐらいあるから、落ち着いて観察すれば、かなり大きな面積のターゲットなのだ。

「グリーンが一番大きい」――まずはこう思うことで、心はずいぶん楽になるはずだ。そのうえで、一番奥行きがあるセンターあたりに照準を合わせて気楽にスウィングすれば、残り100ヤードからオングリーンする確率は相当高くなるはずだ。

グリーンだけでなくその周辺も含め、よくよく眺めてみれば、外してもいい場所と悪い場所があるとわかる。その外してもいい場所も含めれば、残り100ヤードから打っていい場所はさらに広くなる。

たとえば、グリーンの左側が受け斜面になっていて、その斜面に落ちたボールがグリーン近くまで転がり落ちてきそうな地形になっている場合は、引っかけショットのミスは許容範囲となる。グリーンのカラーまで2~3ヤードのところに寄っていれば、パターや7番アイアンで転がすことができ、寄せやすいからだ。

このように、一番面積の大きいグリーンや、最悪外してもいい場所にフォーカスし、グリーン方向をよく観察することだ。それで「こんなに広い範囲に打てるのだから大丈夫だ」という心境になれば、実際のショットもうまくいくことが多いだろう。

ところが多くのプレーヤーは、どちらかというと「打ってはいけない場所」やバンカーなどのハザードに注目してしまいやすい。

そうすると以前も述べたように、脳は『NO』を理解できないので、「あそこへ打ってはいけない」「バンカーに入れてはいけない」という「否定」を認識できず、打ってはいけない場所やバンカーのイメージだけが残ってしまう。

その結果、いけないと思うことが現実になってしまうことが、よく起こるわけだ。

せっかく残り100ヤードの距離からグリーンへ打てるチャンスなのだから、悪いほうの場所はあまり意識しないようにして、狙うべき大きなターゲットであるグリーンと、「外してもいい場所」をしっかり見るようにしたいものだ。

そして、「外すより乗せるほうが簡単なんだ」とセルフ・ダウトを排除することで、ナイスショットに結びつけたい。

広い視野でコースを眺め、安全なエリアを確認する

「私はピタピタ寄せたいと思ったことはありません。むしろ残りの距離や使うクラブがどうであれ、結果はいつもアバウトでよしと考えています」

銀次郎さんはこのように言って、100ヤード以内のアプローチショットは5~6ヤード以内の誤差であればいいと考えていたようだ。

グリーン方向を広い視野で観察し、グリーンを最も大きなターゲットと認識し、なかでも安全なセンター方向周辺を狙う。さらに5~6ヤードの狂いは気にせず、アバウトでよしとする。

ここまで考えを決めてから実際にショットするのは、緊張しないための優れたメンタルコントロール法だったのだ。

このような考え方は100ヤードに限らず、もっと長い距離からグリーンを狙うときや、ティショットでも同様であろうと思う。

「大多数のゴルファーは、『ゴルフをプレーする』ことは知っているが、『コースをプレーする』ことを忘れている」(トミー・アーマー)

シルバー・フォックスの異名を取り、頭脳的なプレーが絶賛されたアーマーのこの名言のとおり、プレーヤーが相手にしているのはゴルフコースなのである。

だから、コースをよくよく観察せず、単にフェアウェイの真ん中、グリーンにはためくピンだけを見てプレーしていたのでは、もったいないストロークを重ねてしまう。

自分のボールのライや、足元のアンジュレーションに気を配ることはもちろん大事だ。しかし、顔を上げて広い視野でコースを眺め、安全なエリアを確認することもとても大切なのだ。

「あのあたりに向かって打てば安全だ」「このクラブなら絶対ハザードに届かない」と納得してから打つショットは成功率が高い。脳は常に安全を求めているからだ。

「ティショットはドライバー」とは限らない

朝一番のPar5のティショットで、私がユーティリティの4番(185ヤードぐらい飛ぶ)を持っているのを見た友人が、「なんでドライバーじゃないの?」と聞いてきたことがある。

そのPar5は左がすぐにOBでバンカーもあり、そのOBはグリーンサイドまで続いている。フェアウェイは狭く、右サイドにもバンカーがあり、そこからはOBに向かってスライスを打たなければならない状況になる。

Par5ではあるが距離は短く、セカンドショットの落下地点になるあたりは、逆に右側が開けていて広い。だからティショットが両サイドのバンカーに届かないように、180ヤード前後のフェアウェイが広いところへ運び、セカンドショットも同じクラブでもう1回打てばその広いエリアに届き、3打目の残りは100ヤード程度になる。

朝一番でその日の調子もわからないうちにドライバーを握り、OBやバンカーへ入れてトラブルになったら、その日のゴルフはジ・エンドになってしまう。だから、安心して打てるユーティリティを選択したのだ。

友人はその説明を聞いて、ドライバーをキャディバッグに戻し、5番ウッドに持ち替えた。

結果はナイスショットでパー発進。風の強い一日だったが、崩れることなく好スコアをマークしてコンペで優勝した。朝一番のクラブ選択がすべてによい影響をもたらした結果だった。

友人はそれ以後、ティショットでドライバーにこだわらなくなった。そのせいばかりではないだろうが、安定していいスコアが出ていると聞く。

安心できる狙い目にフォーカスする、安心できるクラブで打つ。それに徹していれば、極端な大たたきとは無縁になれるのである。

今回のまとめ

1. 残り100ヤード以内の距離からグリーンを狙うときは、バンカーやラフや花道よりもグリーンが一番大きく、外すより乗せるほうが簡単であることを認識しよう

2. グリーンを狙うショットでは、グリーン周囲もよく観察し、「外してもよい場所」も確認しておこう

3. どんなショットでもコースをよく観察し、安心できる狙い目を定め、安心できるクラブを選択するよう徹底しよう

*   *   *

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参考資料:中原まこと『中部銀次郎のグリーン周り』政岡としや画、ゴルフダイジェスト文庫、2011年

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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