マザコンギャングから偏愛を考える（くらいには暇）～白熱｜夜のオネエサン＠文化系｜鈴木涼美

3カ月半前、我々人類がまだ移動と外出の自由を保証されており、持っていたその自由のありがたみに大して自覚的でもなかった頃、海外在住が長い友人に新しい彼氏を紹介された。

彼自身も香港と日本とLAに拠点がある国際人（見た目はガチ日本）で、貿易関係の会社を経営しており、日本の拠点は六本木とか赤坂ではなく白金で、42歳バツイチだけど子供はおらず、ちょっと優しそうにした竹野内豊と言って差し支えないほどイケメンで、何より、食事中は常に男性の自虐と女性の優秀さを大袈裟に持ち上げて女の自尊心をゴッドハンドでマッサージし、女性のイニシアチブを歓迎し、しかし最後のお会計は最後の一円まで全部男性である自分が払うという、近頃ツイッターなどで元気な、ややフェミに感化されてるけどJJ的野心も捨てきれない若い女子たちの好物みたいな男で、当然近頃の若い女の子というには若干トウがたってしまった私やその友人の好物でもある。

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夜のオネエサンが帰ってきた！　今度のオネエサンは文化系。映画やドラマ、本など、旬のエンタメを糸口に、半径1メートル圏内の恋愛・仕事話から人生の深淵まで、めくるめく文体で語り尽くします。

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鈴木涼美

1983年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒。東京大学大学院修士課程修了。小説『ギフテッド』が第167回芥川賞候補、『グレイスレス』が第168回芥川賞候補。著書に『身体を売ったらサヨウナラ夜のオネエサンの愛と幸福論』『愛と子宮に花束を夜のオネエサンの母娘論』『おじさんメモリアル』『ニッポンのおじさん』『往復書簡限界から始まる』(共著)『娼婦の本棚』『8cmヒールのニュースショー』『「AV女優」の社会学増補新版』『浮き身』などがある。