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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2020.02.15 更新 ツイート

第125回 お見合い旅 in マカオ<後編>いとうあさこ

二日目は朝カジノでスタート。元々賭け事に興味のない二人。でも「せっかくマカオなんだからカジノは行こうよ」と大久保さん。確かに。たまにはパーッと行ってみますか。まずは両替所。「どれくらい両替します?」パーッととは言ったものの、まあ2~3千円位でいいよな、なんて思いながら聞いてみると大久保さんの答え。「5千円位でどう? あ、二人で5千円。」はい、同じ金銭感覚。

 

両替した約350香港ドルを半分ずつ握りしめ、いざ出陣。せっかくだから綺麗なお姉ちゃんがルーレットに玉転がすのを生で見てみたい、と広いカジノ内を散策。朝イチでまだ人は少なかったですが、一カ所人が集まっているテーブルが。行ってみると三個のサイコロでやる大小(シックボー)と言うゲーム。サイコロ三個を振り、合計が奇数か偶数か、何の数が出るか、などルーレット同様賭けたい場所にチップを置いていくのだそう。これならわかりやすいからいっちょやってみるか、と台に一歩近づいた時、恐ろしい表示が目に入ってきた。

“最低賭け金300香港ドル”。え? それもう、ほぼほぼ今のうちらの全所持金なんですけど。震える二人の前で富裕層の皆様はポンポンお金をコインに替えて賭けまくる。なんか、もう、怖い。あっと言う間に心折れた二人は誰もいない、カジノの端っこにあるゲーセンのようなコーナーに移動。最低賭け金は10香港ドル。平和。

ゲーム機にお金を入れると、映像のチャイナ服着た“ウッフン姉ちゃん”がウッフンしながらルーレットを回してくれる。よく考えたら 映像のルーレットなんてどうとでもなるっちゃなるけど。でもまあ赤か黒か、奇数か偶数か、チマチマチマチマ賭けていたら1時間くらい遊べた。うん、余は満足じゃ。

丸一日遊べるのはこの二日目だけなのでマカオを満喫しようとガイドブック片手に出かける事に。まずはタクシーでマカオの中心地にある広場へ。そこから人でごった返している、でも素敵な石畳の道をプラプラ。15分程で“ザ・マカオ”な聖ポール天主堂跡という昔火事で焼失した教会の唯一残ったファサード(正面部分)に到着。写真を撮りながら「周りにも色々遺跡あるみたいですけど次どうします?」と聞くと大久保さん。「もう、よくない?」え? まだ一カ所よ? ただこの答えにはちゃんと理由があったんです。実は大久保さん、“西郷どん”に会うからとちゃんとしたショートブーツを履いてきていて。歩きにくい石畳で足が痛くなってしまったとの事。私なんて飛行機の中も含め“楽”重視のつっかけで来たのに。“楽”よりも“女らしさ”を選んだ佳代子。ああ、健気。

「とにかく休みましょう」と近くのカフェへ。再びガイドブックを開いて、計画を立て直す。結果多少は歩く事になってしまいますが、可愛いマカオの小物屋さんと美味しそうなワンタン麺屋さんを巡ったら、ホテルに戻って夕方からマッサージ。そしてディナー。充実の良いプラン完成。

と言う事でまずは小物屋さん。ガイドブックに付いていた地図を見ながら進む。とても天気がよく、気持ちがいい。10分ちょっとで到着……したはずなのですが、お店が、ない。 すぐ横に工事中のお店。「もしかしてここ?」「潰れちゃったのかな。」並びにあった火鍋屋のお姉さんに聞いてみると「ゴーストレイト、ターンレフト。」ああ、やっぱり合ってたんだ。そうなるとガイドブックの地図が違うぞ。「そんな事あるんだねぇ。」笑いながらゴーストレイトでターンレフトした。そこには果てしない上り坂が。学習塾と航空会社の看板しか見えないけど行ってみるか。あれ? ない。さっきまで心地よかった太陽が急に敵に。暑さと焦りと上り坂であっと言う間に汗ダクに。

こうなったら頼りは携帯。悔しいけれど、前日に引き続きまた24時間2980円でネットを繋いだ。お店を検索するとやっぱり最初の場所で合っている。もうここまで来たら見つけたい。大久保さんが不意に近くの果物屋さんへ。するとそのお店はさっきの場所にあったビルの一室にあり、オートロックの入口で部屋番号押して入る事が発覚。

えー!? 看板も何にもないし、そんな勇気ない。半信半疑でそのビルの前へ。どう見ても普通のビル。とてもお店が入っているような雰囲気ではない。入口は柵の扉で、ふとその隙間から中のポストが見えた。すると“1階-C”の所に小物屋さんの名前が!

い「大久保さん、あった! すごい! こりゃわからないわ。」 大「やっぱりあの時直感で果物屋さん行ったのよかったわ。」い「ファインプレー!」

大冒険を制覇した位の勢いで大興奮。ただビルには入れたものの、マカオの“1階”がうちらで言うところの“2階”の事だと気づくまで、しばらく暗い廊下を右往左往したのはご愛敬。そんなやっとの思いで見つけたお店だったのに、結局カラフルな鶏のマグネットを色違いで買って終わり。もう辿り着けた事だけで満足しちゃったのかも。

冒険心高まり状態の二人は予定していたワンタン麺屋さんを辞め、通りすがりの地元の人しかいないような小さなお店に入ってみる。外にメニューはなかったけれどババア探偵、お店の入り口横のガラス扉の冷蔵庫を覗き、缶ビールがある事は確認。よし。ワンタン麺があったので頼んでみるとめちゃくちゃ安いのにめちゃくちゃ美味しい。追加でワンタン単品も頼んじゃった位。なんか最高。大当たり。

その後はホテルに戻りマッサージ。ディナーは大久保さんリクエスト“ダックライス”のお店へ。これも超大当たりで、べらぼうに美味しい。途中おじさんがギター片手に突然席まで来て「マイウェイ」を弾き語りしてくれたりして。感動、幸せ、号泣。

こうしてマカオ旅も終了。“お見合い旅”の予定が完全に“グルメ旅”になっちゃいましたが素晴らしい時間でした。“西郷どん”とはお見送りしていただいた際「今度は日本で会いましょう」とご挨拶して帰途につきました。楽しく帰国、したはずなのに三日後。トークライブにゲストで来てくださった大久保さんから「チェックインの後、あさちゃんばっかり西郷どんと喋ってて、私全然喋れなかったじゃん!」とのお叱り。あらやだ。場を繋ごうとして間違えた、私。ごめんね、大久保さん。今度は黙るから、また会いに、いや、やっぱり飲みに行きましょう。

 

【本日の乾杯】
旅物語の最後はお料理ではなく、ダックライスのお店での写真。左がギター弾き語りのおじさんで、右がオーナー。美味しいダックライスとムール貝の酒蒸しでたっぷりのポルトガルワインを飲み、素敵な歌声を聞いたらこういう顔になりました。また行きたいな、マカオ。

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寂しいだか、楽しいだか、よくわからないけど、日々、一生懸命生きてます。 人気芸人の、笑って、共感して、思わず沁みるエッセイ集。

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