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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2024.05.15 公開 ツイート

第224回 ともだち<前編> いとうあさこ

ともだち。辞書でひくと“互いに心を許し合って、対等に交わっている人”だそう。私は小中高繋がっていたのもあって、幼き時からずっと一緒の子もいるし、高校生になって選択授業が一緒で急激に仲良くなった子もいるし、卒業してからご縁あって飲みに行くようになった人もいる。

 

そんな中、まさかの大人になってから、いや、“だいぶ”大人になってから親しくなった方が。その名も大久保佳代子。先日お誕生日を迎えた、このコラムにおそらく一番登場している人。大久保さんは年齢こそ私の方が1つ上ですが、“お笑いの世界に入ったのが27歳&テレビに出始めたのが40歳”な私からしたら断然先輩だし、言ったら普通に“テレビで観ていた人”。それが今では話していない事がないのではないか、と思う程、いい事も悪い事も何かあると大久保さんに聞いていただいておりますし、逆に何にもなくても“何でもない事”を話しながら飲んだりも。まあとにかく頼りまくっております、私。そんな大久保さんがある日、テレビで私のことを“ともだち”と言っているのをたまたま観ちゃいましてね。「ええぇ? いいんですかぁ?」とニヤリ。私もその日から、大久保さんは“ともだち”、でいかせていただくことにしました。ウフフ。

そんな“ともだち”から、最近2回ほど“ともだちならでは”なドッキリ? ほっこり? をかけられまして。一つはこの春から『相葉◎×部』となりました『木7◎×部』。その中の“一筆啓上部”という、「絆があれば13文字の手紙だけで気持ちが通じ合うはず」を確かめる企画。ある日、大久保さんとのラジオ収録後、カメラが入ってきまして。元々私はそこからロケ、と聞いていたので、「じゃあ行きますか」くらいに思っていたら、スタッフさんは私ではなく大久保さんのもとへ。そして何かを大久保さんに渡すと、それをそのまま私に「あさちゃん、これ」と差し出した。見ると大久保さんが筆でしたためた13文字の手紙。内容は“唯一がっかりした思い出だね”。いやはや、難しすぎません? これ。「何? 何?」とただただ狼狽する私を尻目に大久保さんは「早く来いよ!」といなくなる。

番組を観たことがあったのでとりあえずすぐ状況は飲み込みましたが、とにもかくにも知らない間に大久保さんをがっかりさせていた、という事実にあたふた。基本何かあれば大久保さんはいつも正直言ってくれる。言いにくいことでもちゃんと。なのに言われてない“がっかり”があるなんて。そんなバナナ。山ほどある大久保さんとの思い出をかたっぱしから思い出してみる。途中「言ってもテレビだもの。何かちっちゃい事を大久保さんが面白おかしく言ってるだけじゃない?」なんて思ったり。でもやっぱり「違う違う! もしかしたら私に言えないくらい、本当にがっかりさせてしまった事があるのでは!?」と再びパニックに。そんな完全に不安定になった私を見かねて、スタッフさんがいろいろ質問を投げかけて、何かしら引きだそうとしてくださいまして。だってじゃないとずーっとNHKの前、ですから。

そんな中やっと絞りだした思い出が、“死臭”事件。あれは20年ほど前、虻ちゃんと大久保さんと3人で飲んだ時のこと。大久保さんは転んでざっくり擦ってしまった、と大きなガーゼを頬っぺたに貼ってやってきた。その時に「大丈夫ですか?」ではなく「死臭がする」と私。おそらくそんなこまめにガーゼを剥がしたり出来ないからでしょうね。少し膿んでしまっていたのか、変なニオイがしたのでそう言ってしまったのです。もしかしたら、心配より先にそんな事を言ったもんだからがっかりした、とか? まあ正直、これが正解ではないだろうなぁと思いつつも本当に何も思いつかない私は、藁をもつかむ思いでその店に向かうことに。ただね、場所が定かでない。当時大久保さんが住んでいた町なのですが二択。桜上水? 桜新町? どっちの“桜”かわからない。お店自体は和食っぽいお店なのにエスニック料理も出てくる、という独特さで覚えているのですが。1回だけOKのテレフォンを利用して虻ちゃんに聞くと桜新町だろうと。ありがとう虻ちゃん。ああ、スタート地にどれだけ長くいただろう。やっと出発です。向かう道中、ネットで「桜新町 うどん メキシコ」と検索したら、「トミ田ヤ」というお店だと判明。ただもうお店はないようで、とりあえず跡地へ向かう。到着してタクシーから降りた所から見えた奥の木々がめっちゃ見覚えあって。「こっちこっち!」と行ってみたものの、どうやら降りた所の目の前にあったピザ屋さんが跡地のよう。「もしかしたら大久保さんのおうちがこっちの方だったのかなぁ?」と首をかしげながら戻る。ピザ屋さんはガラス張りなので店内丸見え。大久保さんはいない。でももしかしたらどこかに隠れているのかも、という超かけらの望みを持って店員さんに聞いてみた。「大久保佳代子さんって来てますか?」答えは、NO。やっぱり。

さあ、どうする。次に思い出したのが、2004年にオアシズさんと田上よしえと4人でやったライブ「厄除けオリンピック」。以前ちょっと書いた事がありますが、このライブの準備中に大久保さんと仲良くなり、飲みに行くようになった。そのきっかけのライブにて。残念ながらお客様がいっぱいにならず、事務所の若手さんかお笑い学校の生徒さんかをたくさんお呼びして客席を埋めた日があって。そのせいもあってかオープニングネタである大久保さんのOLあるある。ダンサー2人をしたがえて、OLあるあるを一言言ってはかっこよく踊る。とにかくめっちゃ面白く、私は舞台袖で笑い転げていたのですが客席からの反応が、ない。そのネタを一度、“人のネタをやってみる”と言うライブで私がやったら、めちゃくちゃウケまして。もう一度言いますが、だってめちゃくちゃ面白いネタだもの。それを、恨んで、とかぁ? もう“絶対”違うけど、本当に思い当たるエピソードが出てこないんですもの。許してください。という事で、そのライブをやった下北沢の駅前劇場へ。と、ここでお時間。次回は“もちろん”その劇場に大久保さんがいなかったところから。

 

【本日の乾杯】こんな素敵なものがあるなんて。仲良しのスタッフさんから頂戴した長野土産。ネバネバ好きにはたまらない程、超強めのネバネバ。これに納豆をプラスして、もちろん朝食でもいいですが、海苔で包んで、あっという間におつまみに。最高。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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