1. Home
  2. 生き方
  3. カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~
  4. リメイクやリマスターは「必ず文句を言って...

カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

2019.11.27 更新 ツイート

リメイクやリマスターは「必ず文句を言ってから、結局やる」のが中年懐古厨カレー沢薫

前に「ロマンシング・サガ リユニバース」というソシャゲをやっているという話をしたと思う。

「ロマサガシリーズ」という昔のRPGをソシャゲ化したもので、中年懐古厨としては、とりあえずやってみない理由はなかった。

このように、何だかんだ言って我々は「思い出商法」に弱い。
己が小中学校の時にハマった物を出されると、ついつい大人の財力、もしくは職業欄に「殺し屋」と書いても通ることでお馴染みの「楽ヘヴンカード」で買ってしまう。

ちなみに「無職」と書いて通るかは不明だがウエイトレスみたいなノリで「ジョブレス」と書けば通る気がする。

先日も、これまた私が中学生の時好きだった「ザ・キングオブファイターズ」という格闘ゲームが、何と乙女ソシャゲになった。

イケメンも多く女性人気も高いことで有名なゲームであったが、何せ格闘ゲームなので、キャラ絵はイケメンであると同時に、そこそこのゴリラでもあった。

そんな私が中学校のころ愛したイケメンゴリラたちが、乙女ゲー化するに当たり「イケメンゴリラ※ゴリラ抜き」という姿で登場したのである。

「お前らゴリラをどこに落してきた」

明け方の町? 桜木町? と私は驚愕した。

そして「格ゲーメーカー絡みが乙女ゲーを作るなら、キャラデザは格ゲーのままにしろと、フルハウス・キスの時から言っているだろ。ジャスティス学園青春日記を見習え、俺はあれのためにポケステまで買ったんだぞ」と、20代以下には謎の呪文にしか聞こえない怒り方をした。

そして現在、私のスマホにはバッチリその「キング・オブ・ファイターズForガールズ」がインストールされ「庵に優しくされるとクるものがある」「この年になると慎吾が染みる染みる」などと供述している。
あとフルハウス・キスもやってみるとそれはそれでよかった。

このように、中年には自分が昔好きだったものが、リメイクやリマスターされると聞くと「必ず文句を言ってから、結局やる」という「カイコ科ウルサ属メンドクセエ」という種族がいる。

そういうタイプは本当にリメイクが嫌で文句を言っているのではない。
「果たしてリメイクで原作の良さを知り尽くしている私を満足させられますかな? いやはや」という、有識者スタイル。
もしくは「私の大事なあの子にそんなことさせるザマス!?」という「謎の近親者スタイル」を見せたいのだ。

ともかく、好きだからこそ言わずにいられないだけなので、中年が文句を言っていたリメイクものを喜々としてやっていても、突っ込まないであげてほしい。
30過ぎると言ったことをすぐ忘れるのだ。

そして、先日、今度はロマサガシリーズ3作目「ロマンシング・サガ3」のリマスター版が発売した。

ロマサガ3は私にとって、特に思い出深いゲームである。
当時中学生だった私は、ゲーム情報誌でロマサガ3の発売を知り某キャラクターに一目ぼれし、発売日まで貯金を始めた。そのキャラは現在も推しである。

当時、スーパーファミコンのソフトというのは1万円近いという、とても子供相手にしているとは思えない価格だったのだ。
幸い発売日の11月は私の誕生日月である。しかし我が家には「誕生日は5000円」という鉄の掟があった。
よって残り5000円を日々の小遣いを貯めることで工面しようとした。

私に「欲しい物のために金を貯める」という概念を教えたのはロマサガ3なのである。

現在その概念はどこにあるかわからない。おそらく新聞の隅か、旅先の店にでも置き忘れたのだろう。

それまで、すぐ使わないと爆発すると思っているとしか思えない金の使い方をしていた私が、金を貯めだしたことに、親は驚いていた。
このように推しは人を「更生」させる力もある。何かから更生したい人はまず推しを作ってみたらどうか。

そして無事誕生日にソフトを手に入れたのだが、ロマサガは当時から「ゆとりには難しい」と言われるゲームだったのだが、正直言ってゆとりじゃなくても難しかった。

言うまでもないが、当時ネットで攻略情報を見るなどという術はない。
攻略を見たければ攻略本を買うしかないが、当然子供にはそれを買う金がないのだ。
よって、当時の本屋のゲーム攻略本コーナーには必ず一人は攻略本の「暗記」を試みている者がいた。

よって、当時すぐにはクリアできなかったが、数年経ってから再トライし、クリアしたという実に思い出深いゲームだ。

それがリマスターされたなら、やらないわけがない。

そう言いたいところだが、実は未だにやるか否か迷っている。

正直に言うと、ここ数年ソシャゲ以外やっていないため「普通の家庭用RPG」をやるのが「面倒」と感じてしまっているのだ。

ソシャゲもゲーム性が高く凝ったものが多いが、それでも家庭用ゲーム機のゲームよりはシンプルであり、やることは圧倒的に「周回」という単純作業である。

「脳死周回」と言うように、周回中は脳どころか、心まで死んでいる。
むしろ殺さないと辛いのだ。

しかしその間「自分は何も考えなくて良い」のだ。ネットで拾った「効率の良い周回方法」を繰り返すだけでよい。
それでアイテムやキャラが手に入るという「達成感」だけは得られるのだ。

そしてソシャゲには「金で解決」という方法もある。
知恵を絞らなくても「金で殴れば大体死にます」という現実と同じ仕様なのだ。

ソシャゲは面白いが人を「自分で考える」ことから遠ざけ、それを「面倒」と思うようにさせる側面があるのは否めない。

情報化、効率化が進み、我々は、考える前にググり、そしてこらえ性がなく、せっかちになった気がする。

ゲームも少しでも操作性がだるいと投げてしまうが、昔のゲームなんて大体どれもだるかったではないか。
それを「貴重な小遣いで買った」という意地で攻略情報もなくクリアしようとするという、辛抱強さがあった。

それが今では宝具がスキップできないぐらいで、毎回脳の血管が15本ぐらい破裂している、確実に早死にするし、ボケるのも早いに違いない。
効率ばかり重視して、己の脳が死んでは意味がないではないか。

ソシャゲも良いが、たまには家庭用ゲームを「攻略情報なし初見プレイ」してみるのも良いかもしれない。

しかし、買う前にそのゲームが「クソゲー」か否かぐらいは調べたほうが良い。
さもなければ脳の血管どころか怒りで頭ごと破裂する。

情報化社会、得た方が良い情報と、得ない方が良い情報の取捨選択が大事である。

関連キーワード

関連書籍

カレー沢薫『カレー沢薫の廃人日記 〜オタク沼地獄〜』

だが、未だにガチャから学ぶことは多い、去年末、本コラムをまとめた『カレー沢薫の廃人日記~オタク沼地獄~』という本を出版させてもらった。 そのキャッチコピーは「人生で大事なことは、みんなガチャから教わった」なのだが、改めてこのコピーに嘘偽りはなかったと確信している、もはやガチャは人生の縮図と言っても過言ではない。

{ この記事をシェアする }

コメント

メが本🍄  リメイクやリマスターは「必ず文句を言ってから、結局やる」のが中年懐古厨 |カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~|カレー沢薫 - 幻冬舎plus https://t.co/MdBxTxKnhh KOFの乙女ゲーとロマサガリユニバ… https://t.co/t5oCYNWZXq 12時間前 replyretweetfavorite

迦陵頻伽(かりょうびんが)  ロマサガ2のワグナス、ロマサガ3のレオニード、サガフロのヴァジュイールがBUCK-TICKの櫻井敦司がモデルになってるキャラよね リメイクやリマスターは「必ず文句を言ってから、結局やる」のが中年懐古厨|カレー沢薫の廃人日記 ~オ… https://t.co/H9xbVbQgbx 18時間前 replyretweetfavorite

カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

バックナンバー

カレー沢薫

漫画家。エッセイスト。「コミック・モーニング」連載のネコ漫画『クレムリン』(全7巻・モーニングKC)でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『もっと負ける技術』『負ける言葉365』(ともに講談社文庫)、『ブスの本懐』(太田出版)がある。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP