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ゴルフは名言でうまくなる

2019.07.28 更新 ツイート

第99回

「職人の腕はその道具でわかり、ゴルファーの腕はそのクラブでわかる」――エドワード・レイ岡上貞夫

クラブの本数はどのように決まっていったのか?

人類史上最初のプロ・ゴルファーは、生涯不敗の伝説を持つスコットランド・プレストウィックのアラン・ロバートソンだといわれている。

彼は、対戦相手に自分が使えるクラブの本数を制限させることで、ハンディを与えていた。ところが誰も勝てなかったので、ついには1本のクラブだけで、3人のシングル・ハンディ・プレーヤーと対戦することになった。それでも、数ホールを残して楽勝だったという。

 

そのロバートソンが1859年に亡くなり、後任の所属プロを選出するために試合が開催されたのが1860年。これが第1回全英オープンの始まりなのだそうだ。

表題のエドワード・レイ(通称テッド・レイ)は、1912年の全英オープンと1920年の全米オープンで優勝。巨漢で、イギリス随一のロング・ヒッターとしても知られた。

当時は今のようなセットクラブはなく、ゴルファーは自分の好みで1本ずつ寄せ集めてワンセットにしていた。

よって、キャディバッグの中をのぞけば、集めたクラブのバランスや使い込まれた様子などで、持ち主の腕前はおおむね想像できたのだろう。

キャディバッグにはたいてい7~8本の寄せ集めクラブが入り、そんな本数で十分に全英オープンを戦えたのだ。

何度か紹介しているが、オーバー・ラッピング・グリップの始祖、ハリー・バードンは7本のセットで全英オープンに6回も優勝している。

その後、アメリカでスチール・シャフトが導入されるや、あらゆる種類のクラブが製造され、キャディバッグの中は大混雑になっていった。

ロバートソンとは対照的に、全英アマに出場したA・ジラードという選手は、リヤカーに樽をのせ、なんと55本ものクラブをキャディに運ばせたと伝えられている。

これにはキャディも「18ホール体力がもたない」と悲鳴を上げ、ついにR&Aもクラブの本数制限に乗り出したのだ。

全員一致で決定されたのは、クラブは1ダース(12本)まで、これにパターを加えて全部で13本。しかし、ある委員が「ゴルファーほど縁起を担ぐ人種はいません。そういう連中に向かって不吉な13本にしろとは、わたしにはとても言えません」と述べて再議論となり、1本プラスして14本に落ち着いた。

欧米では、「13」が不吉だという考えは相当根強いらしい。これが、現代にも生き続けている14の本数制限が決まったいきさつである。

ことの真相というのは、案外、他愛もないような理由だったりするものである。

キャディバッグをのぞけば、どんなゴルファーか見えてくる

さて、このような歴史に鑑みるに、日本のアベレージ・ゴルファーのキャディバッグの中身は、いかがなものだろうか。

やはり、それぞれのゴルファーの腕前が表れるもの……と私は思う。

たとえば、ドライバー・FW・UT・アイアンすべてが同じメーカーの同じモデルというゴルファーがいる。

これは、統一されたバランスのクラブでセッティングされているので、ある意味理論的に正しい。ただ、ゴルフショップの店員さんの言いなりになって、あまり考えていないとも読める。

逆に、ドライバーはA社、FWはB社、UTはC社、アイアンはD社だがウェッジだけはE社のクラブ、というゴルファーもいる。

これは、相当なこだわり派といえるだろう。クラブに対してかなり研究熱心なタイプのセッティングだ。

どちらのタイプも、ルールで許されている14本をフルに入れているようだ。クラブで調整ができるならば、できるだけ多くのクラブをキャディバッグに入れて仕事をしてもらおうという考えからだろう。

しかしよく見てみると、使用感のあるクラブと「ほとんど使われていないのではないか?」 と思われるほど綺麗なままのクラブが混在している。

これは、「せっかくセットで買ったのだから、キャディバッグに入れておきたい」という心理なのだろうか? 実戦では使う機会がほとんどない、あるいは難しくてミスばかりするので使えないクラブも入っているのだ。

10本あれば十分。ロングアイアン、スプーンから抜いていこう

アベレージ・ゴルファーにとって使うことが少ない、あるいは技量的に使いこなせないクラブといえば、ロングアイアンとスプーンではないだろうか。

最近のスプーンは、ひと昔前のドライバーと同じぐらいの長さがある。これをダウンブロー気味に振るのはなかなかに難しく、ボールが上がらないなどのミスが多くなる。

それならば、ミスの少ない5番ウッド(クリーク)やユーティリティのほうが結果はいいから、スプーンはキャディバッグの中で眠ることになる。

一方、アイアンセットも昔は3番アイアンからが主流だったが、ユーティリティの登場もあって、近年販売されているセットは5番からのものが多い。

ところが最近の5番アイアンは、ひと昔前の4番アイアンのロフト角に近くなっている。そのため、きちんとダウンブローで打てる、スウィングができたゴルファーでないとうまく打てないのだ。「5番は林からゴロで出すためだけに入れている」という人がいるぐらいだ。

さらに、たまにしか使用しないクラブを選択すると、慣れていないから心理的に不安になり、ミスショットを招きやすい。

以上のことから、使用頻度の少ないクラブはいっそのこと抜いてしまってはどうだろうか。ハリー・バードンのように7本とはいかないまでも、10~11本もあれば大概のゴルファーは十分にこと足りると思う。

たとえば、1W・5W・UT4・6I~9I・PW・AW・SW・パターで11本。場合によっては6番アイアンも昔の5番アイアンに近いことからミスしやすいので、これも抜いてしまえば10本で済む。

実際にラウンドしてみればわかるが、アベレージ・ゴルファーはもちろん、シングル・プレーヤーでも、ほとんど支障なくラウンドできるものだ。むしろ迷いが減少して、スコアがよくなることさえある。

少ない本数を超軽量タイプのキャディバッグに入れて持ち歩けば、電車&クラブバスでコースに行くときなど、軽いので宅配便で送らずに済む。

昨今は往復の宅配便も結構なお値段なので、この経費削減を3回やれば、1回分のプレー費に回せるぐらいになるだろう。そう考えるとバカにならない。

これを機会に、見栄を張って14本をキャディバッグに入れてプレーするのを考え直してみてはいかがだろうか?

今回のまとめ

1. 使用頻度の少ないクラブは、慣れていないからミスショットになりやすい

2. アベレージ・ゴルファーはもちろん、シングル・ハンディでも10~11本のクラブで十分支障なくプレーできる

3. クラブの本数を減らし、軽いキャディバッグにすれば宅配便代の節約もできる

 

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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