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2019.06.08 更新

日本型雇用の「終わり」が始まる…このシビアな現実を直視せよ佐藤留美

ひとつの会社で一生を終えることは、もはや不可能。究極の個人戦を生き抜く、新しい働き方とは……。終身雇用、年功序列、新卒採用など、従来のシステムが崩壊しつつある今、ぜひ読んでおきたい本がある。それが、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」副編集長、佐藤留美さんの『仕事2.0』だ。佐藤さんが考える、これからの時代の働き方とは? 本書の一部をご紹介します。

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どんな会社も安泰ではない

これからの人生100年時代を見据えると、完全に仕事を辞める日まで同じ会社にいる可能性はかなり低いでしょう。

(写真:iStock.com/TAGSTOCK1)

会社の平均寿命は23・5歳と短命化している時代。ビジネスのスピードが高速化するにつれ、ビジネスモデルの旬が短期化する傾向も顕著です。したがって、会社の栄枯盛衰も高速化しています

たとえば、就職氷河期世代の現40代、その親世代である現70代の「団塊の世代」、そして現25歳世代が就職活動時に選んだ人気企業を比べてみると、過去の栄光は長くは続かないということがよくわかります。

親世代の人気企業のなかには、今やその栄光をしのぶよすがもない会社もあります。

現70歳近くの人が大卒で就職した1969年に文系人気ランク1位だった日本航空(JAL)は、2010年に会社更生法の適用を申請し、経営破綻しました。3位の日本国有鉄道は分割民営化されています。5位の住友銀行、9位の富士銀行はともに他行と統合し、今やその名前は残っていません。さらに銀行業界全体が、フィンテックの進展により、存在そのものを脅かされつつあります。

17位の西友ストアーは不良債権問題を抱えて、ウォルマート系列になり、19位の長崎屋は2000年に経営破綻しています。

就職氷河期世代が就職活動をした当時、文系理系ともに一番人気だったソニーは2011年度に過去最大の赤字に陥って以来、経営再建に取り組んでいます。もっと新しいところでは、現25歳世代の理系人気7位にランクインした東芝は、たった3年で経営難に陥り、2017年8月に東証2部に降格しました。

こうした企業の栄枯盛衰を見ても、会社に自分の人生を預ける生き方や、人気というだけで就職先を選ぶことがいかに心許ない話かということがおわかりいただけると思います。いかにして“勝ち馬に乗るか”という算段で自分の命運を決めるのは、明らかに時代遅れです。

自己を「リ・クリエーション」せよ

正社員として人並みに働いていればいつかは管理職になれる──。そんな過去の常識も、もはや幻想になりつつあります

(写真:iStock.com/SonerCdem)

かつては、40歳前後になれば大半の総合職が課長職に就けた時代がありました。しかし、今や40代の役職者の割合は減っています。2015年の国勢調査によると、1995年に5・7%いた40代前半の役職者は、2015年には2・4%に減少しました。

その一因は、役職者が高齢化していることです。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「調査レポート 大企業における『2020年問題』」によると、「近年では年齢がさらに上がった後も役職者にとどまる人が増えている。50歳代の課長級、50歳代後半の部長級の役職者が一般労働者全体に占める割合は高まっており、大企業の人件費負担に追い討ちを掛けている」とあります。

ただし、40歳前後の世代が「多様な働き方」を選択できる余地は拡大しつつあります。その1つが、労働時間は着実に減っている、ということです。

2016年度の勤労者の平均年間総労働時間は1713時間(労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2018」)で、親世代が40歳だったころの1989年度の2111時間とは大きな開きがあります(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。

また、時間外労働の上限規制(年間上限720時間以内)は、大企業については2019年4月1日から、中小企業においては2021年4月1日から適用される予定です。

詳しくは第2、4章で記しますが、リクルートやヤフー、ロート製薬など、社員の副業を認める企業も、少しずつではありますが登場し始めています

テレワークのように、会社に出勤せずに好きな場所で働くことを推進する動きも、かつてに比べて広がっています。

総務省の「地方創生と企業におけるICT利活用に関する調査研究」(2015年)によると、テレワーク導入企業は7・9%、導入を検討している企業は13・8%あります。

グラットン氏は前掲書で、長く働き続けるためには、余暇時間をレクリエーション(娯楽)に費やすのではなく、自己のリ・クリエーション(再創造)に費やすべきだと説きました。そして、その必要性は、高スキルが求められる仕事に就いている場合にこそ高く、スキルとテクノロジーへの投資を継続しなくてはならないと言及しています。

日本でも、リカレント教育(個人の必要に応じて、教育機関に戻って繰り返し学び直すこと)の概念は普及しつつあり、文部科学省の調査によると、社会人を主な対象とする専攻やコースを設置する大学は全体の43・7%に達しています。

今後仮に、「週休3日制」などの普及により、労働時間の減少と余暇時間の拡大の流れが広がれば、教育機関で学び直すという選択肢はより実現の可能性が高まっていくでしょう。

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ひとつの会社で一生を終えることは、もはや不可能。究極の個人戦を生き抜く、新しい働き方とは……。終身雇用、年功序列、新卒採用など、従来のシステムが崩壊しつつある今、ぜひ読んでおきたい本がある。それが、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」副編集長、佐藤留美さんの『仕事2.0』だ。佐藤さんが考える、これからの時代の働き方とは? 本書の一部をご紹介します。

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佐藤留美

NewsPicks編集部副編集長。青山学院大学文学部卒業後、出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年編集企画会社ブックシェルフ設立。人事、人材、労働、キャリア関連の記事を多数執筆。2014年7月からNewsPicks編集部に参画、2015年1月副編集長に。専門は雇用、労働、キャリアなど。

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