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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2019.04.30 更新

第107回 SWEET DREAMSいとうあさこ

私は幸せ者です。前回書きましたサザンオールスターズライブに引き続き、今度は松任谷由実さんの45周年記念でありますTIME MACHINE TOURを観に、横浜アリーナに行ってまいりました。

 

ライブ当日、これまた朝からソワソワ。昼間、仕事の移動中、車で流す曲はもちろんユーミンオンリー。長いツアーにも関わらず、セットリストをネットで調べなかった自分を褒めてあげたい。おかげさまで「あの曲歌うかな?」「この曲はどうだ?」とウキウキ倍増。今回は仲のいい番組スタッフさんと参戦。ライブ終わったらその“興奮”と新横浜と言う“土地の魅力”で絶対に飲みに行く、と踏んだ私は仕事後車を置きに一度自宅へ。荷物は最小限に、とお財布、眼鏡、Suicaだけ小さな鞄に放り込んで足早に駅へ。日曜日の昼間というのもあってか電車は空いていたのですが、こちらはもうそんなわけでウキウキのソワソワですから。座る気分にならず、ドアの所に寄りかかりまして。イヤホンでユーミン聞くわけです。「BLIZZARD」なんかかかっちゃった日にゃあ私の顔、絶対“ドラマの主人公”感120%の表情。うふふ。

新横浜に到着。市営地下鉄降りて地上に出てきた瞬間、すごい事に気づきました。実は今回おこがましくもご招待いただきまして。ありがてぇ。ですからユーミンさんに差し入れを、と赤ワインを購入。忘れないように玄関の、しかも当日履く靴の前に置いておいたんです。もう一度言いますね、忘れないようにそこに置いたのです。なのになのに。地上に出てきた私、手軽。そうです、忘れたのです。まさかのワインをまたいで出てきたようで。でもそんな事あります? だってワインなんてそこそこ高さもあるのに。またいだだけでも信じられませんが、最悪またいだとしても、その不自然な膝の動きで気づきそうなもんじゃないですか? なのに気づかなかったなんて何故? まさか中高時代に私、陸上同好会でハードルをやっていたから? だとしたらその30年前の経験が憎い。

でももう取りに帰る時間はない。気持ちを切り替え、これから始まるライブの為の腹ごしらえを。ベローチェのタマゴサンドをアイスコーヒーで流し込み、いざ横浜アリーナへ。着いて最初に向かうはもちろんグッズ売り場。案の定の長蛇の列。ただ長蛇の列っていい事もありまして。要はその時間で買いたいものをゆっくり考えられるんです。列を進みながら売り場の上に貼ってあるグッズ一覧表を見てみ・・・あれ? あれれ? み、見えない。しまった。ここ最近の“部屋に隠された物をたくさん見つける”ゲームのやり過ぎで乱視がかなり進んでいるではありませんか。がっくし。結局携帯でグッズの出ているサイトを開く。ああ、便利な時代に感謝。そうこうしているうちに自分の番。考えておいた物を次々に係りのお姉さんに伝えていき、最後。「あとロゴTシャツの白のLを。」お姉さん、後ろに見に行って「あ、すいません! L、売り切れです!」そっかそっか。まあでもこういうのは、男の人も着るわけで。得てしておっきめに作ってますからね。「じゃあMお願いします。」「あ! すいません! Mもないです! もうSだけです!」・・・S、だけ。いくらおっきめと言ってもさすがに“あさこのS”はない。でもどうしてもTシャツが欲しい私。震えながら小さな声で聞きました。「そのTシャツ・・・伸びますか?」お姉さんは戸惑いながら「えっと、まあ、Tシャツですので、ある程度は・・・。」困らせてごめんなさい。そんなこんなで、S、買ってみました。緊張のお着替えタイムinトイレ。♪タイトなTシャツにねじ込む~。頭の中にBoAメロディが流れる。もうはち切れんばかりのパツンパツンですが、なんとかねじ込み、準備完了。

横浜アリーナの関係者席は座席が6席×3列。私はその2列目の端っこの席。ちなみに関係者席ではどのライブでもほとんどの方が座ったままご覧になる。ただ度々このコラムに書いて参りましたがコンサートの時の私、うっかりのハッスルタイプ。なので超勇気を出して後ろの席の女性に話しかけてみました。「あの、私、十中八九立ち上がると思うので、お手数おかけして申し訳ないのですが、よろしかったらお席交換していただけませんか?」最後列に行けば、ご迷惑おかけせずに済む。するとその方は優しく微笑んで「私、このコンサート4回目なので、全然大丈夫です。」「でもホントに私、多分、いえ、絶対立つかと・・・。」「本当に大丈夫なので、お気になさらず立ってください。」その方がアートディレクターの森本千絵さんと言うのは後に知るのですが、とにかく御礼申し上げてユーミンさんの45年の歴史旅、TIME MACHINE TOURの世界へレッツゴーしました。まだツアーは続いているので詳細は控えさせていただきますが、何なんでしょう。あの細い体から出る信じられないパワー。その膨大なエネルギーと無限のオーラ。それに全身覆われて、もう何の涙かわからない涙が止めどなく流れる。そして私は踊り、「ユーミーン!」と何度も叫び、時に立ち尽くし。まさかのトリプルアンコールまであり、ただただ夢中の2時間半でした。ライブ後、御礼も含め森本さんとお話をさせていただきまして。「私もあさこさんに合わせて踊っちゃった。楽しかった」と。優しい。嬉しい。更に素敵な事をおっしゃっておられました。「このライブはおおきな懐かしい未来で 生きていることに希望がもてる。」本当にそうだなぁ、と。45周年という事は私の約49年の人生のほとんどすべてに、ユーミンさんがいらっしゃったわけで。進んでいく力、またたくさんいただきました。ユーミンさん、45周年本当におめでとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

あ、うっかり忘れたワインは翌日、近所の郵便局からお送りさせていただきました。ご報告まで。

【本日の乾杯】
“鳥わさ”頼んでこのスタイルで出てくるなんて思いもしませんよね? なんとも言えないこのレア感。わさびたっぷりつけても負けない旨味。幸せの極み。

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寂しいだか、楽しいだか、よくわからないけど、日々、一生懸命生きてます。 人気芸人の、笑って、共感して、思わず沁みるエッセイ集。

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