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『黒いマヨネーズ』発売&即重版記念の立ち読み公開!

2019.03.25 公開 ポスト

「角刈りの留学生を探して」「奢るということ」さらに2篇を公開!吉田敬(ブラックマヨネーズ)

大好評をいただいているブラックマヨネーズ吉田敬さんのコラム集『黒いマヨネーズ』。楽天ブックスでエッセイ部門の週間ランキング1位(集計期間:2019年3月11日~2019年3月17日)になるなど、ベストセラーになりました。

2刷、3刷と続々重版が決まり、品切れしていた書店にも並んでいることと思います。そこで今回は、本書の発売をご存知ない方、買おうか迷っている方々に向けて、特別にコラム2篇を立ち読み公開します!

ぜひお読みください!

角刈りの留学生を探して

しかしまぁ最近の科学の発達はすさまじいですね。医学や防犯、犯罪捜査などではもっと科学が発達して欲しいとは思いますが、一般生活においての科学の発達、便利過ぎる世の中はもういらないかなと思いますね。

例えば何でもネットで買え過ぎ。

買いもんぐらい行こうよ。当然お年寄りや妊婦さんとかは別としても、ティッシュや洗剤、そういった細かいものもワンクリックで持ってきてくれる世の中。

で、結果、以前もニュースにありましたが配達員が忙し過ぎてブチ切れて荷物を道路に叩きつけるという……。

あってはいけない事ですが、昨今の時勢を考えると「あぁ、ちょっと気持ちわかるなぁ」と心の中の数%で感じてしまう。

機械が便利になり過ぎて、人が追いついていないんでしょう。

美味しい料理は目の前にポンポン出てくるけども肝心の箸が無い。みたいな状況ではないですかね。

全てのものが一見便利にはなった。しかし笑顔は増えたのかなぁ。

何となく満たされはしているが、でも何となくモヤモヤして、そのモヤモヤイライラをSNSなどにぶつけてしまっているだけだろう。幸せを感じたいなら、もっとシンプルで良いのではないだろうか? 女性の気持ちはわからないが、男ならば恋をして、できればその好きな女とエロい事をする。その為にも仕事をして、上には上がいる事を知り、たるんでいる自分に自己嫌悪しながらも頑張ってなんとか達成感に満たされ、打ち上げの飲み会の後エロい事をする。

たかだかそれだけの事を目標にする所から幸せは始まるのではないのかと思っている。で、その信念のもとに語りますが、やはりもうまずネット通販を、やめろとは言わないまでも抑えるべきだ。欲しい物は自分の足で買いに行くべき。

例えばエロDVDが欲しくなってしまったとしよう。

最近の奴らはすぐに無料だからと違法エロ動画を見るらしい。そんな事をしてれば誰もAV女優にならないしAVを作らなくなる。バカ過ぎる。それは己が働きもせず親の金盗んで生活しているのと同じで、結局近い将来、己の食卓に何も並ばなくなるだろう。すぐに己や弟が困る事になるのがわからないのか。短絡的にも程がある。

だからせめてレンタルDVD屋に行けと思う。金を使えよ。しかし、ちなみに俺はもはやレンタルDVD屋さんでエロDVDは借りない。

一応ブラックマヨネーズ吉田という名前があるので、ここ10年はエロDVDを借りていない。俺のレンタル履歴を世間に発表して欲しいぐらいだ。

少々話はそれるが、なぜエロDVDを借りないかというと、レンタルDVD屋さんで何かしらの映画を借りた時におそらく俺のレンタル履歴がレジの画面に出ていると思うのだが、その時に店員に「あぁブラマヨの吉田はテレビではスケベな事を言っているが実際はエロDVDは借りていなくて、何やかんやと言いつつもモテているのだなぁ」と思われたいのだ。

だから俺は、正直に言ってコンビニのエロ本を買っている。凄いですよ、最近のエロ本は。DVDも付いているし。それで千円いかないのは安過ぎて心配にはなるが、そこはまぁ一応お金はきちんとルールに則のつとって払っているのだから俺が考える事でもなかろう。

とにかく、俺はそういうスタイル。しかし当然、コンビニの店員が若い女のコの時は買わない。

サラッとサンドウィッチとエスプレッソをクールに買って「ありがとうございました」。さすがブラマヨの吉田はエロ本を買わないくらいモテているんだ……などとたっぷり尊敬の眼差しを背中に受けながら出て行く。

だから、エロ本は夜中のコンビニで中国人なのか韓国人なのかはわからないが、とにかく角刈りの留学生店員の時に買う。

一度難波のコンビニで、「ブラックマヨネーズノヨシダサン? デスヨネ?」と片言の日本語で言われた時は、俺の努力が踏みにじられた気がしてムカついてしまった。

しかし、そういった思いをして買ったエロ本に付いてるDVDを見た時は格別な気持ちになるのだ。

そして一人でコトを済ました後には、「あぁ、さっきのコンビニの角刈りの留学生は、きっと母国では少なからず反日教育もあった中、日本を好いてくれて安い家賃のアパートに住み頑張ってるんだろうなぁ。凄過ぎるなぁ。それに比べて俺は少したるんでるよなぁ」などと感傷にふける。そこには友情に似た感情さえ芽生える。

そう、話を戻すと買い物に行くと刺激があるのだ。モチベーションが生まれる。あの留学生は外国にまで来て頑張ってるのだから俺も頑張れる筈だとか、だいたいがコンビニの店員が若い女性であっても俺がとんでもなく偉大なスーパースターならばエロ本どころかその女性店員に声を掛け、そのまま仕事を早退させて連れて帰って来られたかも知れないのに俺はクソだから無理なんだ、もっと頑張らなきゃ! とか。

とにかく買い物に行くという行為には夢や希望や挫折などが転がっている。

それを今は何でもかんでもネットで買って、運動不足だからとジムに行ったりジョギングしたり……。何やねんそれは。

もっと買い物に行くのだ!

欲しい物が決まっていてもネットで買わずに、お店に行った方が良い。オーブントースターで欲しい型番のが決まっていても一応電器屋に行き、最終確認的な質問を店員さんにする。そこでその店員さんの話し方が説明してる自分に酔いしれているような場合は「あぁ、こういう話し方は俺はやめよう」と勉強になる。喋りが上手い方がエロい事をするのに近づけるに決まっているのだから、こんな喋り方はダメだと知る事は大いなる前進だ。

何より店まで行く事自体が運動になりスリムになるし、歩くと亀頭が擦れて早漏防止にもなる。

これは俺の持論だがブリーフじゃなくトランクスを穿いて練習してるマラソンランナーに早漏はいない。

きっとサッカー選手も練習から亀頭とトランクスがかなり擦れまくってるから早漏はいないに決まっている。いるとしたら、想像力が豊かな司令塔的ポジションのミッドフィールダーだけの筈。あるいはゴールキーパー。

とにかく今、何もかもが便利になってきている。プリクラなんかも画像修整できすぎで、「次のコンパ来るのこの女のコやねん」などとプリクラを見せられていくら可愛くても一切油断できない。結局会うまでわからなくなっただけではないのか。

テレビが3Dだの8Kだのになったって、流れてくるニュースに偏ったものが多ければ意味などない。

だいたいが8Kになったら、それは俺がより鮮明にテレビに映る事になり、中年以上のタレントの皺しわなどもバッチリ映り、余計に辛い画面になるのではないのか。

科学は凄い。

そんな事はわかっている。

しかし、安易に「楽だから、今この瞬間楽できるから」一辺倒ではおかしくなる。

いつの日か、動く洋式便器の上に座りっ放しで、常にVRヘッドセットを装着しっ放しでAIが考えたあらゆる世界の疑似体験をし、Pepper君が作った料理を食べさせてもらうだけの日が来るかも知れない。

そうなってからでは遅いから、俺は今日も歩いてエロDVD付きのエロ本を買いに行くのだ。そう、角刈りの留学生を探して……。

(『黒いマヨネーズ』よりP156~161を抜粋)

奢るという事

よく「○○先輩は必ず奢おごってくれてカッコいい。自分が借金してでも後輩には金を使わせない」とかいう話を聞きます。特に僕らみたいな世界では。

僕はそんなん大反対。

借金してまで奢るとか考えられない。

そんなん「最近僕エッチしたくてしたくてどうしようもないんですよ」という後輩に、自分のおかんの乳をもましてやる様なもんです。

奢るなんてカッコいい行為は、まず自分じゃ持て余す程のオッパイを手に入れてから、

「エッチしたいんか? しゃーないな、俺の愛人6号の乳もましたるわ」

くらいの立場になってからでいいのではないでしょうか?

あり余る程のオッパイを持ってるくせに、それでも飢えた後輩にオッパイを分けてやらない。

それが「ケチ」だと思いますね。

(『黒いマヨネーズ』よりP62~63を抜粋)

関連書籍

吉田敬『黒いマヨネーズ』

後輩芸人に「人生はうなぎどんぶりやぞ」と説き、なぜ「屁」が笑いになるのかを考察。さらに、ドローン宅配されるピザの冷え具合を慮り、ベーシックインカム待望論に疑義を呈す……。妄想と現実の狭間で、時に怒り、時に涙しながら、人の世の不条理と栄枯盛衰を綴る、天才コラムニスト・ブラックマヨネーズ吉田敬の哀愁漂う猛毒エッセイ58篇!

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吉田敬(ブラックマヨネーズ)

1973年京都府生まれ。吉本総合芸能学院(NSC)大阪13期生。98年、小杉竜一とお笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」を結成。「上方お笑い大賞」最優秀賞新人賞など受賞歴多数。2005年「M-1グランプリ」で優勝しブレイク。レギュラー番組を多数持ち、多ジャンルで活躍している。著書に『ブラックマヨネーズ吉田敬のぶつぶつ』(幻冬舎よしもと文庫)、『人生は、パチンコで教わった。』(ワニブックス)。

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