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人生は名言で豊かになる

2018.10.17 公開 ポスト

『竜馬がゆく』には載っていない、坂本龍馬の過激な名言小泉十三

くじけそうなとき、負けそうなとき、古今東西の「名言」が、自分を助けてくれることがあります。ロングセラー『人生は名言で豊かになる』は、スティーブ・ジョブズ、シェイクスピア、チャップリンから、村上春樹、立川談志、坂本龍馬、良寛まで、著名人や歴史上の人物の「名言」を多数収録。どのページを開いても、心が晴れやかになる一冊です。本書の中からいくつか抜粋してお届けします。

iStock.com/coward_lion

「日本を今一度せんたくいたし申し候」
――坂本龍馬

幕末のスーパースター、龍馬

 日本史好きには、二つのタイプがいる。ひとつは戦国時代好き、もうひとつは幕末好きである。どちらも動乱の時代であり、NHKの大河ドラマの題材に取り上げられることも多い。

 では、戦国時代のスーパースターが織田信長だとすれば、幕末は誰か? 人気投票をすれば、トップはまず間違いなく坂本龍馬だろう。大河ドラマでも、古くは司馬遼太郎の『竜馬がゆく』がそのままドラマ化されたし、『龍馬伝』もある。民放でも龍馬は何度もドラマ化されている。

 なぜ、坂本龍馬は人気があるのか? 私のみるところ、もっとも大きいのは、やはり司馬遼太郎の『竜馬がゆく』の影響である。司馬がこの作品で描いた龍馬像が、あまりにもカッコいいのだ。私が『竜馬がゆく』を読んだのは、会社を辞めて、1週間ほど帰省していたとき。将来に対して漠然とした不安を抱えていた私は、どれだけ勇気づけられたことか。

 土佐藩の郷士という下級武士の家に生まれた龍馬は、若いうちは差別に苦しむ。しかし、脱藩してからはまさに八面六臂の大活躍。勝海舟に弟子入りして、のちの海援隊をつくり、薩長同盟の仲立ちをして、大政奉還の実現に尽力する。

 また、容姿は身長六尺の長身、長髪を後ろでまとめただけの髪形がイケているし、剣の腕前も北辰一刀流の道場を主宰する千葉定吉から後継者に見込まれるほどのスゴ腕。これでは女性にモテないはずもなく、『竜馬がゆく』では、登場してくる女性が次々に龍馬に惚れてしまう。とにかくどこを切ってもカッコいいのが龍馬なのだ。

姉に宛てた手紙の中で

 ただし、龍馬にはひとつだけ弱点というか、頭の上がらない女性がいて、それは姉の乙女だった。龍馬は12歳で母親を亡くしているが、それ以降、母親代わりに身の回りの世話を焼いてくれたのが乙女だった。しかも、この姉は文武両道のスーパーウーマンで、龍馬に武芸まで教えている。

 こうなると、脱藩した龍馬が、乙女にしばしば手紙を書いた理由もよくわかる。ここで取り上げた言葉も、乙女への手紙にあった一節である。

「同志をつのり、朝廷より先ヅ神州をたもつの大本をたて(略)、姦吏を一事に軍いたし打殺、日本を今一度せんたくいたし申候」

 龍馬は、幕府の役人が外国と内通していることに怒り、彼らを打ち殺して、日本を昔のようなきれいな国にしたいというのだ。

 かなり過激な内容である。『竜馬がゆく』には描かれなかった龍馬の“激しさ”を見る思いだ。まあ、明治維新は壮絶な“流血革命”でもあったから、そういう“激しさ”がなければ成就しえなかったともいえる。事実、龍馬の最期も、暗殺という壮絶極まりない死に方だった。

 この項の最後に、私を幕末好きにしてくれた司馬遼太郎に敬意を表して、龍馬の死についての彼の言葉を紹介しておく。

「天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした。
 この夜、京の天は雨気が満ち、星がない。
 しかし、時代は旋回している。若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押しあけた」(『竜馬がゆく』(八)文春文庫より)。

 

関連書籍

小泉十三『人生は名言で豊かになる』

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小泉十三

1956年生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社に入社し書籍の編集に携わる。独立後、単行本の編集・執筆を精力的に行う。著書はブームになった「頭がいい人」シリーズの「頭がいい人の文章の書き方」(河出書房新社)のほか、「ゴルフ・シングルになれる人、アベレージで終わる人」(幻冬舎)など多数。様々なジャンルの文献に精通し、いま役立つ知識・情報をさりげなく織り込む執筆スタイルから、その著書は、やわらかい教養本として幅広い層に支持されている。

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