伊豆天城山で女たちの駆け込み寺「サンガ天城」を運営し、たくさんの悩める女性を救ってきた尼僧・戸澤宗充さん。著書『すべてを喜びとする。駆け込み寺庵主の「引き寄せ」問答』より、頑張ってるあなたの小さなモヤモヤをすっきり解消する問答をお届けします。
今の私は「人間大好き!」で、どろどろとした人間関係にも進んで足を踏み入れていきます。人のために奉仕をすることが、私自身の喜びだからです。
けれども、実は若いころの私は、人づきあいが苦手でした。けっこう暗い人間だったんですよ。中学生のころから、休み時間も放課後も本ばかり読んでいて、友達と遊んだ記憶はほとんどありません。友達とワイワイ過ごすのが嫌いだったんです。高校進学後も、その傾向は弱まることなく、むしろ強まっていきました。趣味は、ひとりで美術館やコンサートに行くことで、「おひとりさま」が大の得意。周りからは「こわい人」と思われていたようです。そんな私が、今では尼僧となり、人々のためにご奉仕させていただく日々を過ごしているのですから、人生とは不思議なものです。
「なんでこんなに悲しいのに、苦しいのに、生きなくてはいけないのか」
私自身、何度も自分に問いかけました。けれど、娑婆は苦しくて当然なんです。そのことがわかると一気に心がラクになります。それを乗り越えたときに、「あぁ、生きていてよかったな」という日が、絶対に来るんです。「そうかしら?」ってみんな言うけれど、本当に来るの。だって、私が今、そうですもの。
色々苦労してきたけれど、私は今、生きていることがとても楽しいのです。自分が楽しくしていると、お友達がたくさん寄ってきて、みんな楽しくなります。「ここに来ると楽しい!」「庵主さんに会いたい!」って言っていただけるのが、私自身の喜びなので、苦しいとは思えません。お茶を教えて、お説教をやって、サンガ天城もやって、おばんざい屋もやって、大変じゃないですかと言われますけど、楽しいんです。全部、楽しいんです。意識して「楽しい」と思っているつもりもありません。ただ、やっていること自体が、本当に楽しいのです。
人間嫌いだった私が、人間大好きに変わったように、人は変われます。死にたくなるくらい辛いことがあっても、幸せになることができます。どんなことも当たり前と思わず、今、この世に生を受けていることも当たり前と思わず、感謝しましょう。喜びを感じましょう。お釈迦様はこう説いています。
「その報いは私には来ないだろう」
とおもって、悪を軽んずるな。
水が一滴ずつ滴りおちるならば、
水瓶でもみたされるのである。
愚かな者は、水を少しでも集めるように
悪を積むならば、
やがてわざわいにみたされる。
「その報いは私には来ないだろう」
とおもって、善を軽んずるな。
水が一滴ずつ滴りおちるならば、
水瓶でもみたされる。
気をつけている人は、
水を少しでも集めるように
善を積むならば、
やがて福徳にみたされる。
「これくらい、まぁいいか」という小さな悪であれ、相手に気づかれもしない善であれ、いずれ満ちるときがきます。あなたの心の中を少しずつ少しずつ満たしていくのです。生きることに伴う苦や喜び、すべてをかみしめながら、今日という日を生きていきましょう。生かされている命に感謝して。
命に感謝し、
すべてを喜びとして
生きていくのです。
娑婆は苦しくて当然。
そのことがわかると
ラクになる。
すべてを喜びとする。
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