夫と義母の介護を終え、67歳から始まった、イラストレーター本田葉子さんの一人暮らし。不安と楽しみが入り混じるなか、日々を支えてくれたのは、ふだん着のおしゃれと手作りだったといいます。家で、スーパーで、畑で、毎日着る服でワクワクしたい。そんなふうに一人を楽しむ本田さんの暮らしと工夫が詰まった新刊『70歳一人暮らし、ふだん着おしゃれが日々の杖』より「はじめに」をご紹介します。

夫と義母を見送って始まった一人暮らしは3年め
古稀過ぎてすぐ、膝とかかとを傷め、しばらくの間、左足をちょっと引きずるような歩き方になっていた。
出かけるのを控えていたものの、どうしてもの外出予定があり、転ばぬ先の杖!とばかりに夫が以前使っていた杖を出して、ついてみた。
長さを調節し、歩いてみたら、これがけっこうな安心感をくれたのだ! すがるというか、ほんの少々道具に助けてもらうのっていいかもね!と杖初心者としてうれしさの感動も。
扱いのコツを覚えると歩きやすくもなってくる。ふた月くらいで左足は改善の兆し。杖はいらなくなったけれど「ささえになるもの」の安心感をたしかに味わった。なにかを作ったり、体操教室に通ったり、おしゃれして友だちに会いに出かけたり、夕方ひとり呑みに出たりと日々ちょっとした楽しみをいくつか用意しておくと暮らしに張りが生まれる。
若い時分より行動範囲も根気もぐっと目減りしている昨今。体力もなんだかな〜だけれど、張り合いという杖さえあれば日々はグッと楽になるんだろうなと思う。
夫を見送って早9年、一人暮らしは3年めに入った。いろいろ小さな変化はあるものの、手芸工作や料理、おしゃれがよりいっそうの生きがいになっている。
そうそう、これでいいのだ〜♪と口ずさむともっと面白くなるのが人生だ。
「人生」なんて大げさな言葉?と思ったけれど、これから先、人生の一人時間を楽しむために、工夫をしていきたい。おしゃれを暮らしの杖として大活用だ。












