はてさて。
前回は、そろそろおいらも介護脱毛? の話でしたが、みなさま覚えておいででしょうか。
(50代を迎え討つ! 第2回「インターポールとVIO脱毛」はこちら)
(前回までのあらすじ)
「100年の恋も冷める」と脅され、人生初めての”ヘア(下)チェック”をしたワタクシ。そこで見つけた白い恋人にひょえーーーっとなる。
脱毛の機械は白い毛には反応しないので、VIO脱毛するならいまのうち。介護される歳になってから処理しようと思っても遅いですよと脅され(言い過ぎ。脅されてはいない)、某Mから始まる脱毛サロンにてVIO脱毛を契約した。
ところが、このことを原稿に書こうと思ったときにはたと「介護する側の人たちは、どれくらい脱毛をご所望されているのか。脱毛するとどれくらい介護が楽になるのか取材しよう」と思い立つ。
そこで、敏腕女医の暢(のぶ)ちゃんに、「ちょっと介護現場の人の話を聞きたい」と頼んだら、48時間後にアンケートの束が送られてきた。
その内容がまさかの!!!!!!
↑イマココ
送られてきたアンケートを見て、のっけから、ぶったまげた。
現場は知っている

「脱毛による介護される側のメリットはあるか? またそれはどのようなことか?」
という質問に対して、暢ちゃんから送られてきたアンケートには、こんな回答がずらっと。
個人的には「不要」なイメージ。汚れたらがっつり洗うからあんまり関係ない。昔みたいに拭き取りだけの施設なら、ツルツルの方が介護職員は楽かもだけど。
介護には全く支障なし。大半の方が老化とともに毛量が減るし。脱毛=老後のQOL向上のキャッチコピーは横行してほしくないなー。
女子は薄くなる。 うちの女性のお客様は、ほぼチョロ毛程度です。介護される歳(後期高齢者とするなら)になる頃には薄くなってます。
介護される方(いわゆる高齢者の方)で茂みのように生えている方にお会いしたことがありません。年齢とともに下の毛も細く少なくなるのだなと思います。やはり毛は生きるエネルギーの余剰なのでしょうか。
盲点!
盲点すぎた!
そっか。歳をとったらアンダーヘアも細く薄くなるのか! そりゃ、そうだよね。
たしかに、銭湯で“もっさもさ”のおばあちゃまに出会ったことはない気がする。
「やはり毛は生きるエネルギーの余剰なのでしょうか」
という静かな問いが胸に刺さる。
たしかに髪の毛も東洋では「血の余り(血余)」などという。全身に血液が行き渡ったあとに余剰があれば髪まで血がまわる、そういう場所なのだなあ。
なんだか、しんみり。
「毛があった方が石鹸を泡立てやすい」という回答もあった。
ちなみに「男性の ”剛毛O” は、処理してもらえると嬉しい」「男性は脱毛するならヒゲをやって欲しい→皮膚が弛んで剃るのが大変」という声があったことも、併せてお伝えしておきたい。
"介護脱毛"という言葉が、介護現場からではなく脱毛屋さん発信ではないのか?
という意見もちらほら見られて、まさに「介護脱毛」の言葉に踊った私、すみません。すみません。すみません。と、なる。
もちろん、別の こういう意見もあった。
毛がないことで皮膚の状況観察がしやすくなる。
清潔を保持しやすくなるので、介護者の手を借りる事なく、自分でもシャワーやトイレを簡単に行える。一人でできるという自信につながる。
なるほど、「洗い」の手間が減ることで「一人でできる」範囲が増えるのか。自分で自分を清潔に保てることが「自信につながる」という言葉も、現場にいる方ならでは。涙がでそうだ。
これを読むと、脱毛のメリットもそれなりにありそう。だけど、脱毛していなかったら、施設で嫌われますよ。QOLがダダ下がりますよってことでもなさそうだなあ。
そしてそして!私が目を奪われたのは、ここ!!!
脱毛よりダイエット。介助者に優しい体型になってね(巨体のオムツ交換で介助者の腰が死にます)
VIO脱毛より、とりあえず痩せてくれが職場の満場一致意見でした。
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VIO脱毛より、とりあえず痩せてくれ
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うわああああ、そんなところが介護士さんの負担になるのか!
ぢっと我が腹を見る。
もう一人生まれてきそうな勢いだけれど、孕んではいない。自腹がヤバイ。
すみません。すみません。すみません。
お世話になるまでには必ず痩せます。
大切だからそこにいるんだよ(みつを)
その後も暢ちゃんからの情報は続く。
本日、大学同期とご飯してたんだけれど、産婦人科女医2名の意見。
「脱毛して皮膚が乾燥して炎症起こす人が増えている」
「下着と擦れて炎症起こす人が増えている」
「エストロゲンが減少したら、萎縮して乾燥してこれまたひどくなる」
現場からは以上。
LINEには、「おすすめはボーボーノーパン」だってさ、と書かれている。
ボーボー ノーパン……。
ちなみに、介護を考えるような世代じゃなくて、「若い子も、下着やおりもので接触性皮膚炎を起こしやすいし、カンジダを反復する子はもれなくツルツル」と話す産婦人科の先生もいたらしい。
そうか。脱毛には、メリットだけじゃなくて、そんなデメリットもあるのね。
「あの毛も、その毛も、大切だからそこにいるんだよ(みつを)」みたいな気持ちになったことよ。
あれから5年経った現在は、白も黒も分け隔てなく、ご一緒しています。
……と。
ここで、話は終わる予定だった。
ところが!!!
【だーい、どーんでーんがえーし!(再び)】
が、当時から5年も経ったわけだし、今回この原稿を書くにあたり、やっぱり最新情報を取材すべきだよなと思った。
どなたにお話を聞こうかと考えたとき、思い出した方がいた。
暢ちゃんとこのやりとりをしていた2021年、天下のNHKの看板番組「あさイチ」さんが、介護脱毛についての特集を組んでいた。
そこに出演されていたのが、よしき皮膚科クリニックの院長、吉木伸子先生。その番組で先生は「白い毛になっても脱毛できないわけではない」「介護のために脱毛が“必須”というわけではない」とおっしゃっていた。
その番組を見て私は、「なるほど、やはり私たちは、介護脱毛という言葉に振り回されているのだな」と理解した。
そこで、今回、この原稿を仕上げるにあたって、吉木先生に電話取材を申し込んだ。先生にお伺いすれば「介護脱毛はとくに必要ないですよ」とおっしゃると予想していたからだ。
ところが!!!
まさかまさかの!!! 再びだーいどーんでーんがえしーーーー!!!
電話での取材にて。介護現場のアンケート結果
(1)介護が必要な年齢の人たちは、そもそもアンダーが薄くなっている
(2)介護の現場では毛の有無はほぼ関係ない
をお伝えしたところ、吉木先生はおっしゃった。
「介護のプロの方たちはそうおっしゃると思いますし、実際、介護が必要な後期高齢者の方はすでに毛が薄くなっている人も多いと思います」
はい、そうですよね。「よし、ちゃんと裏とれた」と思っていたら、先生「ですが……」と言葉を続けた。
「介護施設に入る前の人たちはどうでしょう」
はっ!!
盲点! 再び盲点!!
たしかに介護施設に入る人は後期高齢者が多い。しかし、実際にはその手前で、家で洗浄の介助を受ける人も相当数にのぼる。その場合、介助をするのは主に身内だ。そしてまだ、毛も元気に残っている場合が多い。
一人で歩けるし、施設でケアされるほどではないけれど、大人用のおむつを使っている人も多いと先生は指摘する。その場合も、やはり脱毛しているとストレスが減るとのことだ。
「NHKの番組で、毛が白くなっても脱毛できないわけじゃないとおっしゃっていた記憶があるのですが」と私が尋ねると、「白髪になりたての毛であれば、脱毛できる可能性はありますね。でも、白くなってから数年経った毛は一般的な脱毛機器では難しいです」との答え。
「え、じゃあ、下の白髪は自分で抜くしかないのですか?」と聞いたら「それはおすすめしません。陰部の毛を自己処理で抜くと、膿みやすいんです」と先生。だから、完全に白くなってしまったあとのVIOは、ニードル(針)脱毛になるとおっしゃる。
ニードル! 痛いやつ!!!
さらにホラーな話も教えていただいた。
これは男性のヒゲ脱毛でも同じらしいけれど、白い毛が混ざった状態でVIO脱毛すると、白い毛だけが残るという。
白い毛だけ残る……。想像してしまった……。うっ。
え、ちょ、ちょ、ちょっと待って。
では、結局のところ……。
「自分や家族がケアをすることを考えたら、白くなる前の脱毛にはメリットがある」ってことですか?
先生は「そう思います」とおっしゃった。
最後通告!!
インターポールからスタートしたVIO問題。5年かけて、2周まわって、スタート地点に戻ってきたよ。
ジェットコースターかよ!!!
ここから私はどうすればいいの?
彼女たちに比べれば……
5年前に契約したMから始まる某脱毛サロン。
チケットがもったいないので、当時、ちょっとだけ通った。しかし、その後、その脱毛サロンが突然倒産してしまい、予約が全然とれなくなった。
その時は「脱毛、もういいかな」と思っていたので、チケットを消化しないまま、救済処置期間もスルーしてしまった。
吉木先生の話を伺って、慌ててアプリを開くも、チケット枚数はゼロになっている。
くーーーー、もったいなかったなと思ってアプリを凝視していたら、思い出したことがあった。
5年前、私のアンダーをちらり見ながら「お早いほうがいいですよ」とおすすめしてくれたお姉さん。
イントネーションが独特だったので、出身を聞いたら「秋田です」と言っていた。なんでも、友人や後輩を同じ職場に勧誘する人が多いので、私が通っていたMU●●●の某店舗は秋田出身だらけなのだとか。
秋田から上京してきた何人ものMUS●●のお姉さんたちが、急に解雇された場面を思い浮かべる。みんな、再就職できたかな。未払いのお給料、ちゃんと支払われていればいいんだけど。
そんなことを考えていたら、チケットのことは、なんだか諦めがついた。
さて。
振り出しにもどって考える。行くべきか、行かざるべきか。
プロに介護される前に、「弱る自分を自分でケアしなくてはならない」時期も想像せねばならぬ。
やはり、行くか。
あらためてそーっと検分すると。
5年間の間に、増えてたよ。白。
予約すっか。
次回4回目は「リッツ・カールトンと入れ歯」です。
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50代を迎え討つ!

美容ライター&コラムニストの佐藤友美(さとゆみ)が、きたるべき50代を、なるべく明るく楽しく最小限の痛手で迎え入れるために、尊敬する先輩や頼もしい識者の方々に話を伺いながら右往左往するコラム。









