2026年2月23日
昨夜は打ち上げに打ち上げを重ね、最後、ウトウト寝てしまった。完全に無理ができなくなってきている。大橋さんは、そのまま朝の四時までひとりで酒を飲んでいたらしい。大橋さんは無尽蔵の体力を持っている。
朝、本八戸駅から電車に乗ろうとしたら、大橋さんにバッタリ会ってしまった。ふたりで温かいお茶を買って、一時間に二本の電車がくるまで、しばし昨日のイベントの感想を言い合った。するとそこに、昨日来てくれたお客さんが、ひとり、ふたり現れる。疲れが抜けておらず、ああ、くらいの挨拶しかできなかった。申し訳ない。
仕事はどっさりあるが、東京での打ち合わせ、ラジオ収録は水曜日までないので、どこでやってもいい。八戸線の路線図を見ていたら、『鮫』という駅がある。
俄然行ってみたくなり、八戸駅から新幹線で東京に帰る大橋さんとは真逆の電車に乗った。こちらが電車に乗る姿を、大橋さんはずっと写真で撮っていた。変わった人だ、と言いたいとこだが、大橋さんが電子レンジで、「温め」をしている様をこちらもガッチリ撮っていたので、痛み分けか。
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車内で『鮫駅』についていろいろネットで調べてみるが、まったくわからない。ただ、基本なにもないことだけはよくわかった。とりあえず海を見よう、それだけは決めた。
鮫に着くと、まず人が全然歩いていない。ウミネコの「ミャア、ミャア」という鳴き声だけが、ずっと聞こえていた。昨日、八戸は夜でも暖かたったので、冷たい海風がかなり堪える。
どこの道をどう曲がっても、人と出会わない。時刻は午前十一時を少し回ったところ。
『コメコ食堂』という店が、突然営業している。突然、と思わず言いたくなるほど、それ以外の店がシャッターが閉まったり、十年くらい前にラーメン屋だったのかな? みたいな建物や、靴屋? な建物などがあり、「やってる!」だけでも十分ビビった。
店内はもちろん客は自分ひとり。まだ若い女性店主がひとりでひとりで切り盛りしている。ミニ海鮮丼と磯ラーメンを注文。磯ラーメンは貝で出汁を取っている、とメニューに載っていた。味は、ほどほど、と言っておきたい。ただ、営業しているだけでも奇跡だ。感謝だ。奇跡分を加味すると、食べログ4.0だ。本当の食べログで調べたら、3.0だった。うーん、そんな感じだった。
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このままでは、ぶらり旅が失敗で終わってしまう、と焦り、『八戸』まで戻って、そこから新幹線で『新青森』へ行き、在来線に乗って、『弘前』まで来た。
『鮫』を経験しているので、『弘前』は大都会だ。TSUTAYAすらある。併設されたスタバで、コワーキングをしているサラリーマン、OLすらいた。大都会だ。
TSUTAYAの本棚で、平然を装いながら、自分の本があるか、チェックしてみた。あった。それも文庫はすべてあった。小説『これはただの夏』は平積みされていた。頑張れ! 『これはただの夏』。応援のため、一冊買おうかと思ったが、やり過ぎな気がして思いとどまった。
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駅前に『まわりみち文庫』という小さな書店があった。たぶん店長セレクトの本が、ビッシリと並んでいる。残念ながら自分の本は置いてなかった……。『まわりみち文庫』にサクッと置かれることが次の目標となった。そして思わず、トルーマン・カポーティの文庫を一冊買ってしまった。アンタ、カポーティなんて読むのかよ! と自分にツッコミたくはなった。なったが、いい感じの佇まいの書店は、思わず一冊買ってみようかな、という気にさせる。
『まわりみち文庫』恐るべし、だ。弘前に行った際は、立ち寄ると面白いかも。
今日は弘前に一泊することにしたので、この日記を書き終わったら、もう一度『まわりみち文庫』に立ち寄る予定。そのあと、地元の居酒屋のどこかに入って、軽くお酒を飲みつつ(本当に軽く)、刺身的なものをつまみたい。そしてホテルに戻って、原稿をやる。つもり。いや、やる。では
あなたとわたしの生存確認日記

今日も無事でしたか? 燃え殻さんが毎日配信するレター「底なし日記」より、週に一度一日分を転載します。
(アイコンイラスト:大橋裕之)










