日本の歴史を面白く読ませる、房野史典さんの新連載!『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。』は、いまだに増刷を続けるロングヒット作品ですが、さて今回の連載は「歴史を動かした”事件”」で歴史を読んでいこう!というもの。
歴史の教科書で絶対見たことのある、超有名な「大化の改新」のお話を、全4回で展開します!
* * *
『大化改新』ってご存知ですか?
中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)、蘇我氏、このあたりの単語が出てきたら、もう100点。あなたは大化改新のプロです(大化改新のプロって何?)。
《権力を握りまくった蘇我氏を、中大兄皇子と中臣鎌足がぶっ倒した事件》
そう、これが『乙巳の変(いっしのへん)』ですよね。
ん? いっし……? いや、今の説明(権力を握った蘇我うんたらかんたら)は、[大化改新]の説明……でしょ? ううん、『乙巳の変』の説明なの。
そう、このクーデターは『乙巳の変』と言いまして、そのあとに行われた政治改革を『大化改新』というんですね。
一昔前はクーデターと改革をまとめて『大化改新』って言ってたんだけど、今は分けて呼んでるんです(アラフォー以上の皆様、そうなんすよ)。

んじゃ、まずは日本古代史の中でも、圧倒的インパクトと重要度をもった、このクーデターから説明していきましょう。
(※リアルさを追求するなら、『中大兄皇子』ではなく『葛城王』、『聖徳太子』ではなく『厩戸王』などになるのでしょうが、知名度とわかりやすさ優先でいきます)。
前回登場した推古天皇。そこから、
推古(女性)→舒明(男性)→皇極(女性)と代替わりがあり、このときの天皇は皇極(こうぎょく)天皇です。
で、同じく前回登場した蘇我氏も、
蘇我馬子→蝦夷(馬子の子)→入鹿(蝦夷の子)と代替わりしていたんだけど、こちらは世代を重ねるごとに、権力の独占っぷりがものすごいことになってたんですね。
それを象徴する出来事をいっちょ挙げときましょう。蝦夷・入鹿親子はね……
生きてるうちに自分たちの墓を造り、それを「陵(みささぎ)」と呼び、邸宅を築いたら「宮門(みかど)」と呼んで、自分たちの子どもを「王子(みこ)」と呼ばせたんです。
これ、何が問題かって、「陵」「宮門」「王子」などのワードは、天皇家しか使っちゃダメなんですよ。「我々の力は天皇をも凌ぐ!」とでも言わんばかりのデカすぎる態度。
でも、そんなことすりゃ当然、
「おい蘇我氏! 大王家(天皇家)をないがしろにしてんじゃねぇぞ!」
と、反発、不満を抱える人がそりゃあ出てきます。でも……
豪族「なにぃ!!? 入鹿(いるか)が山背大兄皇子を襲っただと!!?」
蘇我氏の暴走は止まりません。
なんと、蘇我入鹿が兵を派遣して、聖徳太子の子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)を襲撃し、その一族を滅亡させるという大事件を起こしちまうんですね。
ついに、天皇の一族にダイレクトに牙を剥き始めた蘇我氏。このままいけば最悪の場合、皇位(天皇の地位)は蘇我氏のものに——。
しかし、そんな蘇我氏の横暴に、敢然と立ち向かう豪族があらわれます。彼の名は、『中臣鎌足(なかとみのかまたり)』。
そして、鎌足が蘇我氏打倒の話をもちかけたのが、皇極天皇の子、『中大兄皇子』です。
さらに、中大兄と鎌足は、蘇我倉山田石川麻呂という、あんたの名前はどこで区切ればいいの? という人を仲間に引き入れ、計画を練ります。
中臣鎌足「近々行われる、高句麗・百済・新羅の使節を迎えるセレモニーに、入鹿が出席する。そこに、武装した刺客と我々が身を潜め……」
中大兄皇子「石川麻呂が天皇に文書を読み上げる、その時を合図に……入鹿を討つ!!」
しかし、本番当日。
石川麻呂が文書を読み始めても……刺客が出てこねぇ。刺客ったら緊張がピークに達し、びびりたおして出てこれねぇ。
その状況に、「あれ……まだ?」と、今度は石川麻呂が焦り出しちゃう。全身汗だくになるわ、声が上ずるわで、こちらも見事なガクブル状態。
中大兄「あ、ダメだこりゃ」
と思った中大兄は、なんとみずから入鹿に斬りかかり——
入鹿「グゥわぁ!!(皇極天皇に向かって)わ、私に何の罪があると言うのですか……!」
皇極「これは……いったい何事ですか!」
中大兄「入鹿は天皇家を滅ぼし、皇位を奪おうとしたのです!」
中大兄の言葉を聞いた皇極は殿中に退き、残された入鹿はとどめを刺されます。
そして、入鹿の遺体は父・蝦夷に引き渡され、翌日には蝦夷も邸宅に火を放ち自害したのでした。
こうして、中大兄皇子・中臣鎌足が、悪の権化・蘇我氏を討つための正義のためのクーデターは、大成功に終わったのでした。
というここまでのストーリーのほとんどが、
ウソです。
(つづく)
13歳のきみと、日本の歴史を動かした事件の話をしよう。

『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳戦国時代』『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう』などなど、ロングな人気作の多い房野史典さん。
絵がうかび、笑いながら読んでいたら、気づけば頭に入ってた! という、驚異の歴史語りは、一度読んだら大人も子供もみんなハマる!
歴史の大先生方からもお墨付きをいただいている房野さんの新連載は、「有名な事件を読み解くと、歴史の動きが見えてくるよ!」ということを教えてくれます。
歴史の面白さがグングン深まっていく、ゾクゾクする感覚をお楽しみください。










