ボーイズグループのオーディション番組を見たことで、改めてアイドルのパフォーマンスのレベルの高さを知った。
そこで一度アイドルのコンサートに行ってみたいと思った。

番組内では私の推しは大体敗退するのでデビューしないし、よしんばしたとしても海外の番組ばかり見ているため、日本で追うのは難しいというほぼ詰みだが、幸い国内にもコンサートに行ってみたいグループがいる。
しかし、行き方すらよくわかってないし、わかったとしてもXでは定期的に「何かがご用意されなかった人」の辞世の句みたいなつぶやきが流れてくるので、行けるかどうかもわからない。
だが、それ以前に私は「アイドルの推し方がわからない」ということに気づいた。
痰と一緒に「好きに推せよ」と吐き捨てられることはわかっているが不安なのである。
話は変わるが、私は「人生相談」のコーナーを持っている。
まず、何故か私に人生相談をしろと持ち掛ける奴がいて、どうしてか私が引き受け、何を間違ったのか相談する奴がいる、という正しさが何もない場ではあるが、最近は推し活ブームの影響で推し活に関する相談も多い。
その中に、ずっと二次元を推していたが、初めて三次元の推しができ、推し方に悩んでいるという相談があった気がする。
本物の識者からすれば、まず「三次元の推し」という言い回しをやめない限り貴様らに未来はないといったところかもしれないが、ずっと推しといえば二次元の生活を送るとこうなってしまうのだ。
この気持ちはよくわかる、むしろ自分が教えてほしいぐらいだ。
実際、2次元ばかり長く推して来た人間ほどいざ3次元の推しができた時「2次元の時と同じノリでいったらまずいのではないか」という悩みを抱えがちな気がする。
対象の次元が1、2本増減したところで、貴様のキモさは一本松なのだから、同じようにキモく推しとけばいい、と思われるかもしれない。
だが最近になって、自分はキモく思われることを心配しているわけではないと気づいたし、そうだとしても心配するのが遅すぎると気づいた。
昔、別の人生相談コーナーで「40代で同人誌即売会デビューするのが不安で断念を考えてしまう」という相談があった。
なんで貴様が人生相談を複数持っているのだと言われそうだが、私に人生相談をしろという狂人と、私に相談をしてくる狂人が複数いたのだから仕方ない。
私はその時の私なりに真面目に回答したのだが、今となっては相談者の苦悩を正しく理解していなかったのかもしれない。
相談者は主に、周りは若人ばかりで浮いてしまうのでないか、ドン引かれてしまうのではないかを心配していた。
これは一見、他人の目を気にしすぎている、まさにキモく見られないかを心配しているように見えるが、相談者は「年は40代だが二次創作やSNSに関しては新人」とも言っていた。
これは、自分がどう見られるか不安、ではなく自分の存在が周囲の輪を乱し、迷惑をかけてしまうのが不安、というのが主な相談だったのかもしれない。
それを考えれば40代であることを気にする理由も良くわかる。
何歳でも好きなことをやればいいという風潮にはなっているが、好きにやった結果周囲が焼け野原になることは誰も許していないのだ。
「40代で同人とかみっともない」と言われたら、いくらでも反論できるが「40代にもなって非常識すぎる」と言われたら、一瞬で黙り込み、人間失格の冒頭一文を読み上げることしかできなくなってしまう。
どの界隈にもルールやマナーはある、それを知らずに侵してしまうのは怖いし、それを中高生がやるのと中高年がやるのとではストーリーが違ってくる。
私も三次元のことは何も知らないので、知らぬ間に私の言動が界隈の禁を侵しているのではないかと考えると不安なのである。
しかし、それは「界隈を恐れすぎ」だということも分かっている。
確かに「全域スラム」みたいなジャンルもあるかもしれないが、大体のジャンルは一部危険区域があるだけで、大部分はおおらかなはずだ。
つまり、どのジャンルも多少の学習と「一般常識」さえあれば、そこまで恐れることはない、ということだろう。
だが、そう言われると常識レベルが高い人、そして一般常識のなさに自信がある中高年は余計躊躇してしまい「熟考の結果断念」を選びがちだったりもする。
そんなわけで私は現在、誰にも教えていないインスタアカウントを新たに作り、何も発さず、ただ推している人たちをフォローして動向を伺うという「ステルス推し活」をして界隈の空気を学んでいる。
私に相談して来る狂人に対しては常に「考えすぎるな」と言っているが、自分のことになるとこのザマなので、私に相談をしようという者は「もっと上の狂人の意見を聞きたい」というモチベで相談してほしい。
カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

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