誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに、そんな「待つ時間」をテーマにして選曲&言葉を綴っていただきます。
巨大な構造体の心臓部、舗装された血管を流れる、無数の影と光の粒子に平伏すとして
2025の終わりと失速、冷却された熱情の記録を携えて、君は時代の残響音に耳を澄ます
スクランブル交差点に群がる波動は正確無比、ニュースだけが終末をイメージする
雪の結晶のように冷たい完璧なコミュニケーションは、未来へと逸脱せんとする人たちの焦燥の塊だとして、誰もが加速を求め、誰かは終点を見誤っている
君と僕が描いた思い出の色彩の洪水が、目蓋の裏に焼き付く
青は過去の憂鬱、赤は消費の欲望
この暴力的なまでの光の奔流だけが、内側の空洞の存在を、一瞬忘れさせてくれる
絶対的な質量の喪失、無風の領域へと落ちてゆく柔らかなエアポケットは、暦が最後のページをめくる瞬間の停滞
人々の熱狂が蒸発し、関係性の残骸と誓いの破片、そのすべてを昨日に葬り去って、空白の肯定を成し遂げて
君と2026へと、意識の舵を切る

中谷美紀『MIKI』(2001年、ワーナーミュージック・ジャパン)収録
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渋谷で君を待つ間に

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
- バックナンバー
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- 君と僕が描いた思い出の色彩の洪水が - ...
- 心の境界線を曖昧に - 星野源『生命体』
- 風と時間の気まぐれに晒され続けて - R...
- 静けさだけが曖昧に - showmore...
- 本当の行き先は此処じゃないどこかへと -...
- きっと君の胸の奥にはまだ、少しだけ熱が残...
- すべてが速度を求めるこの場所で - 藤井...
- タバコも酒も賭け事も友情も此処に置いて ...
- 君の指先が偶然に触れたとき - 原田知世...
- 始まる音の旅が、あの頃に恋し焦がれた夢を...
- 同じ音楽なのに、違う物語を語り始めて -...
- 騒音の中に差し込む一瞬の静けさのように ...
- 心の奥で鳴り響く拍手がある限り - 中谷...
- 取り返せない今を生きているのだから - ...
- 派手な帽子は苦手なのに - Yellow...
- 西と東からの風が混じるこの場所で - 加...
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- 確固たる想いだけが行方知れずに - 高橋...
- 運命は痛みだけを代謝して - 小沢健二『...
- 例えばね?って、笑顔になるような言葉を ...
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