青春小説『17歳のビオトープ』『未来への人生ノート』で印象的な言葉を残した、校務員・平人生(たいら・じんせい)。通称“人生先生”。
穏やかなまなざしと哲学的な言葉で人の心に寄り添うその姿に、「こんな先生が実際にいたらいいのに」との声が多く寄せられています。
『17歳のビオトープ』で高校生たちの悩みに向き合い、最新作『未来への人生ノート』では、東東洋大学の臨時就職アドバイザーとして大学生たちの“人生の岐路”を支えた人生先生。
「いい人とは」「面白い人とは」「自分とは何か」——。
誰もが一度は抱く問いに、静かに、そしてまっすぐに答えを示してきました。
そんな人生先生が、今度はあなたの悩みに耳を傾けます。
哲学的な言葉とどんな人にも寄り添う姿勢が、あなたの心にもそっと光を灯してくれるはずです。
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新しいことにチャレンジして、うまく出来なかったり、ミスしてしまったりと負の連鎖が重なってしまうと更に落ち込んでしまいます。自分に期待しないようにいようと思っていても難しいです。
人生先生は感情のコントロールをどのようにしていますか?

ご相談を、ありがとうございます。まずは新しいことに日々チャレンジしているあなたのその行動力は、とても素晴らしいものだと思います。
しかしその行動の先で、ミスをしてしまったり、落ち込んでしまうことがあるとのことですが、その失敗はとても大切なものだと思います。いえ、失敗という言葉自体、適切ではないかもしれませんね。
なぜならチャレンジの先にあるのは、成功か失敗ではなく、「成功」か「成長」だからです。あなたは失敗をしてしまった、と思っているかもしれませんが、実際はこうすると上手くいかなかったという発見があったとも言えます。そしてその発見はあなたの成長に必ず繋がるはずです。だからこそチャレンジすること自体がとても大切なことなんです。
ただ、こう言われたとしても、そのチャレンジの中で悩んでいるのは事実ですよね。確かにあまりにも落ち込むことが多くて気が滅入ってしまえば、次のチャレンジをする気持ちすら湧いてこなくなってしまうかもしれません。
そこで感情のコントロールということですが、その点については少し違う視点からの対策をおすすめしたいです。
なぜなら感情を自在に操るということはほぼ不可能なものだからです。人はどうしても感情という気分に振り回されてしまいます。
ちなみに私は人の感情や気分を天気のようなものだと思っています。人に天気をコントロールすることはできません。大切な記念日に限って雨が降ることも、楽しみにしていたイベントの日に季節外れの雪が降ることもあります。
ですが、その後に、自分の意識と行動は選択することができると私は思っています。
雨の日にお気に入りの傘をさしてスキップ混じりで出かけることも、「雪が降ったからいい写真が撮れる」と喜んでいるような友達と一緒に出かけることも選ぶことはできますよね。
ですから天気のようにコントロールできずに振り回されてしまう感情や気分よりも、自分で選択することのできる意識と行動の方に目を向けてみてはいかがでしょうか。
ただ、あなたはもう既にそれができていたのかもしれませんね。
あなたは毎日頑張っていて、少し気分が落ち込んでいた後に、こうやって私に相談をするという行動をとってくれたんですよね。
素晴らしい行動と選択に感謝すると共に、この機会があなたにとってのこれからの成功と成長に繋がることを願います。
ご相談を、ありがとうございました。
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本連載では、人生先生へのご相談を随時受け付けております。
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