「エスパーの能力がどんなものになるかは、その人が持つ願望次第」
だとすると私がEカプセル(エスパーになれる薬)を飲んで得られる能力は「喧嘩後に自省すれば、喧嘩相手が危険な目に遭いにくい系エスパー」かもしれない。
小さい頃、私は何気ないことで兄と喧嘩をしていた。その喧嘩は登校時が多かったため、兄は決まって、私を置いて先に行ってしまうのだ……。1人になった私は苛立ちと悔しさを噛み締めながら歩くのだが、だんだんと「今、兄が事故や事件に巻き込まれたらどうしよう」と不安な気持ちになっていた。
激しい喧嘩の後は、つい勢いで「兄なんていなくなっちゃえ」と頭で考えてしまうこともあった……。
でもその数秒後には「嘘です、神様……そんなことは絶対にやめてください。」と願い「そんなひどいことを考えてごめんなさい」と反省するルーティンを繰り返していた。
私は喧嘩状態のままでいることが、とても苦手なのだ。
だから私は「喧嘩後に自省すれば喧嘩相手が危険な目に遭いにくい系エスパー」になる可能性が高そうなのである。
結果的に“人を危険から救える能力”ではあるので、私は満足だ。
では、この3話のラストでEカプセルを誤飲してしまった四季(宮崎あおい)のエスパー能力は何になるのか……。

彼女もまた「人を危険から救う系エスパー」かもしれない。
これまでの四季は何よりも文太(大泉洋)の無事を願っているように見える。
それは彼女が抱える“過去”に理由がある。
四季は大事な旦那さんを事故で失っている。しかし四季はそれを覚えていない。
彼女が度々見ている『文太が事故で倒れている夢』は過去に実際に経験した夫を亡くした事故の断片なのだろう。
でも四季は記憶がないため、倒れている夫は文太に置き換えられ、これから起きるかもしれない“悪夢”という形で変換されているのではないか。
つまり四季は「文太の安否」を何よりも願っているのだ。だからこそ四季は人を危険から救う系の能力、つまりは人の傷を癒す能力などの治癒・回復系のエスパーになる可能性が高いと予想する。
しかしここで最大の疑問が出てくる。
「人を救う系のエスパー能力は“ちょっとだけ”と言えるのか」問題だ。
この能力を目の当たりにした桜介(ディーン・フジオカ)や円寂(高畑淳子)は不満を漏らすだろう笑
ここまで「ちょっとだけ」という能力を前面に押し出して物語を進めていた本作に、ここにきてガチすぎる超能力者要素を入れてくるかは予想がつきにくい……。
もし四季の能力も、あくまでもちょっとだけなら「痛む箇所を触ると、相手の脳内に和やかなBGMを流せる系エスパー」と予想する。
ここまでも予想の斜め上を行き続けてくれている野木亜紀子氏の脚本……。
その全てが計算尽くされているのは流石の一言。
四季の能力も「そうきたか!」と唸ること間違いなしだ。
謎の大学生「市松」
今後の物語の鍵を握るのは彼かもしれない……。
今回のミッションは「爆発で人が死ぬのを止めろ」
ここにきてしっかりヒーロー的なミッションを任されたのだ。
そしてミッションを命じた張本人の兆(岡田将生)が言い放った。
「正体不明のファクター、未確認因子があるようだ」という言葉。
この未確認因子は謎の大学生「市松(北村匠海)」で間違いないだろう。
というのも、この未確認大学生が爆破事件を起こした可能性が高いからだ。

この市松は爆破事件が起きた神社を怪しげに徘徊していた。つまりは彼が神社内にガスを充満させた張本人なのだろう。
では彼は一体何者なのか?
私が予想する彼の正体は「天然系エスパー」だ。
文太ら「ちょっとだけエスパー軍団」がEカプセルを飲むことで作られた養殖系エスパーなら、市松は生まれながらの「天然系サラブレッドエスパー」ということ。
市松は兆のデータにない存在……。
生まれながらのエスパーだからこそ“未確認因子”と表現し、正体不明なファクターとして危険視したのではないかと予想する。
そうなると1話で桜介のエスパー能力を目の当たりにした市松が驚いていたのは「まさか超能力者が存在するだと!?」ではなく「僕以外にも超能力者が存在するだと!?」というリアクションだったのかもしれない。
もし本当に市松が生まれながらのエスパーだった場合、その能力はそれこそ“ちょっとだけ”に止まらないかもしれない……。いずれは、強大な敵「がっつりエスパー」市松を「ちょっとだけエスパー集団」が力を合わせて退治する王道ヒーロー漫画展開になっていくかもしれない。
どちらにせよ、この物語の行く末が気になって仕方がない私だ。
今現在の私がEカプセルを飲んだら「人を救う系エスパー」ではなく「この物語の行く末を観るまで死なない系エスパー」になるだろう。
それほどに、私はこの物語の終着点を見届けたいと願っているのだ。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
テレビ朝日『ちょっとだけエスパー』( 毎週火曜夜9時~)
出演:大泉洋、宮崎あおい、ディーンフジオカ、北村匠海、岡田将生 他
脚本:野木亜紀子
監督:村尾嘉昭、山内大典
エグゼクティブプロデュース:三輪祐見子
音楽:髙見優、信澤宣明
主題歌:こっちのけんと『わたくしごと』
著者:ペチ
イメージイラスト:サク
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