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クロスロード凡説

2025.08.22 公開 ポスト

確率辻皓平(ニッポンの社長)(お笑い芸人)

電車に乗る。高確率で乗り間違える。
この場合の高確率とは10%くらいか。
これはかなり高い。

 

スマホで乗り換えアプリを見たりしながらのこの確率はかなりの物だと思う。
こういうのが無い時代だったらと考えると吐きそう。何を吐きそうかは分からない。もはや自分ごと吐きそうだ。何の仕事も出来なそうだ。

 

もしかするとインターネットやスマホが自分を駄目にしたのかもしれない。もっと乗り換えや線を覚えたり出来たのかもしれない。

 

という考えはやめよう。

 

逆恨みすぎる。逆恨みにもなってない。
仇(あだ)で返してる。返しすぎてる。

 

大袈裟に言うとこういう奴が人を殺したりするのかもしれない。
いやほんとに。
こういう考えは良くない。

 

SNSですぐ人に嫌な事を言う奴と一緒で、何に対しても悪いところを見つけようとしてる。それも正義はなく、ストレス発散に他ならない。

 

自分の置かれてる環境を誰かのせいにするのは良くない。大袈裟に言うと彼らも人殺しだ。SNSにより実際に人が死んだりしてる。死んだら自分の投稿を消す、みたいな奴もいる。
死因となった凶器を捨ててるのと同じ。

 

となったらそいつらよりはマシか。僕の方が。
スマホアプリに素直に感謝出来ない僕の方がまだ戻れる。普通の人間に。人殺しから普通の人間に。

 

普通の人間になりたかったんだ。元々。
普通の人間になれなそうだったから変な道に進んだ。逆張りで。逆張りだ。ただの。人殺しというのは逆張りなんだ。だいたい。逆張りってのは恥ずかしい。

 

いやこんな事を書きたかったのではない。
迷子になってる。

 

これを考えてる今も地下鉄から降りて出口が分からずに駅直結の百貨店の食品売り場に入ってしまい、迷子になってる。実際に。
出口を探しながら迷子を誤魔化す為にちょっとお土産を選ぶ顔の演技とかしてる。

 

確率の話に戻そう。

 

電車に乗り間違える10%が高確率なら、野球でバッターがヒットを打つ、それの高確率は30%と言われている。今でこそ野球界では3割バッターって言葉があるくらいに常識だが、多分最初は違ったと思う。

 

最初ってのは本当に最初。おそらくその辺の石を木の棒で打ってみようってなった時。
この場合の高確率は5割以上だったかもしれない。
「3割しか打たれない」とピッチャーが喜んでたかもしれない。

 

守備もいなかっただろうから、もしかするとホームラン以外はバッターの負けだったかもしれない。
逆もある。バットに当たりさえしたらバッターの勝ちだったかもしれない。
それで何回もやってくうちに、あれ? これ3回に1回打てたらすごくない? って。

 

それで言うと乗り物、車はもちろん電車や新幹線、飛行機も死ぬ確率は少なからずある。これらは移動手段なのでやむを得ないが、楽しむ為だけの、ジェットコースターで死ぬ確率も0ではない。
これはかなり興味深い。

 

0.000いくつか分からないが、0ではない。
一番良く分からない行為かもしれない。楽しむ為に死ぬリスクを冒してる事になる。
これは物凄く変だけど、物凄く人間臭い事だと思う。一番大事なはずの自分の恋人、家族、子供と一緒に死ぬかもしれない乗り物に「楽しみたい」という理由で乗ってしまう。

 

宇宙人とかがもし攻めて来て、「あのなんかレールみたいなぐるぐるしてるやつは何だ」となり、ジェットコースターの説明をしたら笑い転げるかもしれない。
笑い転げてるうちに、その隙に反撃をして地球を守れるかもしれない。
それくらい笑うかもしれない。

 

もしくは、そこで初めて宇宙人が【笑う】という事を知り、笑う事って凄く楽しいしハッピーなんだってなって「もう戦うとか馬鹿らしくね?」みたいになって仲良くなってお互いの文明を色々と交換しようよみたいな平和な展開になるかもしれない。

 

そうなるとお互いが持ってる高度な文明も取り入れ、地球が持ってるその遊び心を知り、将来的には自由にお互いがお互いの星を行き来する事になる。

 

最初は宇宙船での移動だが、星から星に、新幹線のようなのを作ったらどうだ?その方がよりライトに行き来できるじゃん。
あ、そうだ……ジェットコースターを繋げてみようよ!俺たちの平和の象徴じゃん! みたいになって、ジェットコースターを作ろうとなったのは良いが、設計図を見て一同大爆笑。

 

「なんでここ1回転してるんだよ(笑)」

 

「移動手段で1回転おもろすぎる腹痛い(笑)」

 

「あかん(笑)とりあえず今日は無理や(笑)飲み行こ(笑)」

 

結論、

ジェットコースターは

 

地球を守れる。

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クロスロード凡説

「ネタにはしてこなかった。でも、なぜか心に引っかかっていた。」
そんな出来事を、リアルとフィクションの間で、書き起こす。

始まりはリアル、着地はフィクションの新感覚エッセイ。
“日常のひっかかり”から、縦横無尽にフィクションがクロスしていく。

「コント」や「漫才」では収まらない深掘りと、妄想・言い訳・勝手な解釈が加わった「凡」説は、二転三転の末、伝説のストーリーへ……!?

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辻皓平(ニッポンの社長) お笑い芸人

1986年、京都府生まれ。

お笑いコンビ「ニッポンの社長」として、コントと漫才の“二刀流”で独自の笑いを追求。
漫才&コント二刀流No.1決定戦「ダブルインパクト」初代王者。
コント日本一を決める「キングオブコント」では、2020年から5年連続で決勝進出を果たす。

本コラムでは、日常の出来事に自由な解釈や言い訳、妄想を重ねながら、舞台とはまた違った角度で物語を綴る。
コントと漫才、どちらのネタも手がける著者が、言葉を操る“三刀流”として、文章の世界に挑む。

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