
“恋は沼”……奇天烈家族の登場にも揺るがない、確固たる気持ち
“人生最大の恋”をあなたは経験したことがあるだろうか。
それはこれから経験することかもしれないし、すでにそう思える経験を超える恋が、まだまだ続く人生の中で訪れるかもしれない。
しかし、これまで生きた中でも「思い返せばあれは大恋愛だった……」と思えるような、自身の人生や恋愛観に深く影響を及ぼした恋を、それなりの年月を生きた人であれば誰しも一度は経験しているのではないだろうか。
そしてその時の自身の精神状態というのは、平常時とは比べものにならないくらいどうかしている。
冷静に、客観的に、事を進められるような恋愛はそもそも大恋愛とは言えないとさえ思う。
かくいう私も、10年前に“人生最大の恋”を経験した。
大好きなその子の気を引くためには手段を選ばなかった。
クリスマスには全身にLEDライトを巻きつけ、“人間クリスマスツリー”になって待ち合わせ。彼女は腹を抱えて笑ってくれた。今思えばどうかしているが、正面突破では叶いそうにないその恋を叶えるために必死だった。
平常心では絶対に送らない……いや送れない、恥ずかしいポエムの数々もLINEで送信した記憶がある。
もはやドラマの中の主人公にでもなったかのような浸りっぷりで、恋が叶わない日々は「まだ3話の段階だから……」なんて自分に言い聞かせて、その怪奇行動の数々さえも、最終話で花開くためのフリだと思い浸っていた。(恋愛に不器用な男に彼女ができる系の架空ドラマ)
結果、最終話でもその恋は叶わないという恋愛ドラマ史に残る糞脚本だったが、確実に私の人生を良くも悪くも揺るがし、“今”を生きる状況を生み出した“人生最大の恋”だったと言える。
そんな人生最大の恋に浸っていた過去の自分を見ているのかと思うほど、「恋は闇」第6話での筒井万琴(岸井ゆきの)は恋に浸って……いや溺れていた。
「出会わなければよかったね」なんて、ドラマの中の台詞であっても少しむず痒くなるような言葉を吐いてしまうくらい、万琴は設楽浩暉(志尊淳)に溺れている。
しかし、今の万琴があまりにも“浩暉全肯定モード”すぎるので、ここまでの言葉が出てきてしまうのも無理はないだろう。
いきなり襲いかかってきた怪しい男(萩原聖人)に対して、彼氏(浩暉)が「今の多分俺の親父」なんて紹介しても揺るがないその気持ち。普通なら100年の恋も覚める。あと多分ってなんだ。違う可能性が少しでもあるのなら(ない)、万琴を思ってその可能性に賭けたい。
そして恐らく浩暉の妹であろう“みくる”(齋藤飛鳥)もなかなか癖の強いキャラクターだ。
兄のことをヒロ君と呼び、動揺する万琴に対して“彼女疑惑を払拭しない”みくる。
一言関係性を言ってあげれば……とは思いつつも、すぐさまその関係性を説明しなかった浩暉の様子からも、複雑な事情を抱えているのだろうけど。
仕舞いには万琴の職場にまで単身乗り込んできて「ヒロ君とはこれ以上関わらないって約束してください」と吐き捨てるみくる。なんて妹だ。
万琴よ、悪いことは言わないから設楽家とは関わらない方がいい。この父と妹だ。彼らの奇怪な行動と言動には深刻な理由があるにせよ、苦労するのは目に見えている。近くに“超優良物件=正聖(白清)”がいるだろうに。
しかしそんな超優良物件からの告白も秒で断る始末。
あれほどまでに秒で振られる当て馬がかつていたのだろうか。
いや、やはりここまできても当て馬にすらなれていなかったように見える。白洲迅氏の顔面を持ち合わせている正聖を持ってしても揺るがない、奇怪家族を率いる浩暉への気持ち。万琴の愛は本物だ。
鑑識のニョロこと松岡(浜野謙太)が言っていた。
「血縁って思っている以上に濃いよね。産み落とされた瞬間に切り離された生命体として尊重されるべき。」という言葉にもあるように、どんな家族がいようと、万琴は浩暉のことを切り離された生命体として尊重し、愛しているのではないか。
普通なら距離を置きたくなるような事象や奇怪家族にも揺るがないその気持ち。これはとても尊く、万琴の人を見る目というのは冴え渡っているとさえ思う。
先程まで万琴の気持ちを盲目だの溺れているだの揶揄していた私とは別人格すぎるのでは?と思った方もいるだろう。
もちろん万琴が浩暉に溺れているのも事実ではあるが、浩暉の人間性が芯まで見えているからこそ、家族が、事件が、どうであれ揺るがずここまで溺れているのだと思う。
絶対に浩暉が人を殺めていないと信じられる人間性が見えているからこそ、その人間性に惚れ、溺れている万琴。(勿論その綺麗すぎる浩暉のお顔にも)
私はこの万琴の“人生最大の恋”を応援したいと思った。
まさかの人物が離脱!!! 考察は振り出しへ……
前回“考察のノウハウを伝授!”なんて息巻いたのにも関わらず、「いや考察しないのかよ!」とお思いの方もいるだろう。大変申し訳ない。
私たちの考察の真価が発揮されるのはやはり動画なので、そちらを見て真犯人考察を存分に楽しんでいただきたい。
しかし触れずにはいられないだろう……大和田(猫背椿)がやられたのだ。衝撃すぎる。
今回で誰かが殺されることは事前にアナウンスされていて、第6話の流れからも木下(小林虎之介)なのでは?というフラグが立ちまくりであった。
そして大和田は私たち6969bが真犯人候補として目星をつけていただけに、この離脱はショックが大きい。
初期の考察では向葵(森田望智)しかいないのでは?と言っていたが、またそのフェーズに戻ってしまった。
現在のところ、“ホルスの目殺人事件”の実行犯は人の懐に取り入ることに長けている配達員の夏八木(望月歩)で、その上にはこの連続殺人を計画している“真犯人”がいると考察している。
なぜなら夏八木には事件に結びつきそうな動機がないため、あくまでお金のための実行犯にとどまるのではないかという考察だ。
そしてその真犯人候補は、過去に襲われた点が動機に結びつきそうな向葵しかいないのだ。
過去に向葵が襲われた事件の弁護士を勤めたのが浩暉の母親である久美子(紺野まひる)で、その一見が拗れて過去の事件から今の事件まで発展した……というのが割と初期からのおおまかな考察である。
そもそもこの一連の事件には浩暉をはじめとする設楽一家が絡んでいる。さらには浩暉が事件現場の血液を集めているという情報も出ている。
この“血液集め”という今のところ悪趣味としか思えないピースが、一連の事件との関連を難しくしている。
“愛した彼は本当に殺人犯なのか?”というキャッチコピーが、このドラマでは頻繁に使用されるが、そういった場合彼が殺人犯である可能性は限りなく低いというのが定説である。
しかしここまで来ると、その裏をかいてくる可能性も出てきたのではないか。
どう考えても真犯人との繋がりがないと事件現場に向かい血を採取できないので、そのまま浩暉が実行犯で血も採取しているというのがシンプルだが辻褄があう。
ここまで煽っておいて、もし浩暉が真犯人であれば前代未聞だ。むしろ新しささえ感じる。
だがそうなると、先程の恋愛ブロックで述べた“万琴は浩暉の人間性が見えている”という点との矛盾が生まれる。さすがに「殺人犯であっても浩暉が好き!」は応援できない。すまない、万琴。
浩暉が“真犯人かつ実行犯”であるという可能性も頭に入れつつも、やはり定説に習うとその可能性は低いため、今後より出てくるであろう真犯人に繋がるであろうどんな小さなピースも見逃さず当てはめていきたい。
あっ、浩暉と万琴が肌を寄せ合った場面……“ご馳走様でした”。
著者:ケメ・ロジェ
ドラマイラスト:サク
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3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
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物語を深堀りして、噛むようにじっくり味わっていきます。
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