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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

2024.10.17 公開 ポスト

【十月】満たされる幸せ その2

「風流な人」ほど、神様と交流できる!秋は「虫聞き」を楽しもう。桃虚(神職/ライター)

秋と言えば「虫の声」。「風流」と「神様」の関係について、現役の神職・桃虚が語ります。
※こちらは、連載時の記事です。

*   *   *​​​​​​

「日々のすべてのものに神仏のメッセージが組み込まれている」ことに、空海は気づいていた

平安時代、遣唐使船に乗って唐へ渡り、恵果(けいか)という偉い僧から「密教」のすべてを受け継いで帰国した空海は、『声字実相義』という、漢文で書いた著作で、声と字についてくわしく教えてくれています。

 

松長有慶著「訳注『声字実相義』」によると、このなかで空海は、「われわれが普段の生活の中で特別な意識を持たずに接している物や声、香りや味、触感、考える対象等あらゆるものの中に、神仏のメッセージが密かに組み込まれている」ということを示している、と言います。

この世のすべてのものは大日如来が姿を変えたもの、という密教的な解釈をするならば、鈴虫の声も、大日如来が発する「ことば」ということになります。それに耳をかたむければ、真理の世界に近づける。空海は、いままで特に気にしていなかったものに対して意識を向けることによって、今生(こんじょう)のうちに仏になれると教えています。

中国から仏教が入ってくる以前から、日本人は自然界のあらゆるものを「神様」として、畏怖の念をもって親しく交流してきましたから、それらが発する音に何かしらの言葉を感じていたとしても、不自然ではありません。虫の声にも。川のせせらぎにも。

ただ、そういったことは、ごく自然に、ふつうにおこなわれてきたので、空海がバシッと言語化してくれたことによって、「あ。そういうことだったのか!」と理解された、ということもあるかもしれません。

 

日本人が虫の声を「いいなあ」と感じて聞くのは、そこに秘められた神仏の言葉を受け取っているから、だとすると、言語と同じ左脳で処理しているのも、さもありなん、と思いますよね。

秋の夜長に、音の出るものを止めて、虫の声に耳を澄ませ、「良きかな」と楽しめる人は、古代人のように自然に神様と交流している人。ということは、「風流な人」というのは、神様といつもあそんでいる人なのかもしれませんね。

開運の基礎である「ていねいに暮らす」、とは、なんとなく「家事をていねいにやる」とか「朝ごはんをちゃんと食べる」というような、自分のおこないにフォーカスしがちですが、それらは、まず身のまわりの音、匂い、形などをていねいに感じるところから始まります。ていねいに感じれば、ていねいに暮らすようになるし、そうするとさらに五感の感度があがる、というサイクルになっている気がするのです。

虫の声のように、いままで特に意識していなかった音に意識を向ける。音を神様からのメッセージだと思って受け止める。その発想の転換が、開運につながると思う、秋の夜長です。

関連書籍

桃虚『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする…など、毎月を、楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に! 四季を「見る」「聴く」「匂う」「触る」「味わう」……。 「五感」を磨けば、1年間幸運がめぐり、運だけでなく、体も、脳も、生活も、みるみる華やぎます! ポイントは、小さな変化を敏感に感じとり、そして”楽しむ”こと。 四季の豊かな日本には、古来から、その楽しみ方のノウハウがたくさん伝わってきています。 本書は、八百万の神々のもとで毎日おつとめしている”神主さん”が、ときどき古典も紐解きながら、12か月の「開運行動」をまとめた、幸せの手引書です。 変化していく日々の中にも、「古事記」「古今和歌集」「枕草子」「源氏物語」といった古典の中にも、“運気”のヒントがいっぱい隠されているのです。 【目次】 1月 げんをかつぐ 2月 陽を朗らかに迎える 3月 浄化して清まる 4月 未来をお祝いする 5月 植物の香りでととのう 6月 五感と空間を磨く 7月 怨霊もおもてなしする 8月 納涼と手書きにいそしむ 9月 月にあやかる 10月 実りを言祝ぐ 11月 陰をあたたかく迎える 12月 丁寧に準備する 【著者のことば】 私は、現役の神職として、毎日神社でおつとめしていますが、おまいりされる方々のなかに、あきらかに「運気がいい人」をお見かけすることがあります。 彼らには共通する点があります。 どんなに忙しくても、季節の変化を見つけて、楽しんでいる――“雅(みやび)”な心の持ち主だということです。 私は、「ああ、この人は“神様と暮らしている”から、運気がいいのだな」と、合点がいくのです。 というのも、日本では、季節のなかに、自然のなかに、八百万(やおよろず)の神々がいるからです。 ここでちょっと、『枕草子』『古今和歌集』などの古典を紐解いてみましょう。すると、当時の人たちは、私たちよりもずっと「神様と仲良く暮らす方法」を知っていたことがわかります。 そして、「遊び心」を忘れていなかったことも。 神様たちを喜ばせるセンスのことを、「宮び=雅」と呼ぶのです! 雅に生活するために、さっそく何をしたらいいでしょうか? それは、季節に「五感」を開いて、最大に味わい、生活に取り込むこと。 そんなにシンプルで簡単なこと!?と思うかもしれません。しかし、いざ実践してみれば、今まで気づかなかった幸運や吉兆に気づくことができます。そして体が、脳が、華やぎはじめます。 それは、季節を味わい、楽しむことで、神様と一緒に暮らすようになり、その神様から、良い運気をもらえるようになるからです。 それだけではありません。 「神様と暮らす」ということは、実は「生活の知恵」であり、「洗練された教養」です。 五感を開いて、季節を感じる――。 これこそが、一番簡単で、一番効果の高い、 「幸運な日々を手に入れる方法」であることを、ぜひ知ってください。

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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!

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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。

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桃虚 神職/ライター

1970年インド(ムンバイ)生まれ、東京育ち。 ライター業を経て、大阪府枚方市の片埜神社にて神職歴20年。 「神社新報」で連載など。筆名の「虚(とうきょ)」の、「桃」は無邪気の象徴、「虚」は素直な心を表す

最新刊に『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』。

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