夫、義母を見送り67歳で一人暮らしが始まったイラストレーターの本田葉子さん。さみしい。心細い。と思いながらも、楽しみな気持ちがいちばん大きかったといいます。いつもの朝ご飯と欠かさない晩酌。なんでもないけど好きな服。暮らしをサイズダウンしながらも心が明るくなる工夫が満載の『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』より、一人暮らしの引っ越し先についてお届けします。
二度目の引っ越しで少ない部屋数、家賃は三分の一に
「また引っ越しをしようと思うのよ」
と友人に言ったのは二〇二二年の年末だった。
申し込んでおいた公営の集合住宅に入居オッケーがトントンと決まり、翌年の三月にはスピード転居となった。
「決めたらやること早いね〜」
と友人は笑っていたけれど、引っ越しをしようと決めたのはもっとずっと前のことだ。でもそれはうっすらと。クリアに本気で意識したのは愛犬スーが死んだ時だった。
心臓も悪かったし腹水抜きに通院していたからなんとなくの覚悟はしていたけれど、やっぱりね、目の前で息引き取られると切ないものである。家の中に何も動くものの気配がしなくなったら急に、一人になったのだなと強く実感した。
小田原の家で義母とスー、どちらも安泰のうちに見送ることができたのだから、これからは自分一人で持続できる暮らしを探っていこう! と決めた。アパートの住居は今までよりコンパクトになった部屋だ。動きやすく日当たりのいいベランダも好ましい。そして家賃は三分の一に!
生活と経済の縮小はこれでかなった気がした。これからはいかに住み心地よく整えるかが課題。
大幅に変化した水回りに戸惑いつつもガスコンロや湯沸かし器を買い揃えたり、カーテンを工夫したり。半畳ほどの玄関にはジョイントカーペットを敷き詰めた。
楽に引っ越すことができたのはひたすらに家族と友人らのおかげだ。
六年の間に小田原ラブになってしまい、離れることができずに隣町に移り住んだよ。引き続き借りている家庭菜園までは自転車で四十分。脚力つけるためにもしばらくは通う予定。
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続きは、本田葉子『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』をご覧ください。
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