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神になりたかった男 回想の父・大川隆法

2023.09.01 公開 ポスト

「幸福の科学」総裁・大川隆法…長男が語るその素顔、教団内のシステムとは?宏洋

今年3月2日、66歳で逝去した新興宗教団体「幸福の科学創始者大川隆法氏。その長男であり、また、次期総裁候補として育てられながら今は教団と袂をわかっている宏洋(ひろし)氏による手記神になりたかった男 回想の父・大川隆法を、弊社より9月28日に発売いたします。大川隆法氏の素顔教団内部のシステム、新興宗教とは何だったのか。あますことなく綴られた本書の「プロローグ」および「目次」をお届けします。(書籍ご購入はこちら

*   *   *

プロローグ 恋する大川隆法

隆法が失恋をしたのは、彼が大学3年生の夏のことだった。

そのとき隆法は東京大学の法学部に通う学生で、どうやら好きになった相手も東大生だったらしい。後に隆法は彼女のことを「都会育ちの才気煥発な女性」と書いているから、たぶん、あか抜けた方だったんだろう。

そういう女性が当時の隆法の目にまぶしく映ったことは間違いない。なぜなら隆法は上京したばかりの田舎者で、しかも自分が田舎者であることに強い劣等感を持つ田舎者だったからだ。

若き大川隆法(本名・中川隆)は18歳の春、東大を受験するために生まれ故郷の四国から上京する。新興宗教「幸福の科学」を立ち上げる10年以上も前の話だ。

だが、隆法は1回目の東大受験には失敗してしまう。その後の隆法はこの事実を隠すようになったので知らない方も多そうだが、隆法が東大に受かるのは1浪してからのことだ。

秀才だったらしい隆法が東大に落ちた原因のひとつは、ひとりぼっちで勉強していたことかもしれない。隆法は、現役のときは予備校には一切行かず、孤独に勉強していたと言っていた。

僕にはその理由がよくわかる。プライドが高い隆法は、人に頭を下げて教えを乞うことができなかったのだろう。

だけど、実は隆法はあまり要領が良いタイプではない。勉強をするときは、教科書を隅から隅まで頭に叩き込むと言っていた。そんな隆法が浪人したのは無理もないと思う。

予備校に通った浪人時代を経て、翌春、隆法はめでたく東大に合格する。

しかし、大変だったのはその後だ。

根暗な田舎者

東大法学部といえば、全国から超・優秀な学生たちが集まるところだ。麻布や開成といった東京のエリート高校出身者たちも多い。そんなところに田舎のガリ勉が入っていったらどうなるだろうか?

しかも、隆法は田舎者であるだけではなく、内気で暗い性格だった。人間嫌いといってもいい。

隆法は愚痴っぽく、いつもネガティブな話ばかりしていた。それは幸福の科学の「総裁先生」になった後も変わらない。

彼は口を開くと、だいたいは他人の悪口を言うか、上手くいかなかったことに文句を言うかだった。隆法には過去の失敗を忘れない才能(?)があったようで、たとえば僕は彼から、サラリーマンとして過ごした数年間がいかに辛かったか、会社がどんなにひどい場所だったのかという話を繰り返し、繰り返し聞かされた。

友達がいなかったのも、他人のネガティブな面ばかりが目に付くせいかもしれない。たとえば目の前で話している女性から変な臭(にお)いがしたら「ちょっと臭(くさ)いですねえ」と何も考えないで言ってしまうのが隆法だ。

彼は、他人の気持ちを想像することができなかった。

そして人の話をまったく聞かず、ひたすらに自分の話ばかりをしまくる。何時間も休まずにしゃべり続けることができるのは、隆法の特殊能力のひとつだと思う。

そのくせ隆法は、自分が傷つくことには人一倍、敏感だ。だから幸福の科学で隆法を取り巻く多くの秘書たちは、いかにして隆法を傷つけずに事を進めるかに腐心していた。

たとえば、昔は講演会のたびに信者さんたちから集めた感想を隆法に届けていたけれど、そのうち批判的な感想は秘書たちのところで止め、隆法には見せないようになった。隆法がそういう意見を目にすると、落ち込んだり不機嫌になったりするからだ。

そんな付き合いにくい性格の隆法だが、さらにまずいことに特に美男子ではなく、身長は高くない(163センチ)。しかも、若いころはとても太っていた。

つまり、「非モテ」が服を着て歩いているような若者が東大生・大川隆法だったわけだ。東京の大学生活を楽しめなかったのも無理はない。

けれど、そんな隆法でも恋をすることはある。

大川隆法の失恋

隆法が惚れてしまった彼女は、東京のエリートだったらしい。家柄も非常に良いらしく、彼女のお父さんやお兄さんも判事だか弁護士だかだったと言っていた。隆法からしたら雲の上の存在だったはずだ。

そんな彼女に惚れてしまった隆法はどうしたか?

……手紙を送りまくった。

本人いわく、半年間、ひたすら手紙を送り続けたという。しかも、便せんではなく小包で! これはもう、ラブレターではなく脅迫状というべきではないだろうか。

もっとも、田舎出身の不器用な青年にできるのはそのくらいだったのかもしれない。

実に隆法らしいアプローチだと僕は思うけれど、もちろんそんな恋が実るはずはない。手紙を送りはじめてから半年後、ようやく隆法のもとに届いた彼女からの返信は便せん1枚だけの短いものだった。内容はもちろん、お断りだっただろう。

若い女性が苦手だった隆法は結局、彼女と一言しか話せなかったという。彼の恋はこうして終わった。

隆法は深く落ち込んだ。

彼は後の著書『太陽の法』(土屋書店)の初版でこのエピソードに触れているし、僕が隆法役を演じた彼の自伝的映画『さらば青春、されど青春。』にも例の彼女は登場する。そして僕にも、繰り返しこの話をした。

還暦の男が、何度も何度も、さまざまな形で学生時代の失恋を反芻(はんすう)する。隆法がどれほど傷ついたかがよくわかるだろう。

宗教への目覚め

恋に破れた隆法は、勉強に専念することで失恋を忘れようとしたらしい。本人の言葉を借りると「失意の中でも、私は、亀のごとく、本だけは読み続けておりました。頭が鈍るという理由から、夕食の量を減らしてまで、法律と政治学の勉強をしました」(『太陽の法』初版)。

しかし隆法は、留年までしたにもかかわらず狙っていた司法試験に落ち、さらには上級国家公務員試験にも落ちてしまう。隆法は東大に助手として残ろうとしたが、成績が悪かったためそれにも失敗する。

どん底の隆法は、なんとか総合商社である(株)トーメンに就職してサラリーマンになった。だが、三菱商事でも伊藤忠でもないトーメンが東大法学部卒の就職先としてはパッとしなかったことは言うまでもない。

隆法は、恋焦がれた彼女を手に入れられず、判事や官僚、学者になる夢も絶たれ、超一流企業への就職にも失敗した。四国から立身出世を夢見て上京してきたにもかかわらず、望んだものをすべて失ったということだ。隆法は四国の山の中で勉強していた少年時代を思い、ひとり涙したという。

隆法が宗教に目覚めたのはそのころだ。

「霊言」が下りてきた

東大の卒業を控えたこのころから、隆法は宗教法人GLAの創始者である高橋信次(1927~1976)の本を読みはじめ、かなりの影響を受けたらしい。

そして間もなく、「霊言」を聞くようになる。

『太陽の法』初版の隆法によると、彼にはじめて霊言が下りてきたのは1981年3月23日のことだ(ただしこの日付は怪しい。隆法はこの日が日曜日だったと『太陽の法』に書いているが、実際は月曜日だからだ)。日蓮の弟子である日興上人が、隆法の手を借りてカードに「イイシラセ、イイシラセ」と書かせた、と隆法は書いている。

隆法の書いたことを信じる必要はまったくないけれど、彼がサラリーマン時代に宗教活動をはじめたのは事実ではある。

1985年、彼は会社勤めの傍ら父親、つまり僕の祖父を著者に立てて『日蓮聖人の霊言』を潮文社から出す。「霊言シリーズ」のはじまりだ(なお、後ほど書くように僕の祖父と伯父〈隆法の兄〉が隆法に与えた影響は大きいのだが、隆法はそれを隠したフシがある)。
隆法は翌1986年には(株)トーメンを退社し、「幸福の科学」を設立する。

この、幸福の科学設立の経緯は世に知られている事実だ。

しかし、隆法が会社を辞めるまでの間に、第2の失恋を経験したことを知っている人はどれほどいるだろうか?

失恋再び

おそらく『日蓮聖人の霊言』を出した前後だと思うけれど、当時(株)トーメンの名古屋支社に勤めていた隆法に、また好きな人ができたらしい。相手は会社の秘書だったと言っていた記憶がある。

前回の反省を活かしたのかどうか知らないが、なんと隆法は彼女をデートに誘うことに成功する(日蓮からいいアドバイスがあったのかもしれない)。昭和らしく、自動車でのデートだったと聞いた。

しかし隆法はデートで失敗してしまう。本人は「車のカギをなくしてしまった」とか言っていたが、ともかく失態があったらしい。彼女との顛末について隆法はゴニョゴニョ言っていたけれど、もちろんフラれたんだろう。

この話も、僕は彼から何度も聞かされた。例によって深く傷ついた隆法はその後免許を更新しなかったので、失効したはずだ。車は嫌いだ、と彼は言っていた。

隆法の気持ちは痛いほどわかる。

勇気を振り絞って声をかけ、初デート(人生初のデートだったんじゃなかろうか)に漕ぎつけたのに、緊張のあまり大失敗。しばらく立ち直れなくなっても無理はないし、その原因になった自動車を憎むのももっともだ。

僕は、この2回目の失恋は幸福の科学にとっても大きな意味を持っていたと思っている。隆法が会社を辞めるきっかけになったと睨(にら)んでいるからだ。

先にも書いたように、隆法は会社勤めが嫌で嫌でしょうがなかった。

そりゃそうだ。彼は人付き合いが苦手で、酒は1滴も飲めず、ゴルフも麻雀もできなかった。そんな人間が昭和の商社に放り込まれたら辛いに決まっている。

それでも隆法が会社を辞めなかったのは、会社にこの彼女がいたことも理由じゃないだろうか? 大嫌いな会社でも、そこに好きな子がいれば出社するモチベーションは維持できる。

ところが、見事に失恋。僕はこの失恋によって、隆法が会社にいる最後の理由が消えたんだろうと思っている。

そして彼は会社を辞め、幸福の科学を作る。宗教家・大川隆法の誕生だ。

「失恋」が隆法を作った?

こうやって改めて振り返ると、2度の失恋が隆法の人生に大きな影を落としたことがよくわかる。

都会育ちのエリートだったという東大の彼女は、田舎から上京した隆法にとっての「東京」を象徴する存在だったのかもしれない。そんな彼女への失恋は、単なる失恋以上のものだったんだろう。

苦学してなんとか入った東大で、司法試験の失敗なども含め、隆法は憬(あこが)れ続けた「東京」に失恋してズタボロにされてしまう。隆法がそのタイミングで霊言を聞きはじめた(と本人が書いている)のは偶然だろうか?

傷ついた隆法は転がり込んだ商社にいやいや勤めつつ宗教活動をはじめるが、また失恋。そして会社に見切りをつけ、幸福の科学を設立。僕はここでも失恋がきっかけを作った可能性があると考えている。

隆法は、この2人の女性のことが心から好きだったんだろうと思う。そうでなければ、いくら息子とはいえ、僕にあんなに失恋の話をした説明がつかない。失恋の話は、本当によく聞かされた。

彼に同情したくはないけれど、正直に言って、隆法の気持ちはよくわかる。念願の初デートで、見つからない車のカギを捜してオロオロする隆法の姿が、目に見えるようだ。

そして僕は、これらの失恋が大川隆法という人間をよく表しているとも思う。

自己愛が強くて傲慢だけど、人と付き合う方法を知らず、劣等感に満ちていて傷つきやすい。そんな人間が恋愛で上手くやれるわけがないし、しかも失恋すれば、どん底に突き落とされるのもわかる。

隆法みたいな人間は、どこにでもいる。あるいは、誰の中にも小さな「大川隆法」がいるといってもいい。自己愛や劣等感と無縁な人間なんているだろうか?

隆法も、本当ならそんな平凡な人間のひとりに過ぎなかったはずだ。

だけど、時代とさまざまな偶然が、彼を怪物にしてしまった。

*   *   *

神になりたかった男 回想の父・大川隆法』目次(抜粋)

プロローグ 恋する大川隆法

根暗な田舎者/大川隆法の失恋/宗教への目覚め/「霊言」が下りてきた/失恋再び/「失恋」が隆法を作った?

第1章 ひとりぼっちの少年

共産党と宗教と/兄への劣等感/2つの『太陽の法』/華やかな高校生活?/東大受験の失敗/東大での挫折/東大になじめなかった天才学生?/GLAを通して宗教に目覚める/財務部にいた大川隆法/会社でもひとりぼっち/「霊言」のはじまり

第2章 砂上の楼閣

「隆法」の誕生/非モテからの脱却/最初の妻との出会い/拡大する幸福の科学/TVの対談で惨敗/転機になったオウム事件/砂上の楼閣/頂点/ほころび/点数だけが頼りだった/隆法を飾り立てるもの/吠えない動物たち

第3章 第3の失恋

カンシャク持ちの恭子さん/暗雲/隆法、倒れる/隆法のゼロ年代/ワンマンの悪化/裸の王様/「キミが何を考えているのか、もうわからない」/ハリネズミたち/3度目の失恋/つまずき/失恋の科学/政治への進出/狼狽/選挙での大敗/サラリーマン生活から再び教団へ/別離/「神」を継ぐものたち/2代目大川隆法・咲也加/隆法の寵愛/心優しいゲーマー・真輝/隆法の秘蔵っ子・裕太/影が薄い愛理沙/緩やかな死へ/現実からの逃避/長女との争い/最期

第4章 幸福の科学はなぜ成功したか?

幸福の科学の教えとは?/「考えること」からの解放/宗教じゃなくて「オンラインサロン」/初期の会員像は?/なぜ宗教法人化したか?/幸福の科学の金集め(1) 祈願/幸福の科学の金集め(2) 研修/幸福の科学の金集め(3) 植福/「信者買い」が見込める本/惰性でやっている信者/承認欲求を満たす主婦たち/ビジネスに利用する経営者たち/金を出すほど優遇される/隆法の教えの「面白さ」/宇宙の次元構造/設定マニアの宇宙神/過去世は誰?/地域拠点となる支部/職員の出世コース

第5章 幸福の科学はなぜ失敗したか?

デジタル音痴の隆法/隆法=幸福の科学/身内にも嫉妬する/夢追い人・隆法/マネージャーがいない幸福の科学/隆法は人を信じられない/自分の限界を見極められなかった/時代の中でバズった幸福の科学/信者たちの未来/神になれなかった男

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宏洋『神になりたかった男 回想の父・大川隆法』

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宏洋

1989年、秋田県生まれ、東京都練馬区出身。元・幸福の科学総裁、大川隆法の長男。YouTuber、イベントバー経営者。青山学院大学法学部卒業。東京都赤坂でイベントバー「三代目」を経営する傍ら、映画監督、脚本家、俳優としても活動している。著書に、『幸福の科学との訣別 私の父は大川隆法だった』(2020年、文藝春秋BOOKS)等がある。Twitter https://twitter.com/hiroshi2ndsub YouTube https://www.youtube.com/@user-qi2cj8nu7y

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