1. Home
  2. 生き方
  3. コグマ部長の営業日誌、これも仕事ですから
  4. 飲み会、出張、イベント…。守れない約束だ...

コグマ部長の営業日誌、これも仕事ですから

2023.08.26 公開 ツイート

飲み会、出張、イベント…。守れない約束だけがどんどん増えて季節が過ぎていく コグマ部長

例年以上(毎年言ってる)の暑さと異常気象に見舞われた日本列島。私の日々はと言うと、嬉しいこと、苦しいことがジェットコースターのように起きている。そして季節は少しずつ確実に変わっていく。下を向いているほど暇じゃない、今日もジタバタしてやる!

某月某日

 

池袋の書店で、ロザン菅広文さんの『京大中年』のサイン会。相方の宇治原史規さんも来てくださり、なんと2人そろってのサイン会という豪華なイベントに。菅さんのファンは老若男女さまざま。菅さんは緊張して列に並ぶお客さんを優しくいじり、一瞬で会場を笑いに包む。そして、宇治原さんの鉄板ネタ、客「私、〇〇大学です」、宇治原さん「まあまあやな」を目の前で見ることができた。こんなイベントもコロナ禍の時はまったくできなかった。担当編集者のSも「いったいあのコロナって何だったんでしょうね~。なんか急に過去になった感じですよね~」なんて話していた。

大盛況のまま終わり、Sやスタッフと食事して帰ろうかと思ったが、残念ながらSは仕事があるので、帰社することに。それにしてもようやく「日常」が帰ってきたことを実感。

某月某日

東京・八重洲口へ。天祢涼さんの『謎解き広報課』が有志の書店員さんが選ぶ「酒飲み書店員大賞」を受賞し、その授賞式という名の飲み会に天祢涼さん、編集者Kとともに参加。受賞が決まった3月から新帯で展開していたが、ずっと動きがいい。5年前の刊行だが、この賞のおかげで再び売れている。授賞式(という名の飲み会=しつこい)に集まったのは「酒飲み書店員」の皆さんと、天祢さんの著作を出している出版社の人たち。飲みながら今後全員で「チーム天祢」として結束することを誓いあう。この日、書店員さんたちは自分の店の仕事が終わってから遠方からも駆けつけてくれていた。皆、情熱を持って本を売ろうとしてくれている。解散後、八重洲の雑踏を歩きながら、自分は本当に努力しているのだろうか、と思わずにはいられなかった。

某月某日

世間は休みだが、朝一番からイベントで高田馬場の書店へ。西野亮廣さんの『夢と金』のサイン会だ。担当編集者は菅さんと同じSで、この日はどうしても都合が付かずに欠席。とはいえ、サイン会のデスク回りの設えや、細かな段取りなどは担当者でないとわからない部分もあるので、電話で確認しながら指示を受ける。

西野さんのイベントは本当に多くのファンが集まるが、西野さんが調整しながら進めるので進行の心配はまったくしなくて済む。ファンが「どんな起業をすればいいでしょうか?」的なざっくりしすぎた質問にも、笑いもまじえてきちんと回答したりして毎度ながら満足度の高いイベントとなる。時間通りに終わって、西野さんは風のように次のイベントへ向かって行った。終了後、私は来生たかおさんのコンサートへ。「セーラー服と機関銃」の競作曲「夢の途中」など昭和の名曲を堪能。

某月某日

東京都下、東村山の書店へ。東村山という地名は子供の時から知っていたが、足を踏み入れるのは初めて。思わず駅前で何丁目かを確認する。取次の日販が企画してくれた『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』(尾形真理子さん)のディスプレイコンクールで大賞を獲った丸山書房さんを訪問。『試着室で思い出したら~』は幻冬舎文庫が誇るロングセラー。『謎解き広報課』 同様、こういう既刊が売れていると本当にありがたい。そして、こちらの書店さんでも担当の方が熱心に売ってくれていた。一軒一軒、どこの店でも幻冬舎の商品をあの手この手で工夫して売ってくれている人がいる。この人たちの頑張りに応えるような働きを自分もしないといけない。

東村山の老舗・丸山書房様。地域の大切な書店さん

会社に戻って新刊のPOSをチェック。ところが初速が悪く、夕刻書店パトロール(今日は4軒)に出動。繁華街には人も出ている。書店のレジもそれなりに混んでいるように思える。売れていないのは市況が悪い? スマホに取られた? いや、そんなんじゃなくて俺たちが売れるコンテンツを出せてないだけじゃないのか?

某月某日

四国へ出張。法人本部で今期の施策を説明する。どの書店さんも相当厳しい経営を強いられているのが痛いほど伝わる。そんな中、ある書店さんから商談中に「最近、幻冬舎さんってヒットないですよね」と言われる。むろん悪気などなく、ヒットを期待されている版元として言われたのだとは思う。思うが……。何があってもヒットを作り出す、ベストセラーにして、書店さんに喜んでもらおうと心に決める。翌日、徳島空港から次の商談の地、福岡へ。1時間足らずの機内で資料整理をしていても、昨夜の言葉がリフレインされて頭から離れなかった。

徳島の郵便ポストは阿波踊り仕様。
徳島から福岡へ飛ぶJALは、エンブラエル社の170。ブラジルの会社の名機。
福岡出身の編集者Mがお勧めする明太子がコレ。粒感が最高です。福岡空港でお買い求めください。

某月某日

東京・杉並の「大学生協会館」へ。大学生協が出している広報誌の企画で、幻冬舎の専務の石原に「大学生たちと座談会をしてもらいたい」というオファーが入り、そのお供として私も行くことに。会場に着くと比喩ではなく目をキラキラさせた大学生たちがいた。石原が作ったベストセラーの一つ、『新 13歳のハローワーク』(村上龍さん)がメインテーマだったが、話題はあちこちに飛び盛り上がる。石原もサービス精神が旺盛で、しかも記憶力が凄まじいので、私も初耳のエピソードがいくつも飛び出す。(石原に興味がある人はいろいろググってみてください。)

終了後、二人で荻窪に移動して石原の行きつけの居酒屋へ。思い返すと石原と二人で飲むのは初めて。最近思っていることを腹蔵なく全部話す。不満も愚痴も全部だ。石原は全部聞いて、しかも奢ってくれた。専務、ごちそうさまでした。

終電近く、総武線で秋葉原まで帰ってくると、やたら浴衣姿が目につく。そうか、今日は隅田川花火大会だったのか。4年ぶりの開催で、家人から行こうと言われていた。仕事の「必ず」は守るが、プライベートだともうずっとこんな感じ。大切なはずの約束も日々の喧騒の中に葬られていく。斉藤由貴の名曲「卒業」の一節「守れそうにない約束は/しない方がいい ごめんね」だ。

{ この記事をシェアする }

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP