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ゴルフは名言でうまくなる

2022.05.15 更新 ツイート

第215回

「Par5の2打目、2オンできそうで、かつよほどライがいい場合でなければ、3番ウッドは使わない」――阪田哲男 岡上貞夫

やみくもに3番ウッドで打ってはいけない

ウッドクラブの名手として知られた杉原輝雄プロは、距離のあるPar4では、セカンドが届く距離ならばドライバーで打ってでもパーオンを狙うと言っていた。パーシモン時代のドライバーと、誰にも負けない練習量があってこそのことだろう。

長いPar3では、ティーアップもできるから、杉原プロがドライバーで打ってワンオンし、飛ばし屋のプロがロングアイアンで打ってバンカーに入れたりしているのを、涼しげな顔で見ているシーンが印象に残っている。

 

しかし、現代のドライバーはヘッド体積が大きくなり、芯の位置が高くなっているから、フェアウェイから直ドラで打つのはかなり難しくなっている。キャリーとランのバランスがよく、最も飛距離が出る適正スピン量に合わせたドライバーを使用していれば、なおさらボールは浮き上がりにくい。

よって、芝の上から直に打つクラブで最も飛距離の出るクラブといえば、普通は3番ウッド(スプーン)ということになるだろう。

トップアマだった阪田哲男さんは、若い頃3番ウッドをひたすら打ってスウィング作りをしたそうだ。ティーアップしたボールを打つドライバーで練習すると、しゃくるようなスウィングでも打ててしまい、かえってスウィングが崩れると考えてのことだ。

3番ウッドがちゃんと打てれば、それより短いクラブはより楽に打てるし、ドライバーもティーアップできるからより簡単に感じるというわけだ。だから、3番ウッドでスウィング作りをしたのは、結果的に理にかなった方法だったと述懐しておられる。

そんな阪田さんですら、Par5のセカンドでは、2オンできそうで芝生が青々としている季節のよほどボールが浮いているライでない限り、3番ウッドは使わないのだそうだ。

練習場のマットと違い、実戦のラウンドではライがいいことは少なく、そんなときに3番ウッドを使うとミスする確率が高いからだ。3番ウッドは芝の上から打つクラブでは最も飛距離が出るが、同時に芝の上から打つには最も難しいクラブでもあるということだ。

飛距離の出ないアベレージゴルファーは、グリーンに届かないと見るや、Par5でもPar4でもやみくもに3番ウッドを持つ傾向があるが、ここのマネジメントを考え直すと、ずいぶんスコアがよくなるのではないかと思う。

「得意な距離」を残すことを考える

杉原プロの場合、長いPar4でティーショットが成功し、セカンドでグリーンに届きそうならドライバーでも3番ウッドでもパーオンに挑戦したそうだが、ティーショットを失敗して距離が出なかったりラフに打ち込んだりした場合はどうしたのだろうか。

多くのゴルファーは、少しでもグリーンの近くまで運びたいと思い、そのためのクラブ選択をするのではないだろうか。そうすると、40~50ヤードという力加減をしなければならないデリケートなアプローチショットを残すことになる。

一方、杉原プロは「得意な距離」を残す選択をしたと言っている。それは、サンドウェッジやアプローチウェッジでフルショットする距離だそうだ。フルショットといっても「マン振り」という意味ではなく、ある程度しっかりスウィングしつつも、バランスを崩すほどではない程度のゆるめないショットということだ。

人によってその程度は異なるだろうが、マン振りを100%とすれば80%~90%ぐらいとなるだろうか。自分なりに、再現性高く、その強さで振れるスウィングといってもいいだろう。たとえばサンドウェッジで75ヤードをおおむねワンピン程度にはオングリーンさせられる自信があるなら、デリケートな力加減を必要とする中途半端な50ヤード前後を残すより、パーの確率も高くダブルボギーにする確率も低いというわけだ。

セカンドで3番ウッドを使うのは、よほどライがよくないと難しいうえに、残る中途半端な距離のアプローチも難易度が高い。つまり2度続けて難易度の高いショットをしなければならないということになる。

2度続けて難しいショットを成功させなければならないとなると、心理的にもプレッシャーがかかり、プロでもミスしやすいことになるものだ。

一方、「得意な距離」を残すようにすれば、3番ウッドよりずっと短いアイアンで打てるし、残りもフルショットできるからグリーン上でスピンもよく利いて止めやすい。心理的にもずっと楽になるに違いない。

これを実現するには、「得意な距離」を作ることと、その距離のフルショットをしっかり練習して自信をつけることだ。だから、練習場ではドライバーばかり打つアベレージゴルファーが多いが、「得意な距離」を打つウェッジでのショットにもっと球数を当ててやるべきだろう。

グリーンに近づくほど有利とは限らない

「得意な距離」を打つウェッジは、サンドウェッジでなくとも、アプローチウェッジやピッチングウェッジでもいい。100ヤードを「得意な距離」にできれば、コースに設置してある100ヤードを示す杭や樹木などを参考にして、目標地点を決めやすくなる。

2打目を「得意な距離」へ運ぶマネジメントは、Par5においても同様に効果が大きい。仮に、Par5で2打目の残り距離が250ヤードだったとしたら、これを2オンできるのは相当な飛ばし屋だけだろう。

「Par5のセカンドはフェアウェイウッド」と固定的に考えているプレーヤーは、どうせ届かないのに少しでもグリーンに近づこうとして何も考えずにフェアウェイウッドで打ってはいないだろうか。

すると、ライがあまりよくないときにはミスして50ヤードしか飛ばず、次が200ヤードも残ってしまったりする。うまく打てたとしても50~60ヤードの中途半端な距離が残る。この距離はハーフショットでデリケートな距離感を出さなければならないから、プロでも神経を使う。アベレージゴルファーだとザックリとダフったりトップしたりのミスも大いに出やすい。

結果として、優勝するようなプロならバーディを量産し、アマチュアでもある程度の飛距離が出るプレーヤーなら比較的パーを取りやすいPar5でボギーやダボにしてしまう。アベレージゴルファーならラフを渡り歩いて大たたきということにもなり兼ねない。

ここで、100ヤードを「得意な距離」にしているプレーヤーなら、残りの距離を150ヤードと100ヤードに分けて考えることができる。セカンドが150ヤードでいいのなら、6番とか7番のアイアンで行けるからミスも少ない。計算どおりに残りが100ヤードとなれば、「得意な距離」を得意なクラブでフルショットできる。妙な力加減は不要だから安定したスウィングで振り切れて、ほとんどオングリーンするだろう。

そうすれば、パーの確率はかなり高くなるし、悪くてもボギーでは上がれる。思いのほか3打目が寄ってくれたり、パットが入ってくれたりすればバーディの僥倖(ぎょうこう)にも恵まれるかもしれない。

2打目も3打目も、続けて難易度の高いショットを打って成功させるのは、わざわざゴルフを難しくしているようなものだ。それに比べて、「得意の距離」を残すマネジメントは、はるかに易しくパーを確保できるとは思えないだろうか。心理的にもあまり疲れずに済むだろう。

グリーンに近づけば近づくほど有利と考えがちだし、1cmでもカップに近づきたいというのはゴルファーの本能なのかもしれないが、実は難しいショットばかりを選択し自滅につながってしまうのだ。

ドライバーやフェアウェイウッドで飛ばすことが、スコアにとってそのまま有利になるわけではないということを再確認したいものだ。

 

参考資料:
・杉原輝雄『ゴルフ必勝学』徳間文庫、1984年

・阪田哲男『ゴルフ 阪田哲男の「シングルの流儀」』学研プラス、2020年

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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