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月が綺麗ですね 綾の倫敦日記

2022.04.21 更新 ツイート

ほぼ200日連続で遠隔ヨガを続けた理由とそこで手に入れた一生の関係 鈴木綾

(写真:iStock.com/Pinkypills)

毎朝、起きてすぐヨガをする。出張の時もヨガをする。体調がいまいちな時もする。飲み明かした時もする。

 

これは古い習慣でもなんでもなく、去年始めた挑戦。でも、先週計算してみたら、毎朝ヨガをやりはじめてからもう200日が経っていた。自分の忍耐力に驚いた、そして時間の速さに。

200日の節目に、この経験の意味を振り返りたい。たしかに体力はついたけど、それ以外に、一生の友人もできた。心が落ち着かない時、ブレない、変わらないのはヨガだ。

まず、やり始めたきっかけから。

去年の9月に、長くイギリスに住んでいた、かなり親しい香港のカップルが転職で帰国した。ご存知のとおり、香港は世界で最も厳しいコロナ規制で抑え込まれていて、当時、海外からの渡航者には21日間のホテル隔離が義務付けられていた。カップルの女性のほう、アマンダのメンタル・ヘルスが心配だったので、隔離の間、毎日、遠隔ヨガをしようと提案した。イギリスにいる私は朝7時、香港のホテルに閉じ込められている彼女は15時で決定。

アメリカ人の友達に勧められたヨガ・レッスンの動画配信サイトにサブスクライブして、Zoomで画面共有して一緒に始めた。アマンダと私は、両方ともかなり運動不足で、「チャトランガ」という腕立て伏せポーズが特に苦手だった。しかし、21日後、アマンダが解放された日には私たちの腕はムキムキになっていた。彼女が解放日にホテルのエレベーターで撮った、ドヤ顔の「解放されたぞー」写真を見るとそれがよくわかる(笑)。

始めた時は、その期間だけのつもりだったけど、「何か」を21日間も続けてやると癖になってしまう。

アマンダと私は、それからもヨガを続けた。

そして、11月頃、アマンダの大学の仲間で、パンデミック初期にロンドンに避難していたチェリーという女性もロンドンから香港に戻った。彼女を朝ヨガの仲間に入れた。

チェリーはアマンダと違って、ヨガ以外にもかなりきつい運動に慣れていたので、新しいレッスンや先生を紹介してくれた。一人は香港や東南アジアで知れ渡っているフィットネス・インフルエンサー林芊妤(英語名:Coffee Lam) 。彼女の動画を見るようになった。

Coffee姉さんは、女優出身のヨガインストラクターで、広東語のインフルエンサーの中で初めて100万人のフォロワーを集めた人だ。

彼女は野村證券グループの偉い人と結婚して香港の豪華なマンションに住み、かわいい男の子を育てている(息子はよく動画に顔を出さされる)。そんな完璧な人生を送っているCoffee姉さんに、私たち3人は夢中になって、インスタグラムで彼女の一挙一動を見ている。

「Coffee姉さんが週末ハイキングしたの見た?」と親しい友達のようにCoffee姉さんの話を3人でよくする。

私は別にセレブがプロデュースするファッションとかスキンケアに興味はないけど、Coffee姉さんプロデュースのスポーツブラは普通に欲しいです(笑)

私は朝型だけど、遅くまで残業した日や飲み会の翌日、なかなか布団を出たくない。でもアマンダとチェリーが待っているから、頑張って起きる。

もちろん、サボらなければいけない日もある。朝早い飛行機に乗らなければいけない日。朝のミーティングがある日。でも、そういうのは最低限にしようとしているし、出張の時でもヨガマットを荷物に入れて持っていく。世の中は常に変化しているけど、毎朝のヨガは唯一変わらない、ブレないことにしたい。だから自分を「運動させる」環境を作らなければいけない。アマンダとチェリーに対して感じる責任感はまさにそういうこと。

コロナになる前、私には違う国に住む友達がたくさんいた。でも、高校時代の親友以外、違う国に住む友達とそんなに頻繁に連絡を取ることはなかった。コロナになって外出規制がかかり、他人との交流はほとんど画面越しになって、相手がどこに住んでいるかは本当に関係なくなっていた。こういう画面を通じた関係に慣れてきた気がする。コロナがなかったら、こんなことしていない。

アマンダは先月、仕事で香港からスコットランドに引っ越した。朝のヨガ会のメンバーはバラバラになっている。一人ロンドン、一人スコットランド、一人香港。

でもネットのおかげで、このありえない会は成り立つ。この遠く離れた二人は、ロンドンに住む友達より親しい。苦しい時、嬉しい時、悩んでいる時、全部アマンダとチェリーに相談している。ぶわーっと気持ちを吐き出したらヨガでさらに頭をすっきりさせる。

最近、アマンダの大好きなおばあちゃんがガンになって病状がかなり悪化している。中国のコロナ規制で、死ぬ前にもう一度かわいいおばあちゃんに会えない現実に直面するアマンダはかなり落ち込んでいる。先週、3日連続不眠症でヨガをサボった。

そのある日、チェリーも私用で参加できなかった。旅行でスイスにやってきていた私は、馴染みのないリビングでイギリスから運んできたヨガマットを敷いてヨガをやった。一人だとちょっと寂しい、と思ったら気づいた。そこにいてもいなくても、3人は一緒。だから寂しくない。

ビデオをつけて、一所懸命ポーズを取った。特にチャタランガ。

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月が綺麗ですね 綾の倫敦日記

イギリスに住む30代女性が向き合う社会の矛盾と現実。そして幸福について。

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鈴木綾

1988年生まれ。6年間東京で外資企業に勤務し、MBAを取得。ロンドンの投資会社勤務を経て、現在はロンドンのスタートアップ企業に勤務。2017〜2018年までハフポスト・ジャパンに「これでいいの20代」を連載。日常生活の中で感じている幸せ、悩みや違和感について日々エッセイを執筆。日本語で書いているけど、日本人ではない。

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