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宝塚トップスターたちの「美の流儀」

2014.05.23 公開 ポスト

第5回

100周年スペシャル企画 星組 柚希礼音さんインタビュー
宝塚歌劇団

4回にわたり展開してきた宝塚トップスターの特別インタビュー。全5回の最後を飾るのは、星組トップスター柚希礼音さん。若くしてトップというポジションにつき、今年で就任6年目。これは今のトップスターのなかでも最長記録。後輩からの憧れや信頼も高い
柚希さんのお話には、私たちも学びたい“生きる美学”がたくさん詰まっていました!

 柚希礼音さんがトップスターになったのは、初舞台を踏んでから11年目のこと。就任はかなり早く、当時は若きトップスターの誕生として大きな話題になった。しかも、トップ就任から今年で6年目を迎える。こちらも現在のトップのなかでは、もっとも長い就任期間になっているのだ。
 宝塚で不動の地位を築いた柚希さん。一見、順風満帆に見えるが、実は、宝塚音楽学校の入学前に人生を変える大きな挫折を味わっていたという。

Reon Yuzuki
PROFILE 大阪府出身。6月11日生まれの双子座。身長172㎝。愛称は「ちえ」。9歳からクラシックバレエを習い始め、才能を開花。優秀な成績で宝塚音楽学校を卒業。宝塚歌劇団入団11年目の早さで星組トップに就任。現在、全組のなかでもっとも経験の長いトップとして活躍を続ける。




Road to TOP STAR
Reon Yuzuki

1997年 宝塚音楽学校入学。
1999年 85期生として宝塚歌劇団に入団。雪組『ノバボサ・ノバ』で初舞台。
月組を経て、星組に配属。
2001年 『ベルサイユのばら2001』新人公演でアンドレ役に抜擢される。
2003年 『王家に捧ぐ歌』で新人公演初主演。
2008年 『ブエノスアイレスの風』で主演、第30回松尾芸能賞の新人賞を受賞。
2009年 4月、星組トップスターに就任。
2010年 第65回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を受賞。
2012年 『オーシャンズ11』で第37回菊田一夫演劇賞を受賞。
2013年 台湾公演に主演


 

挫折が宝塚を呼び寄せてくれた
運命的な出会い

 幼いころからクラシックバレエを習っていた柚希さん。当時コンクールでも上位になり、バレリーナを目指してかなり真剣にレッスンを重ねていたという。
「ところが、思春期ごろから急激に身長が伸びてしまって。体型はいかり肩になってしまい、線が細いバレリーナ体型からどんどんかけ離れてしまったんです。こればかりは自分の意志で止められるものではないのですが、このままバレリーナを目指して進んでいくのは難しいと思って、当時はかなり落ち込みましたね。
 そんなとき“バレエ以外にも毎日踊れる所はあるよ”と教えてもらったのが、宝塚でした。その当時、宝塚の知識といえば、“ベルばら”ぐらいしか知らなくて。正直、“踊れる”というキーワードがなければ、観なかったかもしれません。でも、実際に舞台を観に行ってみたら、不思議と心にスッと入ってきたんです。“私、ここに行って踊る!”と、その日のうちに受験することを決断していました。私を挫折から救ってくれたのは宝塚だったんです」

 宝塚=踊れる所、という知識のみで受験し、見事合格した柚希さん。ダンスの才能は、入学当時からかなり話題になっていたという。
 でも、宝塚で学ぶのはダンスだけではない。特に、“演じること”、“歌うこと”は核となる部分。クラシックバレエでは体験したことがないレッスンが入学後、次々と柚希さんに押し寄せた。

「冷静に考えれば、“演じる”ということは宝塚のもっとも核となる要素なのに、最初はとにかく恥ずかしくて。バレエではセリフは言わないので、どうしていいかわからなくて、照れくさくて仕方ありませんでした。毎日恥ずかしさと自信がない演技や歌の課題と格闘して、その日を過ごすだけで精一杯という感じでした。クラシックバレエをしていたときの自分は自信があったのに、新しく入った宝塚では、自分のダメなところばかり見えてしまって。“もっとこうするべき”、“こんな自分じゃダメ”と常に自信が持てない自分と格闘していました」


悩み抜いて、フッと力が
抜けるように出た答え


 そんな必死に自分と闘っていた柚希さんのターニングポイントになったのが、トップスターを支える立場になったころだったという。

 「初舞台以降、上級生と組ませていただくことが多かったのですが、そのたび“足を引っ張らないようにしなくちゃ”と考えてばかりで、常に緊張している状態でした。終わったら反省ばかりで、自分をなかなか認めることができなかった。でも、トップの方を一番近くで支える立場になったときに、気付いたことがあったんです。“どんなにあがいてもカッコつけても、自分は自分”なんだと。完璧な自分以外認めなかったけれど、“カッコつけているときよりも不意に見せるカッコ悪さが人間らしくていい”と言ってくださる方もいて、目からウロコでした。それまではカッコ悪さなんて見せてはいけないと思っていたので。でも、もっと“素の自分”を出していいんだ、ということに気付いたら、無駄な力が抜けて、演技を楽しめるように変わりました」

成功体験が自信になる。
そのためには“努力”も必要

 今回のヘア&メイクを担当したCHIHARUさんは、柚希さんにとって宝塚の先輩でもあり、メイクの師匠でもあり、アドバイザー的存在だという。

「昔からちえ(柚希さんの愛称)を見ているけど、ちえはものすごく成長したと思う。ちえを見ていると人ってここまで変わるんだ、ってしみじみ思う」

とCHIHARUさんも太鼓判。でも、その成長の陰には、強いこだわりや人には見せない努力があることをCHIHARUさんは内緒で教えてくれた。

 「頑張るのが好きとか、努力家とか言ってくださる方もいるのですが、自分ではそんなに大変なことをしているという気持ちが本当になくて。例えば、メイクにしても、私は本当に不器用で、しかも、顔のパーツにコンプレックスもあるので、なかなか上手に仕上げられないわけです。でも、それを放置して見過ごしてしまったら、それは克服できないままで終わってしまう。苦手でも何度もCHIHARUさんにアドバイスをいただいたりして、とにかく練習するんです。そうするとその先には必ず、前よりもよくなる自分がいる。これは歌にしてもお芝居にしても同じです。
 私はとにかく不器用で、上手にできないことが多いと思うんです。でもできなくて練習をすると、少しできるようになることが増えていくのです。自分のなかの満足感や成功体験が増えると、スイッチが入ったようにやる気も増すわけです。そう考えると、もしかして、不器用な人のほうが、得なのかもしれません(笑)」

 2014年、100周年を迎えた宝塚で、柚希さんはますます変わっていく自分を楽しみたいという。その果てのない進化は、あなたの目でぜひ確認してほしい。


挫折とコンプレックスが
トップの座まで導いてくれた

 

 

 

©宝塚歌劇団

柚希礼音さんに教わるトップスターの美学

長い間トップを維持している柚希さん。演技・歌・ダンスの実力も然ることながら、下級生からの信頼も厚く、星組のまとめ役としても大きな力を発揮している。そんな柚希さんの人間力で、GINGER読者の悩みや質問についても明快に答えていただきました!!

Q 自分の顔が好きになれません。コンプレックスはありますか?
あります! たくさんあります。例えば、頬骨が高いところは小さいころからの悩みでした。あとは、男性のような肩や、血管が浮いてしまう手や腕。でもこのふたつは、男役をやっている今は、男らしさの象徴に見えるので武器になってます。コンプレックスも見せ方が変わると武器になることを、宝塚が教えてくれたのです。頬骨に関しては、メイク研究中です。CHIHARUさんにアドバイスをいただいたりして、いろいろ研究して、克服中です!

Q 後輩社員とどう付き合っていいかわからなくて悩んでいます
怒ってばかり、指導してばかりというスタイルだと後輩はついてこないかもしれません。褒めるところは褒めて、問題があるところは指摘してあげるといい人間関係が生まれるような気がします。また、後輩ばかりではなく自分がまずやってみせることも大事だと思います。例えば、私は遊んでいて、下級生に練習しなさいと言ってもそれは響きません。私自身がやってみせることで、下級生の心が自然に動くということはとてもよくあります。

Q 公演中、疲労感が溜まったらどう解消しているんですか?
長い公演だと、途中お休みが1日あったりするとたくさん睡眠を取って休養したり、スパに行ったりします。スパや温泉が大好きで、ちょっと時間があると心と体をほぐしに行きます。公演が終わって、3~5日ぐらい休みがあったら海外に行きますね。2泊4日でハワイに弾丸ツアーしたこともあります(笑)。おいしいものを食べて、買い物してスパにも入って、と充実の日々。やはり海外に行くとより素の自分に戻れるので、気持ちが楽になりますね。

Q いろんな歴史上の人物を演じていますが、勉強するんですか?
勉強しますね。ここ最近、フランスの歴史に詳しくなりましたよ(笑)。フランス革命に、ナポレオン政権時代、今度はルイ14世を演じます。演じる偉人のことや歴史が書かれている本は、いろんなタイプのものに目を通します。民衆の視点と側近の視点では意見が違うものも多くて、そういった歴史の背景が演技にも影響してきたりします。ナポレオンは庶民出身なので座り方を貴族とは違う感じにしてみたりとか、細かい部分で工夫をしました。

Q 柚希さんの男役の魅力を自己分析してみてください
昔は、上級生が演じている男役を観て、座り方とか立ち方とかしぐさを真似ていました。でも、いろいろ演じてみて、外見のしぐさをどんなに男っぽくしても内面が見えてこないと意味がないというところに気付いたんです。だから、最近は男っぽく見せようという気持ちはまず捨てて、その主人公の気持ちを理解して動くようにしています。ただの人間として男役を演じるようになったら、逆に良かったと言っていただくことが増えたかもしれません。

Q 昔の自分と今の自分で大きく変わったところは何ですか?
それはたくさんあります(笑)。でも、最近特に感じるのが、“呼吸”が変わったな、ということです。以前は、緊張して呼吸していることも忘れていたのですが、最近は感情と呼吸がうまく調和できるようになった気がします。先日、ナポレオンの公演で「呼吸で魅せる演技ができるようになったね」と感想をいただいて、ものすごくうれしかった。心と呼吸は関係があるとよくいいますが、これは本当だと思います。

Q 柚希さんが一番“禁じ手”にしていることは何ですか?
“慣れ”という感覚は持たないようにしています。長い公演だとどうしても動きや雰囲気に慣れてしまうものです。でも、その日観に来られるお客様はその日を特別の日として来られるわけです。だから、毎日が特別と思って、いつも“今日が一番”と思って演技するようにしています。こう思うと、毎日少しずつでも進化できるので、演じていても楽しいです。

Q オススメの宝塚の観覧の仕方ってありますか?
歌舞伎とは逆で女性が男性を演じるというのは世界でも宝塚だけです。でも、中身はみな女性ですから演じるなかに、自分が投影する男性像が見え隠れすることも。私は草食系よりもどちらかというと肉食系がいいと思うので、やっぱりそういう男性像になる。トップでもみな色が違うので、そういう部分を比べてみても面白いですね。あとは、メイク。毎回台本に合わせてどう描くか試行錯誤しているので、そのあたりもぜひ観てほしいです。
 

 

初心者に捧ぐ!宝塚の魅力 基本の「き」

1 毎回衣装がスゴイですが、誰が作っているの?
衣装デザイナーがいます。専属のデザイナーがデザインを担当して、衣装を制作しているのは、宝塚舞台の衣装スタッフの方が作っていることが多いようです。公演中の修繕なども行います。

2 かつて宝塚に男子部があったのは本当ですか?
本当です。1945年に宝塚歌劇団は「男子部」を特設。男性だけで演じる部門を作り、男性の団員を募集したのですが、従来の宝塚歌劇団の伝統や人気にかなわず、’54年に解散した。

3 宝塚といえば大階段ですが、長さはどれぐらい?
高さ4.42m、奥行7m。段数は26段。1段の幅は普通の階段よりも狭く、女性の足でもはみ出てしまう幅しかない。フィナーレでは全員でこの大階段から降りて挨拶をするのが宝塚スタイル。

 


次回公演情報
宝塚歌劇星組公演 Musical 『The Lost Glory −美しき幻影−』 ラテン・グルーヴ 『パッショネイト宝塚!』 宝塚大劇場 7月18日~8月18日、東京宝塚劇場 9月5日~10月5日

 

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宝塚トップスターたちの「美の流儀」

「観た者は必ずハマる」という鉄板の法則がある宝塚歌劇団。芸能界はもちろん、ビューティ業界でもコアなファンが後を絶たない。そんな宝塚を支える5人のトップスターの魅力を、特別連載として5回にわたりお届けします!

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