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すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道

2022.02.17 更新 ツイート

足腰を強くして寝たきりを防ぎ、腸の粘膜を健康に保つ…日本人の長寿の秘密は「酪酸菌」にあった! 江田証

腸内環境は私たちの健康に大きな影響を与えます。「長寿の町」として知られる京都・京丹後市の人々を調査したところ、腸内細菌、とくに「酪酸菌(らくさんきん)」を多く腸内に持っていることが明らかになりました。

さらに最新の研究で、酪酸菌は新型コロナや花粉症にも驚きの効果をもたらすこともわかってきました。なぜ酪酸菌が免疫力を高めるのか? どうすれば悪玉菌を減らして酪酸菌を増やすことができるのか? テレビ出演多数の「腸のカリスマ」、消化器専門医・江田証さんが腸から元気になる秘訣を解説。新刊『すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道』から一部を紹介します。

*   *   *

日本人の腸内細菌は特別だった

腸内細菌の研究発表のひとつに、腸内細菌の状態を国別に比較したものがあります。そこから新しい興味深い事実がわかってきました。

たとえば、中国人とアメリカ人の腸内細菌は酷似しているという発見。2つの国は地理的に遠く離れているのに、腸内にある細菌はとてもよく似ているのです。不思議だとは思いませんか。腸内細菌には、まだまだ未知の要素があり、多くの研究者が解明に取り組んでいます。

これらの研究のなかでもいま世界が注目しているのは、日本人の腸内細菌は非常に独特で、世界のどの国の腸内細菌と比較しても一線を画しているという事実です。

日本人の腸内細菌の特徴として、いわゆる善玉菌に分類される「アクチノバクテリア門」の「ビフィズス菌」が多いこと、炭水化物を処理する腸内細菌が多いこと、水素から短鎖脂肪酸を作る作用が強いことなどが挙げられます。

なかでも目を引くのが、日本人の腸内には、ちまたで“でぶ菌”などと言われて疎(うと)まれている腸内細菌が非常に多いということです。

海外の一部の研究データでは「ファーミキューティス門」と言われる腸内細菌が多い人には肥満の人が多く、「バクテロイデス門」という腸内細菌が多い人にはやせ型の人が多いことから、日本のマスコミなどでは、ファーミキューティス門の細菌を“でぶ菌”、バクテロイデテス門の細菌を“やせ菌”などと名づけて話題になっていました。

そこで健康のためやダイエットには、でぶ菌=ファーミキューティス門の腸内細菌を減らし、やせ菌=バクテロイデテス門の腸内細菌を増やすことが重要という先入観ができてしまいました。

ところが、でぶ菌否定は私たち日本人には当てはまらないことが、最近の研究でわかってきました。

つまり、“でぶ菌”などと濡れ衣を着せられたファーミキューティス門の腸内細菌こそ、日本人の腸管の免疫力を高め、長寿にも関係していたのです。そしてこの“でぶ菌”が作り出すもっとも重要なものこそが「酪酸」で、これが私たちを守ってくれていたのです。

日本人の長寿者に特異的な腸内細菌は酪酸だった

京都府の京丹後市という日本海側の地域では非常に長寿者が多く、しかも長生きだけではなく、寝たきりが少なく、健康長寿の方が多い。より都会の京都市内よりもずっと元気で長生きなので、古くから日本有数の長寿地域として有名です。

実際、日本の男性で歴代もっとも長生きだった、木村次郎左右衛門さん(116歳没)も実は京丹後市在住でした。

人口10 万人あたりの100歳以上の人は、全国平均で53人、京都市内では65人に対し、京丹後市では160人。全国と比較すると実に3倍と圧倒的に多いのです。

その京丹後市の65歳以上の高齢者の腸内細菌を研究調査したところ、前述の「ファーミキューティス門(でぶ菌)」の割合が高いことが判明しました。さらに腸内細菌の構成を個々に詳しく調べていくと、その多くを「酪酸」を産生する「酪酸菌」が占めていました。

腸のなかには100兆個以上とも言われる数の腸内細菌が棲んでいます。この腸内細菌が、食べたものを分解して酪酸を作っています。

この酪酸こそが、足腰をピンピンと強くして寝たきりを防ぎ、腸の粘膜を健康に保ち、寿命を長くすることがわかってきました。

つまり、長寿と酪酸のあいだには深い関係があったのです。

関連書籍

江田証『すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道』

免疫力がアップし、筋肉がつく。がん、サルコペニア、糖尿病、花粉症が改善する。さらに新型コロナの重症化にも驚きの予防効果! テレビ出演多数の「腸のカリスマ」、消化器専門医・江田証さんが酪酸菌で腸から元気になる秘訣を解説する一冊。人生100年、健康寿命は腸活でのびる。酪酸菌を増強するオリジナルレシピも掲載。

江田証『腸内細菌の逆襲 お腹のガスが健康寿命を決める』

腸内細菌はこれまで私たちの健康の味方と考えられてきた。しかし最新の研究で、現代人の食生活の乱れ、ストレス、抗生物質の乱用などによって腸内細菌が異常に増え、お腹の張り、ガス、下痢や便秘を招く小腸内細菌増殖症=SIBO【シーボ】の原因となることがわかってきた。現在、1700万人もの日本人がSIBOによるお腹の不調に悩まされている。慢性的な疲れ、だるさ、集中力の低下、がん、動脈硬化、心不全、肝不全といったあらゆる症状や病気につながるSIBOを防ぐための食事と生活習慣を、腸のスペシャリストがくわしく解説。

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すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道

腸内環境は私たちの健康に大きな影響を与えます。「長寿の町」として知られる京都・京丹後市の人々を調査したところ、腸内細菌、とくに「酪酸菌(らくさんきん)」を多く腸内に持っていることが明らかになりました。

さらに最新の研究で、酪酸菌は新型コロナや花粉症にも驚きの効果をもたらすこともわかってきました。なぜ酪酸菌が免疫力を高めるのか? どうすれば悪玉菌を減らして酪酸菌を増やすことができるのか? テレビ出演多数の「腸のカリスマ」、消化器専門医・江田証さんが腸から元気になる秘訣を解説します。

※この連載は書籍『すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道』として2022年3月24日発売予定です。

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江田証

1971年、栃木県生まれ。医学博士。自治医科大学大学院医学研究科修了。江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバーを務める。毎日、国内外から最新の治療法を求めて来院する、お腹の不調をかかえた患者を胃内視鏡・大腸内視鏡で診察し、改善させることを生きがいにしている。著書に『医者が患者に教えない病気の真実』『病気が長引く人、回復がはやい人』『おなかの弱い人の胃腸トラブル』(すべて幻冬舎)などがある。新刊『腸内細菌の逆襲』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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