
どのくらいパーオンすれば100を切れる?
正確なショットに定評のあった中部銀次郎さんだが、どんなところからでもパーオンさせていたかというと、決してそんなことはなかった。ご本人はパーオン率を50%程度だと言っている。
これはプロも同じで、パーオン率のランキングではトップクラスでも70%台、下位のプロは50%台で、平均的には60%台だと言われている。
それでも、銀次郎さんはパープレーでラウンドしていたし、プロはアンダーパーも出す。つまり、半分近くはアプローチとパットでパーを確保していることになる。
パーから2打以上少ない打数でグリーンに乗せることをパーオンというが、これは和製ゴルフ用語なのだそうだ。ちなみに英語では「ナイスオン」も言わないらしい。
パーオンしてファーストパットを寄せ、タップインしてパーというのが俗に言う「きれいなパー」で、寄せワンやチップインでのパーは「汚いパー」と言われがちだ。しかし、スコアカードにはパーの数字を書くだけ。パーはパーで、その過程は関係ないのだ。
銀次郎さんは「スコアは見てくれの悪いもののうえに成り立っている」という言葉も残しているが、常にパーオンしてツーパットでパー……とはいかないのがゴルフなのである。
極論だが、パーオンがゼロであっても、すべて寄せワンを取ればパープレーは可能だ。とはいえ、いいスコアを出すにはパーオンが多いに越したことはないだろう。
トップアマやプロのパーオン率から類推するに、50%を超えるくらいにショットが上達すれば、パープレーが可能となってくるようだ。
ではアベレージゴルファーは、どのぐらいパーオンできれば100を、あるいは90を切れるのだろうか?
ちなみに、100以上のスコアでラウンドしている人は、ほとんどパーオンしていない、つまりパーオン率ゼロと言われている。
100を切るには、ハーフでひとつ、18ホールのうち2ホールでパーオンすればいいようだ。パーオンしたホールがなんとかツーパットでパーを取れたとすると、残りの16ホールがすべてダブルボギーだったとしてもスコアは104。残り16ホールのうち5ホールでボギーオンしたり、ワンパットでボギーにできればスコアは99になる。
このレベルのプレーヤーが最もパーオンしやすいのはPar3だろう。Par3は通常4ホールあるので、このうち距離の短い2ホールが狙い目となる。
なぜPar3がパーオンしやすいかというと、ティーイングエリアから直接グリーンを狙えるからだ。ティーイングエリアはほぼ平坦なライでティーアップも許されているから、練習場に近いシチュエーションとなり、ナイスショットしやすいはずだ。
Par4ではいいショットが2つ続かなければパーオンできないし、Par5では3回続けなくてはならないが、Par3ならば一発勝負でパーオンが狙える。
もちろん距離の短いPar3にはそれなりのトラップも設定されているから簡単ではないが、少なくともグリーンに届くクラブで、平らなライからティーアップして打てることで、かなりパーオンの可能性は高まるはずだ。
100を切りたいゴルファーは、これを想定してPar3でよく使いそうなアイアンやユーティリティをしっかり練習しておくといいだろう。
90を切るにはPar4でもパーオンを狙いたい
次に90を切るためのパーオン率だが、これは100を切る場合の2倍、つまりワンラウンドで4ホールのパーオンが目安となる。すべてボギーで回ればスコアは90だが、4ホールでパーオンしてなんとかツーパットでパーを取れば、残りのホールで3回ダブルボギーを打っても89になる。
パーオンしやすいのは、100切りの場合と同様の理由でPar3の4ホール。その他に距離の短いPar4もドライバーさえ成功すれば、2打で届く範囲にいけるのでチャンスがあるだろう。
ラウンド前に、自分の飛距離でパーオンできそうなPar3とPar4をチェックしておいて、そのホールはとくに集中していいショットを打てるよう心がけたい。18ホールのうち、8ホールぐらいはパーオンを狙いやすいホールがあると思う。
狙い目のホールにPar4も加わってくるので、練習場ではドライバーの練習も重要になってくる。ある程度の飛距離が出せるドライバーショットを確率高く打てるように、スウィングの安定を目指したいところだ。
次なる目標は夢の70台、80を切るためのパーオン率だ。これは18ホールのうち6~8ホール、平均して40%ぐらいのパーオン率が必要となってくる。
このレベルでは、いいショットがつながればパーオンできる距離のホールは、すべて狙っていこう。考え方としては、7ホールをボギー、11ホールでパーという構成だ。仮に7ホールでパーオンしたらツーパットでパーにする。残り11ホールのうち4ホールで寄せワンのパーを取れば79だ。
Par5でもパーオンを目指すことになるので、ドライバーの飛距離アップとフェアウェイウッドの練習も必要となる。もちろん、直接グリーンを狙うアイアンやユーティリティの精度を高める練習も重要だ。さらに、寄せワンを取る確率も30~40%必要になってくることから、アプローチショットの技術を高める練習も加わってくる。
パーオン率だけでスコアは決まらない
そして、ついにパーオン率50%を超えたあかつきには、パープレーが見えてくるわけだ。途方もなく難しいようにも思えるが、可能性ゼロではないはずである。
パーオンが多ければゴルフは楽になり、スコアもよくなるとはどなたも感じているところだろう。
「リッキオの法則」というものがある。この法則では、「95からパーオンのホール数の2倍を差し引いた数がスコアに等しい」と唱えられているそうだ。
90を切るにはパーオンが4ホール必要と述べたが、「リッキオの法則」では95から3ホールの2倍の6を引くと89になるので、3ホールのパーオンでもいいのかもしれない。
80を切るには95から16を引かねばならないから、16の半分、8ホールでパーオンが必要となる計算だ。
いずれにしても、ゴルフのスコアはパーオン率だけで決まるものではない。あくまでも、パーオンに焦点を当てて考えた場合の目安としてとらえるといいだろう。
パーオン率が高ければスコアがよくなることは間違いないが、パーオンできないホールのほうが多いことを考えると、やはりアプローチショットやパッティングが大事なのも確かだ。パーを取るためには、パーオンの確率を上げる努力をするもよし、アプローチやパットの精度を上げる努力をするもよしなのである。
飛距離とショットの精度を向上させてパーオン率を上げるか、パーオンしなくともアプローチとパットでパーを拾う確率を上げるか――。自分なりのスタイルを確立することが大事なのだろう。
今回のまとめ
1. 100切りを目指すゴルファーはワンラウンドに2つ、90切りを目指す人は4つ、80切りを目指す人は7つ以上のパーオンが目安になる
2. アベレージゴルファーがパーオンしやすいのは、平らなティーイングエリアから直接グリーンが狙えるPar3、次に短いPar4となる。それぞれに対応したクラブを練習しよう
3. パーオン率を上げるには、ショットの精度向上と飛距離のアップの両方が必要。それでもパーオンできないホールのほうが多いということも覚えておきたい
参考資料:p562p「ゴルフ用語のパーオンとは?パーオン率を上げることで目標スコアを達成しよう!」Gridge
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