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いじめと探偵

2020.12.29 公開 ポスト

3カ月で1000万円カツアゲされた男子高校生阿部泰尚

カツアゲ、暴力、万引きの強要、集団レイプ……子どもたちの間で過激化している「いじめ」。近年、その解決を私立探偵が請け負うケースがあるという。『いじめと探偵』は、これまで数々の「いじめ」問題を解決してきた著者が、実際に体験したエピソードを赤裸々に明かすノンフィクション。証拠の集め方、学校や相手の親との交渉法など、まさかのときに備えておきたい解決策も伝授してくれる。そんな本書から衝撃のエピソードをいくつか紹介しよう。

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最初は数千円の額だったが……

継続するカツアゲも最初はささいなことから始まる。3カ月で1000万円を脅し取られた高校2年生のケースを例に、カツアゲ事例の発生から解決までの流れを紹介する。

(写真:iStock.com/taka4332)

ある時、同じ学校に通う6、7人の仲間集団が学校帰りにファストフード店で食事した。その際1人の生徒が、仲間から「今日は、お前のおごりな」と言われ勘定を支払わされた。これが1000万円をカツアゲされることになったきっかけだ。

今の高校生は、当たり前のように財布に2000~3000円は持っている。一時期、中高生の間で、ファストフード店等で飲み食いした後、気の弱い子を1人取り残し、他の生徒が一斉に「ごちになります」と言って、店を出ていく行為が流行った。継続するカツアゲも最初は数千円という額からスタートする。小学生の場合は、数百円から始まる。これがカツアゲ事例の共通点だ。

 

仲間からターゲットにされた生徒は、繰り返し食事代を負担させられる。ゲームセンターに行けば「お前が払え」と言われ、ここでも全員分を払わされる。被害生徒も抵抗しないわけではない。ところが、この被害生徒がお金を出し渋ると、仲間に襟首をつかまれ体を殴られる。そして「お前何様のつもりだ」と凄まれる。払えば、仲間集団は「おれたち、友だちだよな」と言ってニコニコする。

被害生徒の心理には、脅されるのが怖いという気持ちと仲間はずれが嫌という気持ちが同居している。カツアゲする側も暴力を匂わせたかと思うと友だちのように振る舞う。アメとムチを使い分ける。しかし、一旦このループに入ると抜け出すのは難しい。

カツアゲを行うグループに特別な絆はない。1000万円の被害に遭った生徒の場合もそうだ。彼は、通学路が同じだった、同じ学校に通う生徒集団のメンバー全員からカツアゲされたが、この集団にはたまたま通学路が同じという以外の共通点はない。

妹のパンツを売った被害生徒も

一度、仲間から「あいつは言えば払う」と思われると際限がなくなる。カツアゲの額もだんだんエスカレートする。1000万円事例の被害生徒は、友だちの買い物につきあわされ洋服代ばかりかゲーム機代も負担させられた。こうなると仲間集団ではなく、いじめ集団に財布代わりとして使われているのがあからさまになる。

この被害生徒は、加害生徒から「親が病気になって家の生活が大変だから100万円貸してくれ」と言われ、その言葉に従って金を渡した。またある時には、「実家の事業が傾いたから100万円貸してくれ」と言われその通りの額を渡した。その後も同じ集団から100万円単位のお金を無心され続け、彼らの言葉に従った

(写真:iStock.com/takasuu)

だがこんなことをいつまでも続けられるわけがない。高校生が自由にできるお金の額には限界がある。彼は、親から月2、3万円の小遣いをもらっていたが、それではとても追いつかない。また、この被害生徒は、お年玉などを貯めた200万~300万円の貯金も持っていたが、それもあっという間に消えた。継続するカツアゲ被害に遭う子供は短期間で自分の貯金を使い果たす。

こうなると、いろいろな理由をつけて親からお金をせびり出す。この被害生徒もそうだが「塾の教科書が変わったから5000円いる」とか「塾の特別プログラムに120万いる」などと、さまざまな理由をつけてお母さんから毎月100万単位の金をもらった。また、頻繁に祖父母の家を訪れてお小遣いをねだった。被害生徒の意識は、どうしたら友だちに脅されずに済むかより、どうやってお金を工面するかに集中してしまう。

 

1000万円の被害生徒はしていなかったが、中にはアダルトショップで妹のパンツを売ってお金を工面した被害生徒もいる。その被害生徒は妹の写真とパンツをアダルトショップに売って数千円のお金を作った。女の子は自分のパンツがなくなると当然気づく。この時は、妹が兄の不審な行動を親に報告しカツアゲ被害が発覚した。

そして、いよいよ金を工面する方法がなくなると、親の財布からお金を抜く。1000万円の被害に遭った生徒も、台所の食器棚にあるお母さんの「へそくり」が入った封筒から100万円を抜き、家族の誰もがその保管場所を知っている一家の生活費が入った財布から、たびたび数万円単位の金を抜き取った。

ここまでくると、親御さんもわが子の不審な行動に気づき始める。

関連書籍

阿部泰尚『いじめと探偵』

使いっ走り、カツアゲ、万引きの強要、度重なる暴力、そしてクラスメイトによる集団レイプまで、いじめはさまざまだが、ほとんどの被害生徒は、いじめを必死に隠し周囲に相談しない。仮に子供が告白し、親が学校に相談しても、多くの学校は調査すらしない。そればかりか「証拠を持ってこい」と言う。そこで調査、尾行、録音・録画に秀でた探偵の出番となる。いじめ調査の第一人者が、実際に体験した具体的な事例を挙げて、証拠の集め方、学校や加害生徒の親との交渉法や解決法を伝授。いじめという社会の病巣に斬り込む。

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いじめと探偵

カツアゲ、暴力、万引きの強要、集団レイプ……子どもたちの間で過激化している「いじめ」。近年、その解決を私立探偵が請け負うケースがあるという。『いじめと探偵』は、これまで数々の「いじめ」問題を解決してきた著者が、実際に体験したエピソードを赤裸々に明かすノンフィクション。証拠の集め方、学校や相手の親との交渉法など、まさかのときに備えておきたい解決策も伝授してくれる。そんな本書から衝撃のエピソードをいくつか紹介しよう。

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阿部泰尚

1977年、東京都中央区生まれ。T.I.U.総合探偵社代表。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー。東海大学卒業。国内唯一の長期探偵専門教育を実施するT.I.U.探偵養成学校の主任講師・校長も務める。セクハラ・パワハラ被害者が被害の証拠を残すために行う当事者録音において日本随一の技術を誇り、NHK「クローズアップ現代」などで取り上げられる。2004年、探偵として初めて「いじめ調査」を受件し、以降、約250件のいじめ案件を手がけ収束解決に導く。

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