1. Home
  2. 読書
  3. 猫だからね
  4. そにしけんじさんの猫たちは、どうしてこん...

猫だからね

2020.06.02 更新 ツイート

『猫だからね』だからね対談。

そにしけんじさんの猫たちは、どうしてこんなに可愛いのか。 そにしけんじ

『猫だからね(2)』が肉球にぎにぎしく発売となりました! そこで「猫だからね」の大ファンというエッセイストの石黒由紀子さんと担当編集者・猫地による対談をお届けします。 2匹の愛猫、コウハイとせなも、ニャは~んと登場?

*   *   *

猫地 由紀子さん、「猫だからね」の第2弾が発売になりましたよ。

石黒 はい、待ってましたー。うれしいです! 早速読みましたが、猫のキャラクターがどんどん増えているのに驚きました(笑)。新顔では猫ウェイターが一番好きです。

猫地「まだ一度も運んだことがない」猫ウェイター、かわいいですよね!

石黒 猫忍者猫マッサージ師泥棒猫も……、みんなかわいいし、キャラが立ってるんですけど、新しいキャラクターを次々に生み出せるそにしさん、すごいですね。どんなふうに着想しているのかなぁ。

猫地 私もいつも次の猫はこう来たか! と、感心しているんですけど、ご本人はそれほど悩んでいる様子はうかがえず、淡々とされています。

石黒 そうなんですね、気負いのなさは作品にも感じます。「猫だからね」の世界は、無風でおだやか。猫作家先生のところへ原稿を取りに来る担当編集者のおじさんがいますけど「早く原稿あげて下さい」とか言いながらも、どこかほんわかしている。ほどよい湯加減の温泉に浸かっているような、読んでいてそんな気持ちよさや安心感があります。

猫地 猫忍者や猫歯科医など、本来なら緊張感のある場面であっても猫のほっこり感が勝りますよね。

石黒 あはは、本当にそうですね。「猫だからね」は、もともとどのような経緯で生まれたんですか。

猫地 そにしさんが読売新聞に連載されている「猫ピッチャー」という漫画がありまして、あまりにもかわいくておもしろくて大好きで。それで「猫ピッチャー」の担当の方にご連絡先をお聞きして、私からそにしさんに「猫の漫画を描いていただけませんか」とお願いしたんです。確かはじめはファックスで。もしかしたら、そにしさんには他にアイディアがあったのかもしれないですけど、私が「ぜひ猫の漫画を」と(笑)。

石黒「猫だからね」というタイトルもいいですよね。猫って、いたずらをされても「仕方がないなぁ」って思わされます。それはあきらめではなく、むしろ前向きな肯定。そんなニュアンスが感じられて。

猫地 どんなことがあっても、最後には、しょうがないよね「猫だからね」とやさしい気持ちになれる作品だと思います。最初にラフをいただいたとき、すでにそのスタイルが出来上がっていました。タイトルもそにしさんのアイディアです。

猫ウェイター
まだ一度も運んだこ
とがない
猫忍者
水とんの術など様々
な忍術を使う猫
猫マッサージ師
全身を使ったマッ
サージを行う

 

泥棒猫
猫エサを専門に盗む
プロ
​​​​​
猫作家先生
多くのベストセラー
を持つ実力派ベテラ
ン作家猫
猫歯科医
歯科医猫で猫ドクタ
ーの弟

 

石黒 第1巻の15ページの「猫ドクター」(1)を読んだときに、「うちの猫のことだ!」と思わず叫びそうになりました。転がったボタンを追いかけて飲み込んじゃう……。

猫地 あぁ、コウちゃん、以前、梅干しの種を飲み込んでしまって大手術をしたことがありましたね。

石黒 そうなんです、だからあれは笑えませんでした(笑)。で、思わず、近くにいたコウハイに「コウちゃんのことが描かれているよ!」と声をかけたんです。

(1)

(ここでコウハイ登場)

猫地 コウちゃん、コウちゃんも「猫だからね」を読んでくれたんだよね。どうだった?

コウ ニャ。たんたんたん、コロコロ……っていうのがよかったニャ。

石黒 あー、そうなんですよ! 擬音が秀逸ですよね。そにしさんの脳内音? 猫が毛づくろいするときの「ペランペラン」(2)とか、猫作家先生が万年筆のキャップを取る「きゅぽっ」(3)とか。

(2)

(3)

猫地 あぁ! 猫がすり寄ってくるときの「スリンスリン」(4)、第2巻の表紙にもなっている、手先を動かすときの「ちゃいちゃい」(5)も。

(4)

(5)

石黒 そう~! それだけでなごみます。

コウ ボクは毛づくろいするときはひと舐め入魂なので「ペランペラン」よりは「ぐいんぐいん」って感じニャ。

猫地 そうなの? 猫によってさまざまですね。うちの猫・せなは「ペランペラン」に近いかな。

(ここでせな登場)

せな ニャんのこと?

猫地 今ね、「猫だからね」について、お話ししてるんだよ。

せな ごはんごはん。

猫地 せなー、その食い意地! いい子にしてて。

石黒 さすがせな。通常運転ですね。せなはいつも自然体ですね。

猫地 そうですね、「猫だからね」に登場する猫たちもフラットに描かれていますね。その中に猫らしさがあります。

石黒 何かの途中なのに、目の前の動くものを追いかけて行ってしまったり……(笑)。

猫地 そうです、猫好きはそんな猫あるあるにも心をくすぐられるのではないでしょうか。

石黒 確かに、猫マッサージ師や猫カフェ店員Aとか、職業の特色や役割に合わせた猫らしさがちりばめられていますね。猫悟空はなんだかコウハイぽいです(6)。向こう見ずだけどへタレで甘えん坊。勘が鋭いところも。孫悟空が頭に乗せてる輪っか(きんこじ)が、「猫だからね」ではのみとりですよね。

(6)

猫地 あはは。見立てるの、おもしろいですね。せなは誰っぽいかな。物語シリーズの「ねこ」かな。あまり感情を持たずに本能のままにふるまうところが(7)。本猫たちはどう思っているんでしょうね。コウちゃんは自分で猫悟空ぽいと思う?

(7)

コウ 思わニャ~。冒険するよりステイホーム派ニャ! せな先輩は?

せな ボクはすぐ眠たくなるから、猫作家先生の気持ちがわかるニャ。

石黒 猫のほかにも登場人物がたくさんいますけど、その人たちと猫の関係も少しずつ変化してきて、そのストーリーも楽しい。

猫地 猫作家先生と担当編集者、ふたりの心の距離がだんだん縮まっていく感じとか。編集者が猫作家先生を理解して、愛が深まっていく感じ(8)がします。猫西遊記も物語として進行していくので、それだけ一冊にして読みたいという気持ちにさせてくれます。

(8)

石黒 猫は多くを語らない。というか何も考えていないのに周囲がいろいろ想像し先回りして手を差し伸べるという展開があって。猫忍者など、特にそう(9)。その顛末がよかったりそうでもなかったりの空気感もじわじわ来ますね。

(9)

コウ ケフ、ケフケフ……。ペチョッ。

猫地 きゃぁ、コウちゃんどうしたの? 大丈夫?

コウ あ~、すっきりしたニャ。毛玉を吐きました。

石黒 あ~、すみません! コウハイ、最近、だいたいこの時間(午後3時頃)に吐くんですよ~。せなはこんなことないですか?(床をせっせと拭きながら)

猫地 ないですねー。せなはごはんを食べながら吐くぐらいかな。

石黒 えぇ?

猫地 キャットフードを勢いよく食べている途中でケフ、ケフってなって、吐きます。出したら「あ、おなか空いたー」って、また食べはじめるんです。

石黒 ええぇっ? さ、さすがですね(ちょっと引く)。それでなんともないんですか。せなは「生の豚肉を300グラム食べた」という武勇伝もありますもんね。

せな ごはんまだ?

 

石黒 シュールな落ちがついているのも好きです。ときどき、猫がいたずらをしながらすごく悪い目をしたり。

猫地 あ、「ガチョウと金の卵とねこ」(10)とか「みにくいアヒルの子とねこ」(11)とか?

(10)

(11)

石黒 猫のちゃっかりとしたところや悪いところが、わざとらしくなく、かわいく描かれていますよね。あと、お話の並べ方というか、コマ割りの自由さが大胆ですごいなぁと感心しました。これは猫地さんが配置しているんですか?

猫地 とんでもない! 私には無理です(笑)。そにしさんがすべてやられています。毎回、ストーリー作りよりも、8ページの中にどのような構成でそれぞれのお話を収めるかということに苦心しているとお聞きしたことがあります。

石黒 今回、『猫だからね(2)』のゲラを読ませていただいたのが、ちょうどコロナ自粛が始まったころだったんですけど、ものすごく癒されました。おもしろさが染み込んできて、止まらなくなって前作も読み返しました。そしたら、もう何度も読んでいるのに、とても新鮮に感じられました。

猫地 わかります! 私も編集しながら第1巻をあらためて読みましたが、再読感なく「おもしろいなぁ」「あるよねえ」と思いました。「古くならない」ってすごい。奇をてらっているかと思いきや、淡々と正統派だからでしょうか。

石黒 シンプルだからこそ普遍的なんですよね。読後、いろんな猫とふれあえたような満たされた気持ちにもなりました。

猫地 脱力系のほのぼのとした作品ですが、気持ちの在りようだったり本質も描かれている。でもそれをわざとらしく感じさせないところが魅力なんです。

せな ねー、ごはんごはーん!

コウ ボクにもごはんくれニャー!

石黒 おっと、猫たちのごはんの時間ですね。泥棒猫に狙われないようにしっかり食べてね。猫地さん、対談って、こんな感じで大丈夫ですか?

猫地 はい、いいと思います。だって「猫だからね」対談だからね。

*   *   *

コウハイ 生後4ヶ月で動物愛護団体から石黒家にやってきた雑種猫。9歳のオス。先住の豆柴・センパイに育てられ、犬のような猫に成長。家中を冷静に俯瞰し、よく把握している。好物は納豆。

せな ビニールハウスで拾われ、生後6ヶ月で猫地宅に。13歳のオス。目が合うと「ごはん?」と言う。留守番上手。

石黒由紀子 エッセイスト。犬や猫、日々の暮らしについて綴る。「センパイコウハイ」シリーズの他、『猫は、うれしかったことしか覚えていない』『楽しかったね、ありがとう』(小社刊)。

猫地「猫だからね」担当編集者。猫と山の本担当。

関連書籍

そにしけんじ『猫だからね(2)』

憎らしいほどかわいい、猫キャラてんこ盛り! 「猫作家先生」多くのベストセラーと持つ実力派。ベテラン作家猫。 「ニャスケ」水とんの術、分身の術など様々な忍術を使う猫。 「猫悟空(にゃんごくう)」のみとり輪っかを頭につけている子猫。 「猫先生」根古(ねこ)中学校2年2組の担任猫。教科は国語。 「猫寿司職人」猫寿司の板場を守って3ヶ月。 「プロゴルファー猫」ドライバーの飛距離はmax15cm。 「猫建築家」猫による猫のための建物を設計する。 「猫ヒーロー」困っている人の前に現れる謎のヒーロー。 「猫棋士」現在四段、猫棋士界のホープ。 ……etc.

そにしけんじ『猫だからね』

シリーズ50万部突破!『猫ピッチャー』のそにしけんじによる、猫マンガの決定版!猫作家、猫忍者、猫ドクター、猫先生、猫西遊記、猫シェフ……“各界"の猫たちが人間相手に繰り広げる、可愛すぎる「猫あるある」。 読売新聞日曜版連載中の『猫ピッチャー』をはじめ、NHKEテレでアニメが放送中の『ねこねこ日本史』など、大人気猫マンガを数々送り出しているそにしけんじが、「猫あるある」を描きつくした、『猫だからね』。なかなか執筆しない「猫作家」に振り回される編集者、自由気侭な「猫忍者」を怒りながらも憎めない武士、可愛すぎる「猫先生」をついつい助けてあげちゃう生徒たち……。どんなに猫たちに翻弄されても、「猫だからね」と笑って許すしかない……そんな可愛すぎる猫マンガ。

{ この記事をシェアする }

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP