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フィンランドで暮らしてみた

2020.05.22 更新 ツイート

フィンランド流おうちレシピ(お米のパンケーキ篇)芹澤桂

フィンランドに来てからお菓子作りのハードルがぐんと下がった。計量がとにかく楽なのだ。

秤が必要なことはめったになく、レシピに記載されている分量は粉類も液体もDL(デシリットル)表記、つまり水が100ml入るDLカップで計量が済んでしまう。たまにグラム表記の材料があってもバターならパッケージに50gごとの目盛が入っているし、イーストも50gの生イーストを丸々使うか、半分使うかの2択が多い。材料の記載順番は使う順の通りになっていて、上から「牛乳2DL、イースト50g、卵1個……」と計ってはボウルにぽんぽん放り込んで混ぜていくとできあがるという具合だ。

 

お菓子作りというのは繊細でボウルに水滴がついているだけで失敗してしまう、と子供の頃から叩き込まれてきた私にとってフィンランドの素朴な焼き菓子はどれも気軽で、面倒くさくなく、ずっと付き合っていきたい友達みたいな存在だ。多少間違っても大丈夫大丈夫、と言ってくれそうな気さくな友達。

のびのびときさくなフィンランドのキッチン

料理が得意な義母も、いつものびのびとキッチンに立っている。

彼女の家に遊びに行くと食事はもちろんのこと、食後の口直しの冷たいデザート、そのあとのコーヒーのおとも用の焼き菓子数種類と、すべて手作りのものが出てきてバリエーションも豊富だ。

どれもおいしいので移住したての頃は事あるごとにレシピを聞いたものだけれど、答えはいつも決まって「んー、計ったことないからわからないわ」だ。

それが料理なら理解できる。でも焼き菓子まで計らない人は、初めて見た。

実際彼女が作っているところを見ると、小麦粉も砂糖も袋からサラサラとボウルに入れ「だいたいこのぐらい」と目星をつけている。それゆえ彼女に言わせれば、どんなレシピも「私に聞くよりちゃんと調べた方が」となるのだ。

小麦粉不要の甘くないパンケーキ

そんな義母が、過去に唯一教えてくれたレシピがある。

お米のパンケーキで、「Riisirieska/リーシリエスカ」。

セリアック病(重度のグルテンアレルギー)のため、小麦が入ったパンは食べられない義母の家で、パンの代わりに出てくるレギュラーメニューだ。砂糖は加えないのでパンケーキといっても甘みはなく、ハムやチーズ、野菜などをのせてオープンサンドにして食べることが多い。

ちなみに名前の「リーシ」は米、「リエスカ」は平たいパンを意味する。

ペルーナリエスカ(Perunarieska)といえばジャガイモを潰して作った丸くて平べったいパン、オホラリエスカ(Ohrarieska)といえばオオムギで作ったやはり平たいパンで、どちらもスーパーなどで買うことができるのだけれど、どういうわけだか米のリーシリエスカだけは店やレストランで見たことがない。ネットにレシピは転がっているけれど、素人が投稿するレシピサイトや個人のブログが圧倒的に多く、どうやらよそいきメニューというより家庭のフィンランド料理のようだ。

義母もこのレシピを書き出してくれたとき、「ええと、計ってないからわからないけど」といつものように付け加えて「卵2~3個、バター50g~100g」ととってもざっくりとした分量を教えてくれた。

以下、義母から教えてもらったのを作りやすく変えたレシピである。

お米のパンケーキ(Riisirieska/リーシリエスカ)レシピ

【材料 耐熱容器30cm×30cm 1枚分】

-ミルク粥-

米    0.5カップ

水    0.5カップ

牛乳   2.5カップ

バター  20g

 

-生地–

牛乳     1カップ

卵      3個

オートミール 1カップ

塩      ひとつまみ

 

【作り方】

1、鍋に米と水を入れ中火にかける。

2、米が水を吸ったら牛乳を入れ、弱火でかき混ぜながら米が牛乳を吸って柔らかくなるまで煮て、火を止める。熱いうちにバターを溶かし入れる。

3、耐熱容器か鉄板にオーブンシートを敷き、オーブンを200度30分に余熱しておく。

4、ボウルに生地の材料(牛乳、卵、オートミール、塩)を混ぜ、粗熱の取れた2を加えてから耐熱容器に入れ、200度のオーブンで30分ほど、黄金色になるまで焼く。冷ましてから切り分ける。

 

手順2のバターを入れるまでは前回のお米のプディングと同じ作り方なので、義母はいつも多めに作って、一部はそのまま朝ごはんのミルク粥に、残りの半分は冷やしてデザートに、もう半分はパンケーキに、と賢く使い回している。

(お米を煮るまではプディングと一緒)

というか義母はたぶん、もっとバターを入れている。正確には日常使いのマーガリン。これも私は臆病者なので20g程度にしているけれど、50gぐらいどかっと入れるとバターの風味がたっぷり香るパンケーキになる。

(焼く前)
(焼いた後)

ちなみになんでこの四角いのがパンケーキなのか、と疑問の皆さんも多いと思う。

フィンランドのパンケーキは四角く、オーブンで仕上げるのである。というわけで次回は甘い方のパンケーキをご紹介予定。

(大きめの天板で作ると薄めに仕上がる)
(ハムとチーズをのせて)

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フィンランドで暮らしてみた

気づけばフィンランド人と結婚して、ヘルシンキに暮らしてた! しかも子どもまで産んだ!

日本人の大好きな「かわいい北欧」。でも、その実態は?

暮らしてみて初めてわかった、フィンランドのちゃっかり賢く、ざっくり楽しい、意外な一面。

ゆるゆるまったり、マイペースにご紹介。

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芹澤桂 小説家

1983年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2008年「ファディダディ・ストーカーズ」にて第2回パピルス新人賞特別賞を受賞しデビュー。ヘルシンキ在住。

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