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フィンランドで暮らしてみた

2020.05.15 更新 ツイート

フィンランド流おうちレシピ(お米のプディング篇)芹澤桂

今の時期、4月から5月にかけてのフィンランドは驚くほど美しい。目に見えて日が長くなっていくのにつれて白樺が葉を出し、芝生は緑付き、花は雑草も野草も桜も水仙も一度に咲き乱れる。まるで長い冬の間うっかり眠っていたのをみんなでごまかして歌っちゃおうぜ、というような風情だ。そんな植物たちを、白夜が近づくゆえに夜9時過ぎまで数時間も続く西日が柔らかく横から照らしていく。

(お気に入りの散歩道)
 
(白い花が咲き乱れている)

夏のフィンランドも爽やかで最高だし、冬もよその国から来たら見ものだけれど、私はひそかに今の季節も楽しみにしている。この、名前のつけようない美しさ。世間的には芽吹きの春で、ちょっと日でも照れば暑くてフィンランド人的には半裸になっちゃう、初夏の予告編みたいな季節。

この頃になると、我が家では収穫祭の準備を着々と始める。

冷蔵庫を空けてスタンバイ

我が家の裏手にはこの辺の各住民にそれぞれ割り当てられた10平米ぐらいの畑があり、自由に植物を育てられる。私はガーデニングに関しては素人だけれど、運の良いことに前の住民が植えていったイチゴと赤スグリ、黒スグリ、グースベリー、ルバーブがもとからあり、庭にはサクランボとリンゴの木まで植わっている。食べられないバラを引っこ抜いて自分たちで実験的に植えたブルーベリーとラズベリーもある。

それらはびっくりするぐらい手間がかからず、ちょっと雑草を抜くだけであとは勝手にすくすくと育ってくれるのだ。本当に、すくすくと。

そして今一気に葉を出し、枝を伸ばしていっているのと同じように、一度に収穫時期がやってくる。6月から7月にかけては毎日ジャム工場かってぐらいに恐ろしい量の砂糖を使ってそれらを煮詰めてジャムにしたりジュースにしたりパイにしたりと本当に祭並みに忙しくなるので、今の時期から冷凍庫のスペースを確保する必要があるのだ。

都合のよいことに夏はバーベキューやら子供のお誕生日会やらで人が集まる機会があるので、そういったときに収穫物を惜しみなく出すことも忘れない。

去年はルバーブで作ったピンクのレモネードをどんと中央に据え、自家製ジャムを味わってもらうべくお米のプディングを用意した。

ホームパーティの強い味方

ホームパーティーの準備はいつも忙しい。

パーティー慣れしているならともかく、うちには子供関連のイベントぐらいでしかゲストが大勢集まるということもないので、年に1回か2回しか振るわれない本気料理の腕を振るうことになる。市販品を並べても誰も文句は言わないのだろうけど、我が家のゲストの中には小麦粉、牛乳など各種食品アレルギー持ちが揃っていて、自分で作った方が安くて安心なのだ。

去年出産後1ヶ月でゲスト15人分の料理をすべて作ったときは清々しい達成感と共に、もうパーティーなんてやらないという腹の底からの強い決意を固めたけれど、2段重ねのケーキを2台焼いて、手作りのクッキーや軽食も用意し、精魂尽き果てかけたときに大量のジャムを食べていってもらおうと米を煮出した私は正しかった。

甘い米とあなどるべからず

甘い米なんて食べられなーい、と言う日本人は多い。私もそっちの部類だった。

今でもクリスマスの朝にフィンランドで食べる、米を牛乳で煮てシナモンシュガーをかける甘ったるいやつは苦手だし、体が朝から塩っ気を欲するのでミルク粥(Puuro/プーロ)だけの朝食もうちではやらないけれど、それを冷やすとあら不思議、名前まで変えておいしいデザートになるので試してほしい。

店でも米バージョンだけでなくオーツ麦、セモリナ粉のバージョンが売っていてジャムがついている。

家になんにもないときでも米と牛乳とジャムさえあればできるので、日本でもフィンランド料理としてたまに作っていた。我が家では小麦アレルギーのゲストが来るときの、口直し用デザートとしてもたまに登場する。

砂糖を入れないので口当たりも軽く、上にかけるフルーツやジャムによって季節感も出る。私はもっぱらジャムを食べてもらおうと自家製の酸っぱいルバーブやチェリー、ベリー類のジャムを使うことが多いけれど、秋ならリンゴをシナモンと煮てかけるのもおいしいし、マンゴーなど南国系のフルーツソースをかけてもおいしいと思う。

お米のプディング(Riisifrutti/リーシフルッティ)レシピ

【材料 2〜3人分】

米 0.5カップ

水 0.5カップ

牛乳 2.5カップ

あればバニラビーンズ、バニラエッセンス

好きなフルーツ、ジャム 適量

※カップは米用(180ml)のものでも料理用計量カップ(200ml)でも。要は米と同量の水、米の5倍の牛乳でできる。

 

【作り方】

1、鍋に米と水を入れ中火にかける。

2、米が水を吸ったら牛乳を入れ、弱火でかき混ぜながら米が牛乳を吸って柔らかくなるまで煮て、あればバニラビーンズを入れる。

3、グラスなど適当な器に入れて冷蔵庫で冷やして出来上がり。ジャムやフルーツをかけて食べる。

(リーシフルッティ。
ラズベリージャムと黒スグリのジャムを添えて)

牛乳の一部を生クリームに変えるレシピもあるけれど、おすすめは低脂肪ではなく脂肪分の高い牛乳を使うこと。牛乳と米の旨味だけで充分甘くなる。

ちなみにこの米粥をライ麦の生地で包めばフィンランドの伝統料理カルヤランピーラッカに、卵と混ぜて焼けば粉いらずのパンケーキにもなる優れもので、フィンランド料理には米が意外にも頻繁に登場する。

パンケーキの話はまた長くなるので次回。

(夕日を眺めながら、テラスでのティータイム)

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フィンランドで暮らしてみた

気づけばフィンランド人と結婚して、ヘルシンキに暮らしてた! しかも子どもまで産んだ!

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暮らしてみて初めてわかった、フィンランドのちゃっかり賢く、ざっくり楽しい、意外な一面。

ゆるゆるまったり、マイペースにご紹介。

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芹澤桂 小説家

1983年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2008年「ファディダディ・ストーカーズ」にて第2回パピルス新人賞特別賞を受賞しデビュー。ヘルシンキ在住。

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