1. Home
  2. 生き方
  3. 渋谷で君を待つ間に
  4. 答えのない「どうして?」を、もう一度 ―...

渋谷で君を待つ間に

2019.01.10 更新

答えのない「どうして?」を、もう一度 ―『年下の水夫』今井美樹カワムラユキ

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。

*   *   *

 

人生は川、風吹けば何処かに流されてゆく小舟は、運命に怯える君だとして

自らの力で漕ぎ出せるなんて、時の終わりを待つ虫のように、影を潜める私には

到底に不相応な運命への抗いだった

 

 

ただただ手と手をつなぐ

例えば燦々と太陽が降り注ぐ松濤公園の片隅

誰も他人を気にとめないマークシティのエスカレーターの途中

何かにとらわれて、君と私は衝動を躊躇するのか

 

もう十八年、いや二十年、恋を重ねてきた

初恋は淡く、若い頃は愛をむさぼるような暮らしを

淡々と別れたり、時には殺意とひきかえにして

思い出と片付けるには浅すぎる傷も、かさぶたになる前には誰かと口づけて

そっと疲れた身体を横たえ、私は私を抱きしめたり、そして君の背中に指を躍らせたり

 

『年下の水夫』は、今井美樹のCDデビューから二十周年、2006年に発売された名曲

タイトルの通り、年下の男との道なき恋と逢瀬を綴った歌

 

生きれば生きるほどに、女は纏ってゆく

少女のように裸になんて、簡単にはなれない

せめて半裸で、答えのない「どうして?」を、もう一度

 

通りすがりの水夫と、人生という川の流れに今夜は静か

そんな風に思えたら、このまま奥深くへと沈むのか、どこか見知らぬ場所へと消えるとして

 

私には、ありあまる過去と、わずかの限りある未来、たったそれだけ

君になら、この川の流れにも先がある、きっと

 

「歳の差なんて、一度も考えたことない」

いつも無邪気に君はつぶやく、年下の水夫のように

私はうなずくことしか出来なくて、もうこれ以上は脱げないのに

君にはヌードに見えるかもしれない

私は半裸のままで、君が答えることの出来ない「どうして?」を繰り返すの

何ひとつも私は棄てられないのに

 

今井美樹『年下の水夫』(ユニバーサルミュージック)2006年

 

関連キーワード

{ この記事をシェアする }

渋谷で君を待つ間に

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。

バックナンバー

カワムラユキ

1978年8月東京生まれ、幼少期を仙台で過ごす。
98年頃よりフリーランスのプロデューサーとして、ヨーロッパのダンス・ミュージックのプロモート、様々な企業とのコラボレーションワーク、イベント制作を担当。
2000年頃よりDJ、ライターとしての活動をスタート。
DJ活動の傍らでスペインのIBIZA島などヨーロッパ各国を周遊しながら、ダンス・ミュージックに限らず、リラックスに特化した「Chill Out(チルアウト)」空間での音楽演出など、独自の活動を探求する。

2008年からは作詞家として「NARUTO」「バクマン。」「鷹の爪」などのアニメ主題歌、NHK WORLD「domobics」(東京パフォーマンスドール+どーもくん)、水曜日のカンパネラとのコラボ作品「金曜日の花魁」、多くのアーティストにカバーされたSam Smithのグラミー賞受賞曲「Stay With Me~そばにいてほしい」などの日本語詞を担当。
2010年には渋谷道玄坂にて、ウォームアップ・バー「しぶや花魁 shibuya OIRAN」をオープン。店舗運営と連動して、自身が主宰するミュージック・ブランド「OIRAN MUSIC」を2014年に発足。コンピレーションCDのリリース、リミックス・ワークの配信、アートや音楽フェスとのコラボなど、「渋谷」をキーワードとしたコンテンツ提供を活発に行っている。

現在、渋谷区のコミュニティFM「渋谷のラジオ」毎週月曜16時~、インターネット・ラジオ「block.fm」毎週金曜20時~に、レギュラー番組の選曲とナビゲーターを担当中。

Twitter: @venuskawamura
Instagram: @venuskawamura
Web: OIRAN MUSIC公式サイト

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP