子宮摘出後の夫婦生活はどうなるのか。アンダーヘアの脱毛事情はどうなっているのか。そして、生と死が交錯する医療現場では何が起きているのか――。女性の身体と人生に深く関わる婦人科の世界には、知っているようで知らない“女の本音”と“現場のリアル”があります。
そんな診察室の裏側を赤裸々に解き明かすのが、現役アラフィフ産婦人科医・櫻井くす子さんの著書『婦人科医の「ここだけの話」ですが、何か?』。本書では、面と向かっては聞きづらいマダムたちの下世話な疑問から、患者たちが抱える命の重厚なドラマまで、長年の経験をもとに愛と毒舌を交えて痛快に綴っています。本記事では、その一部をご紹介します。
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R18:子宮摘出後のアレ
私が尊敬してやまないゴリラさまたちは、飼育員の見ている前では決してセックスしないそうだ。
それに引き換え、時に見せる変態も存在するニンゲン。
もしかしたらゴリラさまより本能に忠実なのではないかと瞠目。
検索しても、まあ、こういうニンゲンの闇の部分は出てこないし書かないよね。うん。
……で、今から書こうとしていますけど、何か?
子宮全摘後の性生活は避妊すべきでしょうか? というお尋ねがよくある。この手の質問がマダムからゲットできたら一人前というか、マダムのハートを仕留めたということになるだろうと自負する。
ネットでは、子宮全摘後にナカダシすると「子宮外妊娠する可能性」があるとの記事も見かけるらしい。あくまで噂。

この際、きちんと情報提供すると、子宮全摘後は腟断端が盲端(つまり行き止まり)になっているため、物理的に子宮外妊娠は不可能。ナカダシも双方に合意があるなら別段、いいと思うが、男は基本、ばい菌なので個人的には全面的に応援はできない。ばっちい。
健康上、医療上の問題はありません。単純明快にきちゃないだけ。……それにしてもどこのドイツや、フランスか? 子宮を取った後にガイニンたー、思い切ったガセを垂れ流しやがって(言い方)。
無理矢理こじつけ、考えてみた。可能性としては、以下の条件で子宮全摘後の異所性妊娠(ガイニン)は成立するかも……しれない。
(1) 腟断端がぱっくり空いており腹腔内まで貫通できている。
(2) そこにナカダシ。
(3) たまたま排卵し、卵が腹膜の上に生き残っている。
(4) 精子到着、合体。
こんな摩訶不思議な過程がなんの障害もなく成立したとしたら、もう運命を受け入れてほしい。
だが私がざっと検索する限り、こういった不幸なケースの報告はされていないため、今のとこ、「ない」。とんでもなくムズカシイわ!
普通レベルで子宮摘出がされており、ごく一般的に腟断端がきちんと閉鎖されていれば、ばい菌も精子も入る隙間はないはずなので理論上、健康には問題ない。よって、これからの余生を自由に楽しんでいただけたらと思う。
ムッシュもだんだん年齢を重ねるごとに、何かちょっとでも障害があるとイケなくなっておられるであろう。それがたとえごくごく薄い、日本が世界に誇るサランラップ的めちゃうすコンドームですら発射障害になると言うのなら、マダムが全くちっともぜんぜんきちゃないとは思わないという、ムッシュへの愛が溢れる前提の下、好きにしたらいいと思います。

さて、子宮摘出後もHしていて変わらず気持ちいいのは、どこが気持ちいいのですか? 子宮がないのにどこが感じているんですか? とも質問を受けたことがあるのだが、面と向かって聞かれると、お尻がむずむずしていたたまれないのはなぜだろう。
真面目に答えると、女性の性感は尿道口のやや腹側にあるクリトリスがほぼ司っているため、そちらがちゃんと機能していれば、子宮を摘出しても術前後で変化はない(大真面目)。
たって・イって・出て、の単純な野郎どもと違い、女性の性的な気持ちよさ、というのは何も性器からダイレクト、が全てではない。雰囲気や相手をどう思っているか、どう思われているか、の成分がエッセンスと思われるため一概に「これがないと!」というお答えはできない。
しかし、最低限これがないとあかんやろなー、と思うのはクリトリスですかね。
アフリカで問題になっている「女性の割礼」に言及すると、あれは「女性に節を誓わせるためにクリトリス、大陰唇、小陰唇を切除し、腟の入り口を縫い閉じる」手術なのだそうだ。
現地ではそれを思春期前に行っていない女性は結婚すらできないという。
女性の割礼は、儀式と称して専門家でもなんでもない一般の村人が施すため、一つ間違えば感染症で死亡。死ななくても儀式後の合併症で女性が長く苦しみ、性交渉は激痛&苦痛、お産のときに外陰部が変に裂けたりして、障害が残ったり精神的におかしくなったりと、いいことが一つもない。
つまり、クリトリス、大陰唇、小陰唇は必要なもので、切除したり縫い閉じたりしたらいかん部分と解釈できる。っつーか、なんてことするんだ! と私は思うが……酷い儀式があるものです。男尊女卑ここに極まれり。
なんとかそういったことをやめる方向で現在、関係者一同盛んに活動されているようだが、いわゆる「しきたり」というのはなぜか急に一切を中止するのがムズカシイらしい。
どこの世界にも、むやみやたらにしきたり依存している化石がいる。
アフリカに比べれば今、私たちが運よく現代日本に生まれたということは少しの運の悪さや不平等があったとしても、負けてはいられないってことではある。
四方八方、まだまだ男性優位の社会と感じるが、無理矢理体の一部をもぎ取られる不幸とは無縁なのだ。ありがたく享受しておこう。
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笑って泣けて、ためになる異色の医療エッセイ
現役産婦人科医が、診察室で露わになる「女の生(せい)と性(せい)」を、ユーモアと深い愛情を込めて綴った医療エッセイ。女性特有の赤裸々な悩みから、生と死が交錯する医療現場の濃厚な人間ドラマまで、マダムたちの生き様をリアルに描く。
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